日本医師会常任理事の城守国斗氏は、後発医薬品の推進に関連して、デバイスが変わることで使用方法が変わる場合などにおいて、患者が受け入れづらく後発医薬品に変えづらいケースがあることを指摘。「いったん試しても戻したいということもあり、アドヒアランスも悪くなる」と話した。さらには後発医薬品にはない効能効果をもつ先発薬もあるとした。
そういった背景で、「後発薬変更不可」の処方箋が一定数存在しているとし、「変更不可欄を削除すべきではない。アドヒアランスの観点からやむを得ないことにご理解いただきたい」とした。
一方、自己注射薬の増加が今後、予測される中で、行政の方からデバイスへの工夫について促すことも必要ではないかとした。
安定供給の問題に関しては、監督の厳格化が「現状にも増して安定供給を阻害することも考えられる」とし、「まずは品質と安定供給の施策に関して工程表を定めることが必要ではないか」と話した。
日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦氏も、自身の体験も踏まえ「知る限り、後発薬に変更不可とするのは、ほとんどが患者さんからの要望。薬局で後発品にしませんかと再度聞かれることに対して、一定の負担を感じる高齢者もいる」とした。
こうした意見に対し、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、後発医薬品の供給不安定化について理由を検討すべきとした上で、後発医薬品の“変更不可欄”については、「患者から訴えがあっても、効果は同等であることを説明し納得いただくことも医師の大切な業務ではないか。不可欄は役割を終えたと思っている」として削除を求める意向を示した。
また幸野氏は後発医薬品調剤体制加算に関しては、現状を鑑みると、「減算の対象が4割は妥当なのか、加算の対象70%は妥当なのかについては検討が必要」と指摘した。
幸野氏の後発医薬品変更不可欄への意見に対しては、城守氏、池端氏が改めて反論し、「医師からはもちろん説明している。その上で患者が後発医薬品がよいということも権利だと思う」とした。
幸野氏もさらにコメントし、「限りある財源の中でどういていくかの観点で考えて欲しい」として、議論は平行線となった。
【中医協総会】後発薬“変更不可欄”で議論/池端委員「現状は患者の訴えがほとんど」
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