【後発医薬品不足】薬局・薬剤師が苦労している“100事例”を掲載/日本保険薬局調査より

【後発医薬品不足】薬局・薬剤師が苦労している“100事例”を掲載/日本保険薬局調査より

【2021.08.18配信】後発医薬品不足の規模が拡大しているとの実感が薬局で広がる中、実際に薬局・薬剤師はどのような対応に追われているのか。日本保険薬局協会の調査に集まった現場の声をレポートする。


 日本保険薬局協会が8月5日に公表した「GE供給に関する緊急調査」では、「受発注・在庫管理」に関わる業務付加や苦労のほか、「患者対応」「医薬品ごとの対応」「処方医との連携」などの領域に分けて、計100件以上の薬局現場の“生の声”が集まっていた。

 このレポートでは、その全てを掲載する。

■「受発注・在庫管理」に関連する事項
<調査で明らかになった声>
・出荷調整の影響で採用品目が30品目増えた。
・半年で採用品が77品目増加。
・25品目発注のうち、15品目欠品で入荷未定の連絡。
・日医工のGE供給中止に伴い約20品目のGE薬品を新規採用した。
・メーカー変更で残った少量の在庫(25品目)を使い切ることができない。
・自主回収品以外のメーカーへ切替えたが、それも欠品や入荷ができず、先発も入荷が滞り、医療機関へ疑義照会が発生する事態となっている。
・入庫可能な製剤を探すための卸への確認作業に人手がとられる
・小規模薬局は割当が少なく、分譲等の手配に苦慮する。
・卸から毎日複数回に渡り欠品の連絡があり、採用品目の検討や手配の作業負担が増加。
・代替品を探し回る手間が大きい。
・毎日、卸からの欠品連絡があり、薬局からの在庫の問い合わせも週に4回以上ある。
・欠品対応に費やす時間が1日30分以上ある。
・1日3品以上の欠品がでており、10品を超える欠品が週に1回程度ある。(欠品数:2021/7/1~7/31 122件)
・1-2件/日の欠品対応に対し、卸に入荷するかを確認する手間が増えた。
・出荷調整品目が多く、発注時間が増大した。
・翌日の午前中の多忙な時間帯に卸から入荷しないと連絡が入り、手配の電話対応に時間がかかり、大変なストレス。
・調剤業務をするにあたり採用メーカーの把握が負担となり、作業負荷が2倍増加した。
・発注時、毎日1品目は欠品や遅延がある。
・メーカー切り替えが頻発し、受付・入力の際、採用メーカーが分からず事務員への周知や入力の時間を要し、患者待ち時間も増えている。
・欠品が多く、いつ発注したものが入荷したのかの確認に時間がかかる。
・代替薬剤を入庫した際の発注取り消しに時間がかかる。
・月1~2件だった未入荷連絡が、ほぼ毎日入るようになり、別メーカーや先発品への変更の検討、発注、患者への説明と業務が増加。
・規格違い品が手に入らず、半錠にして分包の上交付する事例も発生。
・複数メーカー在庫する形となり、過誤のリスクに気を付けている。
・医師の意向で日医工からトーワへ変更となったが実績がないため入荷できなかった。
・転院の新規患者の薬が新規発注のため入ってこない。
・在宅患者で処方が変わった際、変更後の薬剤が出荷調整品であれば手配にすごく苦労している。
・採用可能品の問い合わせが10倍となった。
・門前医療機関の採用品が変わったが、新規採用のため入ってこない。
・新規採用により複数のGEが混在し、在庫管理が大変。
・出荷調整で月初に数週間分の入荷するため、2週間の定期処方患者はGEと先発を交互に交付することとなり、入力や投薬に混乱が生じた。
・他社メーカーに変更したが、それも入荷未定となり先発品を選択せざるを得なかった。
・先発品へ変更せざる負えない医薬品が6品目になった。
・84%を推移しているGEが80%を切ってしまわないか不安。
・他社のGEを全卸に確認し採用した結果、1商品3回の変更が発生した。
・全患者・処方量の多い品目が出荷調整となり、先発品を使用したことによりGE調剤率が下がり大幅な減算となった。
・あまりにも欠品が多い為、把握しきれない。
・卸からの情報が「全くわからない」のみの回答で、待てばよいのか変更かの判断が遅くなってしまった。
・欠品の際、製薬メーカーか卸かどちらの事情かわからない。
・発注後、最長で1-2か月薬が入荷しないことがあった。
・メーカーから在庫消尽時期の連絡があるが、実際はその時点で卸でロックが掛かる場合があり在庫を確保できない。
・卸側もメーカーからの入荷日が分からないのか、確認をしても「入荷日は未定、入り次第届けます」と言われ、何週間もこないままの状態が何品目も あり、患者さまの欠品対応が困難。
・入荷の見通しが立たず、在庫管理(確保)にかなり神経を使っている。
・OD錠が納入規制で普通錠しか入荷できず、小児患者の剤形選択の幅が狭まった。
・抗てんかん薬など、服薬継続が必須である薬剤が次回入荷の見通しが立たないときがあり、かなり恐ろしい思いをしている。

<協会による分析>
“相次ぐ自主回収、出荷調整により数十品目もの新規採用をしており、いくつもの銘柄を採用することで在庫管理だけでな く、調剤業務も煩雑になっている。また、卸からの欠品連絡も日々、数件~十数件発生、かつ、納品の見通しが立たない 品目も多い状況。このような状況の中でも、継続的な薬物治療のために、一つひとつ丁寧に対応している状況が伺える。”

■「患者対応」に関連する事項
<調査で明らかになった声>
・新しくGE調剤する患者に対して同意を得るのに手間がかかる。安心、安全の言葉の裏付けが心もとなくなる。信憑性が薄くなってしまっている。
・先発品に戻すことで患者様の信頼は失墜していくが、薬局の信頼も損なわれる事態となっている。
・比較的安定供給が可能なメーカーへ変更することで薬価増により患者ご負担が増えることの説明など理解を得るのに現場が疲弊している
・納得いただき銘柄を変更しても、その銘柄もすぐ欠品になり、苦情に発展。
・患者からのご意見、不満、苦言が週に2~3件ある。
・継続して服用していたGEに慣れやこだわりがある方は、先発医薬品でも飲むのが不安という声が上がっている。
・メサラジンが出荷規制になり他社へ変更するも実績ない為、先発品を発注。難病指定だったが公費が外れ患者の金額負担が増加し、納得い ただくまでの説明に時間がかかった。
・OD錠ではない、味が変わるなど患者デメリットにつながらないように製剤選定をしている。
・前回同様の後発をお渡ししたが、「この時期に問題を起こしている後発を出すのは薬局としておかしい」とのクレームがあり、先発に変更した薬剤を ご自宅まで届ける事態となった。
・患者様宅への不足分の郵送や、患者宅へのお届けが増え、配送費、郵送手続きの負担が増えている。
・コメリアンコーワ錠50mg×6錠の処方を、後発品100mg×3錠で調剤していたが、流通不良により先発50mg×6錠での調剤となり、患者負 担金額が上がり不満が出ている。
・患者からの問い合わせや苦情が1日に数件来る。
・塩酸リルマザホン錠「MEEK」→リスミー錠へ変更の高齢患者様より、「眠剤が入ってなかった」と帰宅後再来局されたケースがあった。
・患者様に説明してもお年寄りの方は、自宅に帰ると話した内容を覚えておらず、再度電話がかかってくといったことに良く対応している。
・患者宅へのお届けになるケースが週に2回以上はある。お届け等にかかる時間、以前の5倍以上。 ・発注しても欠品が多く、入荷のめどが立たないため、届き次第郵送になる事があり、患者にも薬局にも負担が大きい。
・患者がGE希望された場合、在庫のある薬局へ行っていただく形となり、患者に迷惑がかかる上、患者流出につながってしまう。
・治療への影響と、患者の負担金への影響が数百件発生している。
・対応の労務費もかかっており、本来不要な残業に繋がっている。
・他メーカーに切り替えた際の説明に時間を要する。
・GE銘柄変更や先発への変更で、特に高齢者への説明に時間を要した。
・日医工製品に関して不信感を訴える患者様が複数おられ、説明に時間を要した。
・後発品についての説明希望が増え3倍の労力を要した。
・GEの銘柄変更が続き、GEに対する不信感や不安を解消するために説明時間が増えた。
・投薬時の説明や、在庫確保の為に無駄に時間がかかってしまう。また、患者側にも不安が生じている。
・患者へのメーカー変更の説明や不安解消に時間が非常にかかっており、患者の待ち時間増加に繋がっている。
・銘柄変更の説明、入力の変更(打ち直し)による患者待ち時間が増大。
・GE銘柄変更の説明が15件/日以上あり投薬時の負担倍増。
・GEの銘柄変更が相次ぎ、患者への説明や問い合わせの対応が増え、投薬にかかる時間が倍になった。
・日医工の報道をうけてGEから先発に変更した方は数名いる。
・先発品変更に伴う患者負担の増加。特に長期処方は負担が大きくなる。
・安定供給不安から先発希望も増えている。
・今回の一連の不祥事でより一層変更を希望しない声が増えた。
・GEの使用に難色を示す患者が増えた。
・GE変更不可を希望される顧客の増加、全体87%程度のGE率で推移していたのが日によって60% 台になる日も。

<協会による分析>
“GE使用を継続することの不安や、銘柄変更、欠品時の対応など、患者が安心して薬物治療を継続できるよう、これ まで以上に丁寧に対応している状況が伺える。一方で、それにより、GE供給に関する説明、欠品時のお届け、配送作 業、問い合わせ等の業務負担が増大している。”

■「医薬品」に関連する事項
<調査で明らかになった声>
・製造元メーカーが公表がされていない委託販売などが、突然出荷停止となる。
・GE品の担当者より1か月前は2割程度だったが、現在は3割が出荷調整となっている。
・プランルカスト、オロパタジン、エルデカルシトール、ベニジピン、トリアゾラム、エスゾピクロン、ラクツロース、ロキソプロフェン細粒、ヘパリン類似物質 日医工などの入手困難
・エルデカルシトールが尽きるが先発・後発とも供給されずアルファカルシドールも供給不足、代替品がない状態で疑義照会をしていくこととなる。
・イミダプリル、オロパタジンの発注ができずにGE希望の患者に在庫状況を説明して先発品調剤した。 ・メサラジン錠を3回連続で銘柄変更され、説明に時間を要した。
・メサラジン20/12~21/2 116,776錠中GE変更71,312錠で61%がGEに変更。21/3~21/5 107,678錠中GE変更45,665錠で 42.4%に下がる。仮に61%変更できていたとして全体影響としてはメサラジンだけなのに0.8%くらい下げの要因に。
・元々プランルカストDS「日医工」(バラ)だったところ、「NP」→「タイヨー」→「DK」と変更し、バラ品消費後はヒート品「タカタ」→「日医工」→「EK」と購入 しヒートをバラして使用した。それも入荷困難になり今月中には在庫尽きる予定。先発品も大量入荷は見込めないため、処方元へ処方変更をお 願いする予定。注文に要する負担、在庫管理の負担、患者様への説明の負担が倍以上になった。
・エルデカルシトール、オロパタジン、カモスタットは先発品も納品されない状態になっている。
・ペンタサ錠、GE流通不良にて先発品に変更。
・コメリアンコーワ錠、GE流通不良にて先発品に変更。
・流通が悪く先発に変更せざるを得なかった品目(プランルカストDS→オノンDS、プロカテロール塩酸塩錠→メプチンミニ錠、トラネキサム酸散 →トランサミン散、オロパタジン顆粒→アレロック顆粒)
・ロラタジンDS1%「トーワ」が入荷せず、先発クラリチンDS1%に変更。
・厳しい状況の医薬品(オロパタジンDS0.5%「トーワ」、オロパタジンOD5mg「トーワ」、ドンペリドン坐剤10mg、30mg、プランルカスト錠112.5 mg「AFP」)
・メサラジン腸溶錠の流通不良により先発のアサコール錠に戻さざるをえない状況になった。
・トリメブチン100mgが納品されず先発品で調剤する状況。
・カモスタットメシル酸塩100mgが納品されず先発で調剤する状況
・フェルム、ブシラミン、ポラプレジンクはすでに入ってこないので、先発品に変更。
・ブシラミンGE全メーカー出荷調整により顧客には先発しか提供できず、顧客によっては¥1000/回程度の負担増。
・度重なる出荷制限の為サラゾスルファピリジン腸溶錠500mg「武田テバ」、プランルカスト錠225mg「日医工」、ヘパリン類似物質油性クリーム 「ニプロ」、べポタスチンべシル酸塩錠10mg「サワイ」、エペリゾン塩酸塩錠50mg「トーワ」等数種類以上も納品困難で他のメーカーも出荷制限で 納品出来ないので先発品で対応。
・FAD腸溶錠「わかも」2020年8月を最後に全く納品されていない状況。
・耳鼻科の処方箋を多く応需するため、オロパタジン、プランルカストの出荷調整の影響が大きい。 ・ロルカム、エディロールなど、GEメーカーが1社、2社の成分が自主回収になった際、入荷が滞り、先発品で投薬するしかない状況となった。

<協会による分析>
“事例として上げられただけでもかなり幅広い領域の医薬品において、供給不安定な状況が伺える。中には、GEメーカーが1、2社のみの場合に、出荷調整となると、その時点で先発品しか選択肢がなくなるケースや、先発品も影響を受け て出荷調整となっているケースもある。”

■「処方医との連携」に関連する事項
<調査で明らかとなった声>
・GEで納品出来ない商品が多過ぎて、患者や医療機関への報告や相談で通常業務が中々進まない現状。
・処方医への代替品の提案や、出荷調整の連絡が増えた。
・GEMR人員数に限りがあるため廻りきれない医院などがあり、処方医に早いタイミングでの説明が困難。
・先発品も入荷が滞ったため、医療機関へ別成分への処方変更を依頼する事態になり、治療への影響が出る事例も数十例でている。
・自主回収品から他メーカーへ切替えたが入荷できず、先発も入荷が滞ったため、医療機関へ別成分への疑義照会する事態になっている。
・カモスタットが出荷調整になり、他銘柄も入ってこず、後発銘柄処方に対しやむを得ず先発医薬品への処方変更を依頼。
・先発への変更または治療方針の変更を主治医と相談が必要になる。
・同成分薬のないフェルムを服用されていた患者様は処方をストップせざるをえない。
・フェルム(日医工)から比較的手に入るフェロミアに変更の提案が副作用の頻度の観点から処方医の納得を得られず、確保に奔走することに なった。
・プランルカストはDrに疑義照会しモンテルカストに変更した。
・プランルカストが出荷規制になり、他GEへの調整もつかず、仕方なく先発品を発注したが、先発品も入ってこず処方医に処方変更を依頼した。
・プランルカストが出荷調整があるが小児科、呼吸器科などの門前病院の理解が得られないことが多い。
・エルデカルシトールCap出荷調整の影響で先発も出荷調整がかかり入手できず、疑義照会にて他薬剤へ変更に。
・エルデカルシトールが出荷規制になり、仕方なく先発品を発注したが、こちらも入ってこない為処方医に変更を依頼した。
・現段階で、エルデカルシトール・トリアゾラム・ペリンドプリル・オロパタジン・ベニジピンは出荷調整となり、採用以外の他社への切り替えもできず、 先発品も出荷調整となっているため他剤変更等の検討を処方発行元と行っている。
・1主応需先の処方箋が一般名処方でなく、GEメーカー指定で出されるため、欠品により先発で調剤する場合は、その都度処方医に確認しな ければならないため、時間がかかる。2患者に欠品による商品変更の説明をし、了承を得る必要があるため時間がかかる。12合わせると、服 薬指導、交付までの時間が2倍になった。
・GEメーカーの不祥事が多くあった為、皮膚科と小児科、アレルギー外来の医師が今年に入り受診の際に患者へ先発品でもらうよう伝えている。
・医療機関へも説明をしメーカーの自主回収が要因なのでご理解をいただいているが頻度が高いと不信感にもつながっている。
・コロナ禍でMRが病院への情報提供ができておらず、処方変更の疑義照会時に医師からは「初耳だ」とやや不満気味に回答された。
・DrのGE不信により、変更不可が増えている。
・数品目のGEが入手困難、ドクターのGE不信が強まり加算を落とした。
・一連の不祥事で大多数の応需枚数を占める皮膚科の処方が先発品変更不可の処方になった。
・もともと処方医がGEに対して懐疑的であったため、さらに追い打ちをかける事態となった。

<協会による分析>
“患者の薬物治療継続のために処方医と連携する事例が多く見られた。自主回収や出荷調整のため納品されないGEが 多く、中には、GEでは調整がつかず、先発品に変更するケースや、処方医と治療方針や別成分への変更を相談するケー スもある。一方で、処方医のGE不信、変更不可、先発処方といった連携に苦慮しているケースも見られた。”

***************
<編集部コメント>
 後発薬の不祥事対応としては、法令違反の再発を防ぐために立入検査や承認の厳格化の措置が相次いでとられている。一方で、こうした徹底により、安定供給の面では、さらなる不足を招き、長期化することが予測されている。
 現状においても、日医工と小林化工を合わせた供給量は後発薬の約1割といわれており、回復には時間がかかる。両社の供給が従前に復帰したとしても、患者や処方医、医療関係者からの不信から忌避される可能性もある。仮にこの不足分を他社で補うには工場増設などの手立てしかなく、数年スパンでの時間がかかることになる。
 とはいえ、生命にかかわる医薬品の法令違反再発対策は、徹底するしか選択肢はないだろう。

 一方、薬局の後発薬への対応を報酬上で評価している「後発医薬品調剤体制加算」に関しては、財務省が減算や廃止を強く要望しており、薬局現場との意識の乖離は大きい。

 先発品から後発薬への置き換えによる医療費適正効果は年間推計で1兆6166億円であり(薬価基準改定の概要より)、財政効果上も、不足下の困難を鑑みても、「後発医薬品調剤体制加算」の継続は道理ではないだろうか。
 加えて、日本薬剤師会が主張している通り、「欠品している薬剤は加算算定の分母からはずす」といった“薬局ではどうにもならない事由”に配慮した加算体制とするべきだ。

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