現在、後発医薬品が初めて収載される場合は基本的に先発医薬品の薬価(新薬創出等加算による加算の累積額を控除後)に0.5を乗じた額で算定されている。ただし、内用薬について銘柄数が10を超える場合は、0.4を乗じた額、さらに バイオ後続品については先発医薬品の薬価に0.7を乗じた額とされている。後発医薬品が既に収載されている場合は最低価格の後発医薬品と同価格とする(同一企業の品目があればその価格)とされている。
最近では毎年薬価改定によって6月に新収載された後発医薬品も翌4月には改定の影響を受けることや、供給不安事例も発生している。事務局では「薬価改定が毎年実施されることとなっている現状等を踏まえ、後発品の初収載ルールについて、どう考えるか」と論点を示した。
業界ヒアリングでは、日本製薬団体連合会(日薬連)が「後発医薬品については『安定確保が持続可能となる薬価制度』と『価値が正しく評価される流通の実現』が必要」と指摘。「銘柄別の市場実勢価格が適切に反映される制度」と、「医薬品の価値に関わる情報を提供することで後発医薬品の価値が正しく評価・選択される環境をつくる」ことが必要と主張した。
日本医師会常任理事の城守国斗氏は、後発医薬品の信頼回復に向けて、「欠品や供給問題が相次ぐ中で製薬企業の法令遵守の意識の低さが発端と考えざるを得ない。企業が再発防止に取り組んでいるのか見えない。具体的に何をどのくらいの期間に行う予定があるのか」と質問した。
これに対し、日本製薬団体連合会(日薬連)会長の眞鍋淳氏は、「コンプライアンスの遵守、製造管理の徹底や安定確保、情報開示などについて加盟団体を 通じて強く求めていくことを表明させていただく」と述べた。
日本ジェネリック製薬協会会長の澤井光郎氏は供給不足の状況に対し謝罪した上で、資料は提出していないものの業界内では項目と期限を設けた取り組みを行っていると説明し、「例えば11月中には各社経営者が法令遵守に取り組む決意表明をすることになっている。その後、どのように変わったかの報告を受ける。内部通報制度についても協会内にも窓口を設ける。情報提供についても各社の情報を協会で一元化している」と説明した。
日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は、「今年の6月の新収載もあり、11月にも新規収載があるようで、営業活動をやっていらっしゃるようだ。戦略もあると思うが、現場の人間からすれば既存の安定供給に取り組むのが最優先ではないか。日々、状況が悪化する中でお考えを教えてほしい」と述べた。さらに、供給不安の見通し時期や情報提供を早急に伝えるための取り組みを尋ねた。
これに対し、日本ジェネリック製薬協会会長の澤井光郎氏は、残業や休日返上で操業率を向上しているほか、品目生産の切り替え時間短縮のためにロット数を増やすなどの取り組みを行っていることを説明。その上で、回復時期については、「新たな供給不安が生じており、いつということについてはお答えできる状況にない」と述べた。「根本的には設備投資増強も行っているが承認が必要であり、早くても3年の期間を要する」とした。
さらに新規収載の営業活動をしている場合ではないのではないかとの指摘については「安定供給をするための設備投資や人員増の原資は既存品から期待できるものではなく、新製品になる」と説明した。情報提供に関しては、不足情報、代替薬情報、解消時期などを各社が開示し、協会のホームページに記載していることを説明した。
一方、日薬の有澤氏は後発薬不足における卸の対応について質問した。「流通に関して絶対量が足りない中で、実際の流通をどうやりとりしているのか。必要最小限なものを提供できるようになっているのか、地域や卸企業によって対応が違うという声が現場から出ている」と述べた。
これに対し日本医薬品卸売業連合会(卸連)薬価問題検討委員会担当理事の折本健次氏は供給不足の現状について謝罪した上で、供給不安の品目が5000を超える見通しであるとした。現状については「入荷すると午前中にはなくなるという状況。供給次第、安定供給する。オーダーに関して忖度しているということは行っていない」とした。
日本医師会常任理事の城守国斗氏は、新規後発医薬品の薬価算定について、毎年改定後にそれ以前と状況が変わっていることには理解を示しつつ、「長期収載品の価格はどのような変化があったのか。それをみながら総合的に判断する必要がある」と述べた。
日薬の有澤氏は、新規後発医薬品の薬価算定について、「直接は関係ないと思うが、さきほども述べたように後発医薬品の供給不足は日々悪化している状況。また、中間年改定がどこまで影響しているかはっきり見えない状況でもあり、コロナについても今後、どんな動きになるかわからない。こうしたことを鑑みると、後発医薬品の初収載ルールを今回のタイミングで大きく変更すべきではないと考える」とした。
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