決算説明会の冒頭、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)を発注者とする医療用医薬品の入札に関し、2020年12月9日に同社連結子会社の東邦薬品及び同社社員1名が独占禁止法違反容疑で公正取引委員会から刑事告発され、東京地方検察庁により起訴されたことに関し謝罪。事態を厳粛に受けとめ、代表取締役3名の役員賞与を70%減額するほか、役員の月額報酬を10%削減する。また、社員のコンプライアンス研修を徹底するとした。
同社の2021年3月期決算は売上高1兆2102億7400万円(前期比4.2%減)、営業利益43億300万円(前期比75.5%減)、経常利益102億8900万円(前期比56.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益49億8900万円(前期比69.3%減)。減収とともに営業利益は大幅減益となった。営業利益率は0.36%にまで低減した。
コロナ禍の受診抑制や緊急事態宣言下の営業自粛などが響いた。
一方、今後の成長戦略としては、既存事業だけでなく、成長分野への積極投資により収益化を図っていく方針を示した。
成長分野としては、オンライン診療・リモートディテーリングなどのDXやバイオ医薬品・再生医療等製品・医療デバイス・検査薬・ワクチンなどをあげた。
オンライン診療・服薬指導では、2021年2月からシステム「KAITOS(カイトス)」の提供を開始している。差別化について、「コールセンターでのお客様フォローなど、ベンチャー企業にはできない取り組みをしている」と話した。
同社はグループ会社にジェネリック医薬品企業の共創未来ファーマを擁するが、21年3月期は薬価ベースで80億円を超える規模になったとし、626の大学病院等で採用されているとした。
定量試験、溶出試験、純度試験を自社で実施することで、高品質、高付加価値ジェネリックの安定供給を実現したい考え。
「原薬製造国」に続き2021年4月から「製剤製造企業名」を公開していることも説明した。

【東邦HD決算説明会】ジェネリック薬事業で純度試験等を自社で実施する取り組み説明
【2021.05.19配信】医療用医薬品卸の東邦ホールディングスは5月19日に決算説明会を開き、ジェネリック薬事業に関して、製剤製造企業名を公表している取り組みなどを説明した。ジェネリック医薬品企業で自主回収などのトラブルが相次ぐ中、同社では定量試験、溶出試験、純度試験を自社で実施すること高品質・高付加価値のジェネリック薬の安定供給を実現していきたい考え。
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