11月の総合感冒薬市場が35%減に。感染予防策の定着で

11月の総合感冒薬市場が35%減に。感染予防策の定着で

【2020.12.25配信】インテージヘルスケアは11月度の市販薬(OTC医薬品)市場の販売動向調査を公表した。それによると、総合感冒薬市場は前年同月比で63.4%に落ち込み、36.6%の減少となった。感染予防策の定着や高温だったことなどが要因。一方、消毒薬による手荒れに悩む人が多かったことから保湿を訴求する皮膚用薬は前年同月比152%と伸びた。


ドリンク剤1本タイプも不調。外出自粛の影響

 インテージヘルスケアは、全国一般用医薬品(OTC)販売動向調査のデータを基に、「2020 年 11 月度 市販薬市場トレンド」を発表した。市販薬はドラッグストアや薬局で販売される一般用医薬品(OTC)のことで、当該データは指定医薬部外品を含む。

 レポートでは「不調だった薬効」と、「好調だった薬効」を分析。

 「不調だった薬効」では、マスクの着用や手洗い、うがいなどの感染症予防対策の定着により不調が続く総合感冒薬が販売金額75.5億円、前年同月比 63.4%だったとした。全国的に気温が高かったことも影響し、一層厳しい状況となっている。そのほかの風邪関連薬も、鎮咳去痰剤が前年同月比 67.8%、口腔用薬(のどスプレータイプなど)が 80.1%、葛根湯(漢方薬)が 81.4%といずれも低調だった。

 ドリンク剤やミニドリンク剤は、外出自粛の影響が長く続いている。特に購入してその場で飲める1本タイプの販売が不調。

 また訪日観光客がほぼゼロの状態が続いていることで、外用鎮痛・消炎剤が前年同月比 98.9%、目薬が 92.9%とマイナスが続いているが、インバウンド購買の割合が大きい店舗以外ではプラスとなっている。

ひび・あかぎれ訴求の皮膚用薬が117.4%と好調。消毒剤が再浮上

 「好調だった薬効」では、皮膚用薬(殺菌消毒剤を除く)が、販売金額 69.6 億円、前年同月比 112.8%だった。消毒による手荒れに悩む人が多かったことが想定され、さらに当月は空気の乾燥傾向が強かったため、手荒れへの保湿を訴求した製品が前年同月比 152.6%、ひび・あかぎれ訴求では 117.4%と好調だった。

 感染症予防対策の代表的な薬効として好調を維持している殺菌消毒剤は、伸び率が徐々に鈍化していたが、11 月は前年同月比 269.3%、44.6 億円で、再び販売金額上位 10 薬効に入った。

市販薬市場全体は過去5年間の11月で最低水準

 なお、11 月度の市販薬全体の市場規模は 890 億円、前年同月比は 95.9%。過去 5 年間の 11 月の販売金額の平均を 100 とした場合の指数では、最低水準の 97.0 だった。売上シェアが大きい総合感冒薬が、感染症予防対策の定着により不調が続く中、全国的に高い気温によって、さらに売れなかったことが要因の一つ。

この記事のライター

関連する投稿


【市販薬の乱用】中学生にも/過去1年間の経験率は1.8%、55人に1人/嶋根研究班

【市販薬の乱用】中学生にも/過去1年間の経験率は1.8%、55人に1人/嶋根研究班

【2025.04.15配信】国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所は、「飲酒・喫煙・薬物乱用についての全国中学生意識・実態調査(2024年)」の報告書をホームページに掲載した。


【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【2025.01.15配信】日本OTC医薬品協会は1月15日、小学校向けに「健康とくすり」の出前授業を行ったと公表した。


【2024年5月度OTC薬市場】過去5年間で最も高い実績/外用鎮痛消炎剤が前年比9%増

【2024年5月度OTC薬市場】過去5年間で最も高い実績/外用鎮痛消炎剤が前年比9%増

【2024.06.24配信】インテージヘルスケアは6月24日、「2024年5月度 OTC医薬品(一般用医薬品) 市場概況」を公表した。それによると、2024年5月度のOTC市場は前年比103.8%。5年指数は112.6で、過去5年間で最も高い実績となった。外用鎮痛消炎剤や目薬などが前年を上回った。


【OTC薬乱用の調査】「推計65万人」判明/厚労科学研究

【OTC薬乱用の調査】「推計65万人」判明/厚労科学研究

【2024.06.20配信】このほど厚生科学研究調査で、市販薬の乱用経験者の推計が出た。65万人と推計された。


【ヘルスケア卸_大木】健康サポート薬局“48薬効”への考え示す

【ヘルスケア卸_大木】健康サポート薬局“48薬効”への考え示す

【2024.02.07配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングス(松井秀正社長)は2月7日に会見を開き、健康サポート薬局の要件に定められているOTC医薬品“48薬効”に関する取り組みの考え方を話した。


最新の投稿


【スギHD】セキ薬品の株式の取得/持分法適用会社化

【スギHD】セキ薬品の株式の取得/持分法適用会社化

【2025.08.19配信】スギホールディングス株式会社は8月19日、埼玉県を中心に調剤併設型ドラッグストアを展開する株式会社セキ薬品の株式(3万7929株、持株比率 34.8%)を取得し、持分法適用会社とすることについて決定し、同日、株式譲渡契約を締結したと公表した。


【薬局DXコンソーシアム】病院が新たに加盟/社会医療法人 仁厚会

【薬局DXコンソーシアム】病院が新たに加盟/社会医療法人 仁厚会

【2025.08.19配信】薬局DXコンソーシアムに病院が加盟した。社会医療法人 仁厚会が会員となった。


【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中

【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中

【2025.08.08配信】日本薬剤師会が公表した「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト」。このうちの1つの事項である「地域の医薬品情報の把握・共有の取組」。この実践へ向けて情報共有のためのシステム選定の動きも活発化してきた。こうした中、メディカルシステムネットワーク(MSNW)では、もともと地域薬剤師会と共に開発を進めてきた「LINCLEちいき版」の提案を強化している。すでに10以上の都道府県薬剤師会への提案を進行中だという。


【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例

【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例

【2025.08.08配信】厚生労働省はこのほど、保険調剤「確認事項」(令和7年度改訂版)を公表した。2枚処方箋を受け付けることにより、投薬期間上限を超えるなどの不適切事例を指摘している。


【東京都薬務課_危険ドラッグ】オピオイド受容体に働く成分を新規指定/水際対策の一環

【東京都薬務課_危険ドラッグ】オピオイド受容体に働く成分を新規指定/水際対策の一環

【2025.07.30配信】東京都薬務課は7月30日、定例会見を開き、7月3日に危険ドラッグに指定した成分について説明した。指定した3成分はいずれも興奮、陶酔又は幻覚作用等を有する。すでに厚労省でも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する大臣指定薬物に指定され、令和7年7月13日をもって施行された。