日本保険薬局協会会長の首藤正一会長は、緊急避妊薬をOTC化することに対し、賛成との考えを示した。薬剤師の資質向上やルール作りが必要としつつも、基本的に薬局薬剤師からの販売により「女性の利益につながるものではないかと思っている」との考えだ。
6月10日の定例会見の場で、前日に公表された「骨太の方針」に、「女性の活躍」の項で「緊急避妊薬を処方箋なしに薬局で適切に利用できるようにすることについて、本年度中に検討を開始し、国内外の状況等を踏まえ、検討を進める」と明記されたことに関連して発言したもの。
首藤会長は「この問題を賛成か反対に、白黒をつけるとしたら、賛成だ」と述べた。
一方、「手放しで賛成ではない」とし、「薬剤師の資質向上や一定のルール作りが必要」との考えも示した。
薬局の状況については、「現在はオンライン診療での対応などになるが、薬剤師の研修や対応薬局が増えている。思った以上にたくさんの薬局が取り組みを進めている。OTC化により薬剤師が応対することになるが、研修の充実や不適切な使われないようにすること、またプライバシーが守られる対応が必要になる」とした。
さらに、現在のOTC薬の制度の見直しも必要との考えを示した。「現行の医療用医薬品から一般用医薬品へのスイッチでは、まずは要指導医薬品になったあと、要指導薬から第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品への移行していく。要指導医薬品に求められているような(厳しい)指導の必要がなくなるため、こういったあたりのルールの整備も必要だ」と話した。
さらに、応対する薬剤師に関しても、現在のように研修を終えた薬剤師に販売を認めるなどのルール作りの検討も必要との認識を示した。

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