規制改革推進会議の事務局は、会議後に記者ブリーフィングを行った。
この中で同日の規制改革推進会議「医療・介護ワーキング・グループ」の議論のうち、オンライン服薬指導のあり方について「厚労省との間に大きな議論があった」(事務局)と説明した。
論点は大きく4つあり、「厚労省側と議論の対立があった」(事務局)とする。
1つ目は原則対面の考え方だ。事務局は、「基本的に対面が原則であり、やむをえない場合にオンライン服薬指導を実施するという基本的な考えについておかしくないですかということ」と説明。「オンライン診療では、においなど、対面とオンラインで異なる理由があるが、服薬指導においては異なる理由があるのかという質問もあった」とする。
2つ目は服薬指導計画の作成についてだ。「そもそもなぜ必要なのかといった意見のほか、初回の場合は計画はつくれないのではないかという指摘があった」という。
3つ目は処方箋の取り扱いについて。「コロナ特例では在宅でオンライン診療を受け、医療機関から処方箋をファクスすることでそれに基づき郵便で医薬品が送られてくる。在宅で完結することができるが、厚労省案では原本のみを認めるとしており、せっかくオンライン診療を受けても処方箋を薬局に持っていく必要が生じ、オンライン診療の空洞化につながる」とした。
事務局は、「11月19日に閣議決定した『コロナ克服・新時代開拓のための経済対策について』においても、『オンライン診療・服薬指導の特例措置の恒久化等を通じ、受診から薬剤の受領までの一連の過程をオンラインで完結できるようにする』と記載されている。(厚労省案は)これに反するのではないか」と述べた。
4つ目は研修についてだ。厚労省案では研修受講をオンライン服薬指導実施の前提にしているが、事務局は「コロナ禍の実施の中でどんな課題があったから研修受講が必要なのだという多数の質問があった」と説明した。
規制改革推進会議事務局は、「ワーキングのほうでは了解されていない。事務局でも調整をしていく。非公開の議論もあるが中間とりまとめに向けてまとめていく」と今後の方針を示した。

【規制改革推進会議】「オンライン服薬指導で厚労省と議論対立」/“処方箋原本持参”ではオンライン診療の空洞化になるとの指摘
【2021.12.06配信】政府の規制改革推進会議は12月6日、「医療・介護ワーキング・グループ」を開いた。この中でオンライン服薬指導のあり方が取り上げられ、「厚労省と議論の対立があった」(規制改革推進会議事務局)。例えばコロナ特例では処方箋を医療機関から薬局へファクスすることを認めているが、恒久化にあたっては処方箋は原本しか認めない方向が示されたといい、規制改革推進会議側は「患者が薬局に処方箋を持っていかなければならずオンライン診療の空洞化につながる」との懸念を示したという。
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