【薬剤師会】「当面の課題」8項目を整理/OTC薬リスク区分のあり方見直しを提言/「自動的にネット販売が可能となる現行の仕組み見直しを」

【薬剤師会】「当面の課題」8項目を整理/OTC薬リスク区分のあり方見直しを提言/「自動的にネット販売が可能となる現行の仕組み見直しを」

【2022.01.19配信】日本薬剤師会は1月19日、定例会見を開き、「当面の課題」8項目を整理、提示した。この中で、OTC薬リスク区分のあり方見直しを提言し、「自動的にネット販売が可能となる現行の仕組み見直しを」とした。


 日本薬剤師会がまとめた「当面の主な懸念事項·課題」は以下の通り。

1敷地内薬局の是正
・適切な医薬分業のためには、 保険薬局は、経営上はもちろん、 保険医療機関からの経済的、 構造的、機能的に独立していることが不可欠。
・敷地内薬局は、療養担当規則の主旨からも反するものであり、医療機関と同じ敷地内に立地する薬局は医療機関の調剤所と同じような機能であり(構造面も含む)、薬局として、 また保険薬局として指定すベきではない。

2リフィル処方箋の着実·適切な推進
・リフィル処方箋の運用においては、 薬剤師が調剤を実施するか適切に判断することが重要。 的確な薬物療法を適切に推進するためには、医師と薬剤師の連携方法についても整備することが重要。
・また、運用面はもとより、 責任の所在のあり方の明確化や法的な定義付けが必要。

3電子処方箋の着実·適切な推進
・電子処方箋の場合であっても、医薬分業のあり方として、医師が患者へ処方内容を確実に伝達する仕組みが不可欠
・電子処方箋により伝達された処方内容を薬剤師が受けて適切に処理していくことで、 患者が確認できる情報を損なうことなく反映することができる。そのためには、電子処方箋で応需した内容を適切に処理できるよう運用面での手順の検討が必要。
・これらの機能を十分に発揮するためには、 令和5年1月からの電子処方策の運用開始に向けて、通信機器や個人情報の機密を担保できるインフラ整備の推進·充実が必要。

4病院薬剤師に係る処遇改善
・医療機関におけるチーム医療が急速に進み、重要性が増している中で、病院薬剤師の人員不足が問題となっている。
・主な原因は病院薬剤師の給与体系(国家公務員の俸給表)が低く設定されているためと指摘されており、入院患者が安全で安心な医療を受けるためには、病院薬剤師の処遇改善が必要。
・一方、病院薬剤師の人員局においても地域偏在の問題があり、これが原因と言い切れない。

5薬学部の適切な入学定員の在り方
 厚生労働省の検討会において、薬学部の入学定員の抑制も含めて適正な定員規模などを早急に検討することが提言された。
・薬学部の授業料等の負担の問題や、卒業者数および薬剤師国家試験に合格できない薬学生が増加していることに対して社会的な指摘があり、こうした現状に鑑み、薬学部の入学定員やカリキュラムの見直しを進め、教育の質の向上を図る施策が必要。

6薬価改定における適切な対応
・製薬企業による新薬の開発意欲を維持し、医薬品の安定供給体制を崩壊させないよう、イノベーションを踏まえた適切な評価が必要。
・中間年の薬価改定は、市場実勢価格を適切に反映させるため、あくまでも薬価と大幅な乖離を是正するもの。実施する場合であっても、薬価と実勢価の乖離率が著しく大きい品目を、他の品目と同程度の乖離率まで是正する程度に留めることが必要。

7新型コロナウイルス感染症関連
・引き続き薬剤師は、 医療従事者の一員として国の対応策に全力で協力していく。
・薬局においては、抗原定性検査キットの販売を行うとともに、 自宅·宿泊療養者への経口治療薬の対応等について迅速かつ的確に実施している。
・薬局における検査については、 薬局が感染源とならないよう、 感染防止や感染拡大抑制等について十分配慮しつつ、無料検査事業のほか、 国の進める政策に協力していく。

8その他(規制改革関連事項等)
●規制制改革会議からの主張
イ:調剤業務の外部委託
・調剤業務は、薬剤師法において薬剤師の独占業務として位置付けられている薬剤師の本質業務である。調剤業務の外部委託については、到底認められない。
ロ:非対面業務の拡大
・対面実施が大原則とされる医療分野においてはオンラインを活用することは理解するものの、その際の専門家の関与の方法についてはオンラインありきで議論を進めるべきではない。
●一般用医薬品のリスク区分のあり方の見直し
・医療用から一般用へのスイッチ化·OTC化の推進は賛成であるが、スイッチ化から一定期間後に自動的にネット販売が可能となっていく現行の仕組みは問題。
・濫用防止の観点からもリスク区分のあり方を検討すべき。

【地域医薬品提供体制】
・地域包括ケアシステムのおいて、地域住民が過不足なく医薬品を速やかに入手できるためには、薬局、薬剤師が多職種と連携して、その機能を十分に発揮し、地域住民の医薬品アクセスや安全で安心な医薬品使用確保するためにも、地域医療計画と対をなす地域医薬品提供体制の構築が必要。

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