「薬局」の倒産数、コロナ禍が落ち着き減少へ/2022年度は15件/東京商工リサーチ調べ

「薬局」の倒産数、コロナ禍が落ち着き減少へ/2022年度は15件/東京商工リサーチ調べ

【2023.05.23配信】東京商工リサーチは5月23日、「調剤薬局」の倒産件数の調査結果を公表した。コロナ禍で過去最多となる23件を記録した2021年度からは減少し2022年度は15件だった。同社は「今後はオンライン化で淘汰が加速も」と分析している。


 同社の「2022年度(4-3月)の調剤薬局の倒産動向調査」の内容は以下の通り。

 2021年度に過去最多を記録した「調剤薬局」の倒産が、2022年度は15件と減少に転じた。2021年度の23件から、2022年度は34.7%減と大幅に減少した。コロナ禍で広がった受診控えが一転し、感染者数の減少などで戻り、処方箋枚数が回復したことが大きい。だが、電子処方箋などのデジタル化やネット注文、在宅調剤への対応、ドラッグストアを含めた大手薬局との競合はさらに激しさを増しており、中小の調剤薬局の淘汰はこれから本番を迎える可能性が高まっている。

 2022年度の「調剤薬局」の倒産は15件(前年度比34.7%減)と大幅に減少した。これはコロナ禍で広がった受診控えが落ち着き、処方箋枚数が戻って調剤医療費が回復したことが大きい。

 しかし、楽観できる状況にはない。大手薬局は、出店攻勢をかけM&Aも加速している。厚生労働省によると、2021年度の薬局数は6万1,791施設で、店舗数はコンビニエンスストアよりも多い。
 また、これまでの薬中心から薬局薬剤師業務や薬局の機能、効率性に応じた評価の見直し、在宅業務を推進し調剤後の状況確認、災害時などの地域支援、患者へのオンライン服薬指導などのICT活用など、患者中心とした対人業務への変化も進みつつある。

 2022年度の「調剤薬局」の倒産は、資本金1千万円未満が93.3%、負債1億円未満が73.3%、従業員数(正社員)10人未満が86.6%と、ほとんど小・零細規模の事業者が占めている。コロナ禍で経営が疲弊し、デジタル化投資や薬剤師の採用が厳しい事業者が多い。

 地域に根ざした「調剤薬局」は、なじみ客との丁寧な服薬指導が強みだ。だが、今後求められる在宅調剤やオンライン服薬指導、処方薬のネット注文、災害・感染症発生時などの体制整備などへの対応は投資負担が重く後手に回っている。人手不足(薬剤師不足)も深刻で、小規模の調剤薬局は大きな変革を迫られている。

 なお、本調査は、日本標準産業分類(小分類)の「調剤薬局」を抽出し、2022年度の倒産を集計、分析した。

従業員数別では4人未満が11件(73.3%)で最多、小規模倒産が目立つ

 2022年度の「調剤薬局」の倒産は15件(前年度比34.7%減)、負債総額は10億7,200万円(同57.2%減)で、件数、負債ともに前年度から大幅に減少した。
 コロナ禍前までは大手薬局との競争激化や薬剤師不足などで、「調剤薬局」の倒産は年間10件程度発生していた。そこにコロナ禍に見舞われ、感染予防や体調管理の強化などで病院の受診控えが広がり、処方箋の枚数が急減した。このため、売上が減少した調剤薬局の倒産が相次ぎ、2020年度、2021年度は2年連続で調査を開始した2003年度以降、最多件数を更新していた。


■原因別: 「販売不振」が約7割
 原因別では、販売不振が10件(前年度比37.5%減)と全体の約7割を占めた。処方箋の枚数が回復したとはいえ、大手や同業との激しい競争が続いている。次いで、偶発的原因など「その他」は2件、「放漫経営」と赤字累積の「既往のシワ寄せ」、「信用性低下」が各1件だった。


■負債額別: 7割が負債1億円未満の小規模倒産
 負債額別では、最多が1千万円以上5千万円未満で6件(構成比40.0%、前年度比57.1%減)。続いて、5千万円以上1億円未満が5件(同33.3%、同25.0%増)、1億円以上5億円未満が4件(同26.6%、前年度同数)で、5億円以上は発生しなかった。 


■資本金別ほか: 小規模薬局が大半を占める
 資本金別では、最多が1百万円以上5百万円未満で9件(構成比60.0%、前年度比18.1%減)。次いで、5百万円以上1千万円未満が4件(同26.6%、前年度同数)だった。従業員数(正社員)別では、4人未満が11件(同73.3%、前年度比42.1%減)と7割を占め、小規模倒産が目立った。

この記事のライター

関連するキーワード


倒産 コロナ 薬局

関連する投稿


【倒産情報】調剤薬局経営の有限会社ウィスタリア(新潟・村上市)が破産申請へ

【倒産情報】調剤薬局経営の有限会社ウィスタリア(新潟・村上市)が破産申請へ

【2023.09.15配信】東京商工リサーチ新潟支店によると、調剤薬局経営の(有)ウィスタリア(新潟・村上市)が破産による整理を予定している。新型コロナウイルス関連倒産では県内110番目としている。


【オンライン医療相談や診察】コロナ5類後の継続意向は56.8%/内閣府調査

【オンライン医療相談や診察】コロナ5類後の継続意向は56.8%/内閣府調査

【2023.04.20配信】内閣府は4月19日、「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」を公表した。これまでにも公表しているもので前回は2022年7月22日の公表。今回は「オンライン医療相談や診察」のコロナ5類後の継続意向は56.8%だった。


【厚労省】コロナ5類移行に伴う調剤報酬の取り扱いで事務連絡発出/オンライン服薬指導の“0410通知”のコロナ特例は令和5年7月31日で終了

【厚労省】コロナ5類移行に伴う調剤報酬の取り扱いで事務連絡発出/オンライン服薬指導の“0410通知”のコロナ特例は令和5年7月31日で終了

【2023.04.03配信】厚生労働省は3月31日、事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」を発出した。調剤報酬関連では、コロナ患者への調剤に関わるものでは「在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1」(500 点)を継続するほか、店頭でのコロナ薬調剤では「服薬管理指導料」について2倍とする内容を記載。また高齢者施設においても「在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1」が算定できる内容。加えて、オンライン服薬指導については、いわゆる“0410通知”の特例を令和5年7月 31 日をもって終了するとした。


【パキロビッド®パック】3月22日から一般流通へ/国購入分は3月28日までの発注で配分終了

【パキロビッド®パック】3月22日から一般流通へ/国購入分は3月28日までの発注で配分終了

【2023.03.15配信】厚生労働省は3月15日、事務連絡「新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(パキロビッド®パック)の薬価収載に伴う医療機関及び薬局への配分等について(その2)(周知)」を発出。これまで国による購入・配分としていた同剤について3月22日から一般流通が開始されることに伴い、国購入分の配分は3月28日15時までの発注をもって終了とするとしている。


【厚労省中医協】コロナ特例、調剤の緊急薬剤配送の算定は継続評価へ/点数は未定

【厚労省中医協】コロナ特例、調剤の緊急薬剤配送の算定は継続評価へ/点数は未定

【2023.03.08配信】厚生労働省は3月8日、中央社会保険医療協議会 総会を開き、「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取扱い」を議論した。この中で調剤における、「自宅・宿泊療養患者に緊急に薬剤を配送した上での対面/電話等による服薬指導(対面500点、電話等200点)」については継続して評価する方針が示され、概ね了承された。ただし、点数については言及はなく、減点の可能性はありそうだ。近く、とりまとめを行う見込み。


最新の投稿


【ドラッグストア協会】調剤売上1兆4025億円(前年比9.5%増)、市場シェアは17.8%に/第24回(2023年度)ドラッグストア実態調査

【ドラッグストア協会】調剤売上1兆4025億円(前年比9.5%増)、市場シェアは17.8%に/第24回(2023年度)ドラッグストア実態調査

【2024.04.12配信】日本チェーンドラッグストア協会は4月12日に定例会見を開き、「第24回(2023年度)日本のドラッグストア実態調査」(速報)の結果を公表した。


【日本保険薬局協会】薬剤師会の“傘下”のような取り組み、「違和感」/休日・夜間対応リスト作成で三木田会長

【日本保険薬局協会】薬剤師会の“傘下”のような取り組み、「違和感」/休日・夜間対応リスト作成で三木田会長

【2024.04.11配信】日本保険薬局協会は4月11日に定例会見を開いた。


【日本保険薬局協会】薬機法改正、「議論過程に入りたい」

【日本保険薬局協会】薬機法改正、「議論過程に入りたい」

【2024.04.11配信】日本保険薬局協会は4月11日、定例会見を開いた。


【抗原検査キット】取り扱い薬局リストの厚労省での公表が終了/日本薬剤師会のHPへ移行

【抗原検査キット】取り扱い薬局リストの厚労省での公表が終了/日本薬剤師会のHPへ移行

【2024.04.10配信】日本薬剤師会は4月10日に定例会見を開いた。その中で抗原検査キットの取り扱い薬局リストについて、厚労省HPでの公表が終了することに伴い、当面の間、日本薬剤師会のHPに掲載すると報告した。


【新生堂薬局】全店でたばこの販売を停止/2024年9月末までに

【新生堂薬局】全店でたばこの販売を停止/2024年9月末までに

【2024.04.09配信】株式会社新生堂薬局(本社:福岡市南区/代表取締役社長 水田怜氏)は4月8日、2024年9月末までに全店鋪でたばこの販売を停止することを決定したと公表した。


ランキング


>>総合人気ランキング