この日の中医協では、「外来(その2)について」を議題とし、以下が示された。
1.外来医療の現状等について
2.かかりつけ医機能に係る評価について
3.医療機関間の連携に係る評価について
4.生活習慣病に係る評価について
5.耳鼻咽喉科診療の評価について
6.論点
このうち、議論が集中したのが、かかりつけ医の普及に関することだ。
かかりつけ医に関しては、医政局の検討会として、「医療計画の見直し等に関する検討会」で並行して議論が進んでいる。報告書では、「かかりつけ医機能を強化することで、患者の流れをより円滑にしていく必要がある」などとしていた。
事務局はこうした報告書の内容を示しつつ、心不全や慢性腎臓病(CKD)の患者は増加しており、かかりつけ医と専門医の連携がより重要になっていると説明。
さらに、インフルエンザや肺炎球菌などの接種努力義務のない「B類疾病」のワクチンにおいても、かかりつけ医の機能強化と関連するとの考えを示した。
一方、かかりつけ医機能に関連する「地域包括診療料・加算」の施設基準を満たすことが困難な要件に関するアンケートでは、「対象患者に対して院外処方を行う場合は24時間対応をしている薬局と連携していること」を挙げた回答が15%以上あり、一定程度、認められた。
これに関連して事務局は、今年8月から改正薬機法によって「地域連携薬局」が開始していることを挙げ、地域連携薬局の基準として開店時間以外の対応などもあることを資料で示した。
事務局案に対して、日本医師会常任理事の城守国斗氏は、おおむね事務局案に賛同を示した上で、「かかりつけ医はすでに予防接種の相談を行っており、算定要件に追加してもよい」と述べた。
一方、1号の支払側の委員は、既存の枠組みの見直しを越えた議論の必要性を指摘。
全国健康保険協会理事長の安藤伸樹氏は、「今回の議論はかかりつけ医のあり方だと考えている。既存の枠組みを論点にしているようだが、かかりつけ医のあり方を今一度、見直すべき。患者側のメリットを明確化し、それに見合った評価をすべき」と話した。
三重県鈴鹿市長の末松則子氏も「安藤委員と同意見。患者の目線で再検討すべき」とした。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏も、 「今あるパーツのメンテナンスの議論に終始している。もっと大きな議論があるのではないか」と述べた。
日本医師会の城守氏は、「中医協は制度を議論する場所ではない。かかりつけ医の議論は医政局の医療計画の見直し等に関する検討会で来年1月から議論すると聞いている。信頼で成り立つかかりつけ医を制度化することはなじまないと申し上げておく」と反論した。
このあとも1号側と2号の診療側でかかりつけ医の議論の仕方について応酬があったが、最後に事務局は、おおむね日本医師会と同様の考えを示し、「医療計画の見直し等に関する検討会での議論は間に合えば(中医協でも)どのような点数設定がいいかは議論したいが間に合わないようだとも聞いている」とした。
一方、かかりつけ医関連の算定を増やすために要件を緩和することも検討すべきとの意見も出た。日本労働組合総連合会総合政策推進局長の佐保昌一氏は、「夜間の条件そのもののハードルが高いのかという思いはあるが、困難であることについては例えば24時間対応できる医療機関との連携などで一定程度要件を緩和して、かかりつけ医の算定を増やすことも考えられる」と述べた。

【中医協】かかりつけ医の議論の中で「地域連携薬局」の資料提示
【2021.10.20配信】厚生労働省は10月20日に中央社会保険医療協議会総会を開き、「外来(その2)について」を議論した。かかりつけ医の普及に向けての課題に議論が集中したが、その中で薬局関連では、かかりつけ医に関連する「地域包括診療料・加算」の施設基準において満たすことが困難な要件として、24時間対応している薬局との連携を挙げる声が15%以上あったことが紹介された。事務局では、改正薬機法で地域連携薬局がスタートしており、基準として開店時間外対応などがあることを資料で示した。今後、かかりつけ医の進展と併せて、こうした薬局機能の議論が進む可能性があるといえる。
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