“朝活”の人は痩せる、早稲田大学が食事管理アプリ活用し調査

“朝活”の人は痩せる、早稲田大学が食事管理アプリ活用し調査

【2020.09.11配信】早稲田大学は、食事管理アプリ「あすけん」利用者を対象に、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛中の生活リズムの変化についてアンケート調査を行った。その結果、外出自粛中に朝型化した人は痩せ、夜型化した人は太ったことなどが明らかになった。調査は早稲田大学理工学術院の柴田 重信教授および田原 優准教授、株式会社askenが参加した研究グループが、askenが提供する食事管理アプリ「あすけん」の利用者に対しアンケート調査を行い、約3万人から回答を得たもの。


【2020.09.11配信】
 早稲田大学は、食事管理アプリ「あすけん」利用者を対象に、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛中の生活リズムの変化についてアンケート調査を行った。

 その結果、外出自粛中に朝型化した人は痩せ、夜型化した人は太ったことなどが明らかになった。
 調査は早稲田大学理工学術院の柴田 重信教授および田原 優准教授、株式会社askenが参加した研究グループが、askenが提供する食事管理アプリ「あすけん」の利用者に対しアンケート調査を行い、約3万人から回答を得たもの。

 調査の結果、10代から30代の若者において、平日の寝る時間、起きる時間が遅くなり、生活リズムが夜型化したことにより、平日と休日の生活リズムの差(社会的時差ボケ)が大きく解消したことが明らかになった。また、外出自粛中の体重変化と生活リズムの関係を調べたところ、平日・休日に関わらず、睡眠時刻が朝型化(早寝、早起き)した人は痩せ、夜型化(遅寝、遅起き)した人は太ったことが明らかになった。

 本結果は、コロナ禍の外出自粛により、学校や仕事に関する社会的制約(通学や通勤)の減少で若者の生活リズムが改善した貴重な社会実験データとなる。また、時間栄養学として、朝型化でダイエットに成功という新たなエビデンスが、3万人規模の調査で分かった初めての事例ともなった。

 本研究成果は、2020年8月29日(土)にオンライン開催された第7回日本時間栄養学会学術大会のワークショップ「個人ベースの時間栄養・運動」内で発表された。

 これまでの研究では、身近な体内時計(概日時計)の乱れとして、「社会的時差ボケ」と呼ばれる、平日と休日の生活リズムの差が昨今問題視されてきた。特に夜型の若者で顕著に起こり、平日の社会生活(仕事や学校)による早起きと睡眠不足(睡眠負債)、休日の夜更かし、朝寝坊による夜型化が原因と考えらる。
 社会的時差ボケは、学業における成績の悪化や、肥満等の生活習慣病とも関連があると多々報告されてきた。今回のコロナ禍による外出自粛、テレワーク、オンライン授業などが、日本国民の生活リズム等にどのように影響を与えるのかは、これまでの報告を大規模に検証できる、興味深いテーマ。

 一方で、本研究グループは、食のタイミングや内容を考える時間栄養学の研究を展開してきた。体内時計の乱れや朝食欠食、夜食などと肥満の関連がこれまでに明らかになっている。しかし、実際にどのような食べ方や生活をすれば、体重をコントロールできるのかはよく分かっていなかった。今回の外出自粛により、普段の生活習慣が大きく変わった可能性があり、調査によって生活習慣と体重変化の関係を掴める可能性があった。

 本研究グループは、askenが提供する食事管理アプリ「あすけん」の利用者に対し、外出自粛中の生活リズムの変化についてアンケート調査を行った。アンケート実施期間は2020年5月25日〜6月1日。調査方法は、「あすけん」アプリ上で、アプリ利用者を対象にアンケート調査を実施した。対象者は10代から70代までの男女。有効回答数は3万275人。

 主な調査結果として、特に10代から30代の若者において、平日の寝る時間、起きる時間が遅くなり、生活リズムが夜型化していた。一方で休日は生活リズムに変化は見られませんでした。その結果、これまで問題視されていた平日と休日の生活リズムの差(社会的時差ボケ)が大きく解消されていることが分かった。
 特に10代の若者では、外出自粛前に平均して1時間あった平日・休日の差が、平均20分まで短縮していた。また、睡眠時間も平日に全年齢で増加していた。一方で、睡眠の質が改善したと答えた人は全体の2割程度で、外出自粛による生活リズム改善が睡眠の質の改善には結びついていないことが分かった。これは、外出自粛による精神的な苦痛やストレスが影響しているものと考えられる。 

朝型シフトでダイエットが成功。研究グループは夜型支援の製品開発にも意欲

 また、朝型シフトでダイエットが成功していることもうかがえた。
 「あすけん」アプリ利用者の多くはダイエットを目的として利用している。そこで外出自粛中の体重変化と生活リズムの関係を調べたところ、外出自粛により平日・休日に関わらず、睡眠時刻が朝型化(早寝、早起き)した人が痩せ、夜型化(遅寝、遅起き)した人が太ったことが明らかになった。
 また、太った人は痩せた人に比べ、外出自粛中に活動量が低下し、ダイエットに挑戦しなかったと答えた人が多く、間食も増え、さらに睡眠の質も低下したと回答していた。睡眠不足や社会的時差ボケは、肥満の要因となる。しかし今回の研究成果は、睡眠の長さや社会的時差ボケと体重変化の相関は見られず、体重が増加した人も減った人も睡眠時間が増加し、社会的時差ボケが減少していた。従って、睡眠不足や社会的時差ボケの解消というよりも、朝型―夜型の変化、それに伴う活動量、間食、睡眠の質の変化が、短期間の体重変化に繋がったと考えられる。一方で年齢による差は特になかった。

 社会的時差ボケは、特に夜型の若者で週末に夜更かしをし、朝寝坊することで起こりやすく、学校の成績や肥満、免疫機能低下などに影響することが分かっていた。近年、学校の始業時間を遅らせることで、子供の睡眠、生活の質等が改善する報告が相次いでいる。今回の外出自粛は、学校や仕事に関する社会的制約(通学や通勤)の減少で若者の生活リズムが改善した貴重な社会実験データであると考えられる。

 また、遅い夜食や夕食中心の生活が肥満に繋がることが多々報告されているが、生活リズムの変化が実際にダイエットにどう影響するのかは明らかになっていなかった。今回の研究結果は、コロナ禍の外出自粛という生活を見直す機会を経て、体内時計とダイエットとの相関関係について国民規模で明らかになった貴重な事例であると考えられる。

 今後、研究グループでは、さらに「あすけん」アプリに記録された栄養摂取データを解析することで、どういった食べ方がダイエットに効果的か、体内時計や睡眠の観点から検討していく方針。また、社会的時差ボケ軽減と他の精神衛生やパフォーマンスの関係も検討していく。これらのデータを機械学習技術を取り入れながら解析することで、生活習慣や食生活からダイエットの成功率を予測したり、時間栄養学をベースにした、より効果的なダイエット方法を提示するようなアルゴリズムを構築できる可能性がある。

 研究者は、夜型を支援するような製品開発に意欲を示している。研究者は以下のようにコメントしている。
 「朝型や夜型の指向性は、生活習慣や外的環境によっても、また遺伝的素因によっても影響を受けます。また、多くの研究で夜型は朝型よりも健康被害が大きい結果です。夜型の人は遅れやすい体内時計を持っており、朝型生活にトライしても気を抜くと夜更かし朝寝坊しがちです。今後、夜型が朝型に負けないような生活習慣の提案、サプリメント等を開発していきたいと思います」

外出自粛前後における休日の就寝時刻の変化と、外出自粛中の体重変化を比較したグラフ。体重減少した人は、朝型化し、体重増加した人は夜型化した傾向が見られた

自粛による睡眠の質の変化スコア(1:とても悪くなった、2:悪くなった、3:変わらない、4:良くなった、5:とても良くなった)の平均値と、自粛中の体重変化を比較したグラフ。体重増加した人の方が睡眠の質が悪化した傾向が見られた

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