【調査】オンライン服薬指導の認知度52.2%/再利用意向は76%/デロイトトーマツ調査

【調査】オンライン服薬指導の認知度52.2%/再利用意向は76%/デロイトトーマツ調査

【2021.08.16配信】デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:永田高士氏)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延が続く現状において、昨年度に続き、患者の通院やオンライン診療の認知・利用状況に関する調査結果を発表した。今回は新たに薬局によるオンライン服薬指導の認知・利用状況についても調査している。20歳以上のオンライン診療・オンライン服薬指導の利用経験者・未経験者を対象として、2021年5月23日~25日にWebアンケートを実施し1324人から回答を得たもの。


 オンライン診療の認知度は70.2%となり前年度の43.9%から大幅に増加した。
 今回から調査したオンライン服薬指導も認知度は52.2%と過半数だが、診療と比べると低い水準に留まった。

 利用者の割合は、オンライン診療で6.8%となり昨年の1.9%からは3倍超に増加しているものの低水準で、オンライン化の普及は進んだとは言い難い。オンライン服薬指導においても利用率は6.1%であった。

 オンライン診療および、オンライン服薬指導の利用者のうち、初診からの利用経験者が7割以上を占めており、今後も多くの患者が初診・再診に関わらず、利用意向があれば活用する判断をしている。

60代~70代以上は「使いたくない」が過半数

 オンラインサービスに対する再度利用意向は、COVID-19の蔓延が続く現況下において利用経験者の76%と高く、平時における利用意向でも、半数近くが利用を望んでいる。

 なお、未経験者に関して年齢層別にみた場合と、20代~50代の過半数、そのうち特に女性は「使いたい」と回答した一方で、60代~70代以上は「使いたくない」が過半数となった。

 オンラインサービスの利用につながるきっかけとしては、「医師・看護師が推奨するのであれば」という回答が3つ全てのサービスで最も高く、まだ認知が浸透していない状況において、医療従事者からの推奨は、患者がサービスを利用するうえで大きな後押しとなる。

「健康(食生活・運動)についての相談」のニーズも

 オンライン服薬指導に対して期待されている付随サービスとしては、「オンライン診療とオンライン服薬指導が連動していること」が最も高く、シームレスな患者体験が期待されている。

 「様々な薬についての相談」や「健康(食生活・運動)についての相談」という回答も多く、薬剤師とのオンラインコミュニケーションサービスの需要も高い。

 一方で、一般用医薬品(OTC)や日用品を含めた同時購入・配送などは、相対的には期待度が低い。

 同社では、調査結果に関して、次のように考察、提言している。 

■オンライン利用実績は、昨年度の調査結果と同じく決して高い水準とは言い難いが、「利用経験はないが、活用してみたい」と回答したポテンシャルユーザーや「コロナの不安がある間だけ使いたい」という回答者も一定割合確認できており、そのような方々を積極的にオンラインサービスに取り込むことができれば、オンラインサービスの更なる拡大は期待される。

■オンライン診療・服薬指導は患者にとって一つの有効な選択肢ではあるものの、対面診療・服薬指導から完全に切り替わるものではない。患者特性・地域特性等、患者の使い勝手を踏まえた“複線化”されたサービスを提供することが肝要である。

■今回の調査結果を踏まえると、例えば時間的制約が伴いやすい20代~50代は、その生活状況を踏まえて、オンライン診療・服薬指導との親和性が高いことがうかがえる。
 また、オンラインサービスの利用経験者ほど今後の利用意向が高いことが確認できたため、医療従事者からの推奨を含めて、“入り口”のハードルを工夫することが求められている。

■多様化する患者ニーズに対する有効な“選択肢”を増やすために、オンラインサービスの普及・啓発に向けて3つのことを提言したい。
・オンラインサービスの導入によって求められる、新たな業務プロセスや人材育成に積極的に取り組み、現場の対応力を高める。
・産業界全体で協力体制を組み、早期にデファクト・スタンダードを確立する。
・サービスの有効性・安全性を見極めるうえでも、産業界の各プレイヤーが積極的に導入しやすい環境・法規制・インセンティブを整備する。

この記事のライター

関連するキーワード


オンライン服薬指導

関連する投稿


【ホームケアIoT】薬局とオンライン服薬指導で連携/リンクジャパン社とメディバリー社

【ホームケアIoT】薬局とオンライン服薬指導で連携/リンクジャパン社とメディバリー社

【2023.09.21配信】AIとIoT技術で住宅機器をリンクするホームIoTプラットフォーム「HomeLink」を開発・提供する株式会社リンクジャパン(東京都港区)は9月20日、薬局を運営する株式会社メディバリー(東京都文京区)とオンライン服薬指導で連携すると公表した。


【経団連】オンライン服薬指導の要件緩和要望/「処方箋電送でも調剤を可能に」

【経団連】オンライン服薬指導の要件緩和要望/「処方箋電送でも調剤を可能に」

【2023.09.13配信】日本経済団体連合会(経団連)は9月12日、提言書「2023年度規制改革要望ー日本経済にダイナミズムを取り戻すー」をまとめ、公表した。この中で「オンライン服薬指導の要件緩和」を要望。電送された処方内容に基づいて行う薬剤の調製等も、薬剤師による訪問確認を前提とせず、「オンライン服薬指導後、薬剤師以外の従業員や配送員が患家を訪問し、処方箋を受領・内容を確認することにより、薬剤師本人による当該処方箋原本の受領・確認なしでも、遡って当該処方箋による薬局での調剤とみなす」こととすべきであるとしている。


【厚労省_コロナ5類移行後の体制】オンライン服薬指導「実施要領」の体制整備を

【厚労省_コロナ5類移行後の体制】オンライン服薬指導「実施要領」の体制整備を

【2023.04.21配信】厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、4月20日に「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」(令和5年4月 20 日最終改正)を発出した。オンライン服薬指導については、いわゆる0410通知を継続するものの、当該取扱いの終了に向けて「実施要領」(令和4年9月30日付け)の体制の整備を求めている。


【オンライン服薬指導】薬局での導入率は81.0%も、実施実績は13.1%の薬局にとどまる/日本保険薬局協会調査

【オンライン服薬指導】薬局での導入率は81.0%も、実施実績は13.1%の薬局にとどまる/日本保険薬局協会調査

【2023.03.09配信】日本保険薬局協会は3月9日、定例会見を開き、オンライン服薬指導に関する会員調査結果を公表した。それによると、システムを導入している薬局は81.0%と高い比率と違なったが、実施実績があるのは13.1%の薬局にとどまっていた。


オンライン服薬指導に“ついで買い”サービス拡充へ/オンライン診療・服薬指導・宅配の「SOKUYAKU」

オンライン服薬指導に“ついで買い”サービス拡充へ/オンライン診療・服薬指導・宅配の「SOKUYAKU」

【2023.01.27配信】オンライン診療・オンライン服薬指導・医薬品の宅配までをワンストップで提供するアプリ「SOKUYAKU」(ジェイフロンティア社提供)が、“ついで買い”のサービスを拡充している。オンライン服薬指導を受ける患者の中にはそのほかのOTC医薬品や日用品もついでに買いたいというニーズがあり、そのニーズに「SOKUYAKU」が応えるもの。もともと処方薬は配達員がドラッグストアや薬局にピックアップに行っているため、その際に一緒に同梱して他のものを届けるようにする。


最新の投稿


【日本保険薬局協会】中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント

【日本保険薬局協会】中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント

【2025.09.11配信】日本保険薬局協会は9月11日、定例会見を開いた。この中で9月10日に開かれた中央社会保険医療協議会総会の「調剤について」の議論の中で病院薬剤師の不足に関して多くの意見が出たことについてコメントした。


【日本薬剤師会】岩月会長、中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント

【日本薬剤師会】岩月会長、中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント

【2025.09.11配信】日本薬剤師会は9月11日に定例会見を開いた。その中で岩月進会長は、10日に開かれた中央社会保険医療協議会総会で、「調剤」の議題の中で「病院薬剤師」について多くの意見が挙がったことについてコメントした。


【日本薬剤師会】薬剤師PR資材を制作/「親子で知る薬剤師のお仕事」

【日本薬剤師会】薬剤師PR資材を制作/「親子で知る薬剤師のお仕事」

【2025.09.11配信】日本薬剤師会は9月11日に定例会見を開き、その中で薬剤師PR資材「親子で知る薬剤師のお仕事」を制作したと説明した。リーフレットのほか、短編動画も制作した。


AIエージェント活用したレセコン・薬歴開発へ/三菱電機デジタルイノベーション

AIエージェント活用したレセコン・薬歴開発へ/三菱電機デジタルイノベーション

【2025.09.10配信】三菱電機デジタルイノベーション株式会社(東京都千代田区、代表取締役 取締役社長:武田 聡氏)は、「AI エージェントが生みだす新たな薬局体験」をコンセプトとし、レセプトコンピュータ(以下「レセコン」)と電子薬歴を融合した「保険薬局向けオールインワンプラットフォーム」の開発に着手したと公表した。本サービスのプロトタイプを、2025年10月12日から開催される「第58回 日本薬剤師会学術大会」に参考出展する予定。


【厚労省】緊急避妊薬のスイッチOTC薬を承認へ/改正薬機法初の「特定要指導医薬品」に指定

【厚労省】緊急避妊薬のスイッチOTC薬を承認へ/改正薬機法初の「特定要指導医薬品」に指定

【2025.08.29配信】厚生労働省は8月29日、薬事審議会「要指導・一般用医薬品部会」を開催。緊急避妊薬「レボノルゲストレル」(一般名、あすか製薬)のスイッチOTC化を了承した。改正薬機法で規定する「特定要指導医薬品」として初めて指定した。


ランキング


>>総合人気ランキング