薬機法改正では「厚労省の審議会・検討会とりまとめの内容をないがしろにすることなく実施を」
日本薬剤師会は自由民主党政策懇談会で要望書を提出した。
「薬剤師・薬局が直面する喫緊の課題」と題し、1番目には「薬価基準の中間年改定について」を記載。
7年連続で実施された薬価改定により、製薬企業をはじめとする日本の医薬品サプライチェーン全体が崩壊し始めていると窮状を訴えた。加えて、物価、人件費の高騰が大きく影響し、医薬品の安定供給に支障が生じ、薬物治療の維持・確保が困難になっていると説明。
国民が適時・適切に医薬品を入手可能とする薬価制度の抜本的な対策とともに、中間年の薬価改定は廃止するべきであると要望した。
また、2番目に挙げた要望は「医療DXの推進について(電子処方箋、薬局DX)」。
薬局は積極的に医療DXに取り組んでいるとした上で、処方箋の電子化による効果を国民が実感するためは、薬局全体のインフラ整備、特に調剤室における電子処方箋の取扱いに対応した調剤業務環境のデジタル化の早急な実現が必要であると説明。
より質の高い医療提供の実現には、薬局が医療機関から診療情報の提供を受け取るだけでなく、薬局が有する調剤情報・服薬情報等を医療機関へ提供する相互連携が重要であるとし、電子診療録と整合のある調剤録・薬歴情報の標準化や薬局の基盤整備を含めた薬局のDX対応が不可欠であると強調した。
3番目の要望事項は「規制改革事案への対応について(医薬品販売制度、在宅医療)」。
この課題については、「インターネットを中心とした不確かな情報が氾濫し、また利便性の向上という名のもと、安全性が疑われる医薬品の提供等により、国民が危険に晒されている」と現状を分析。その上で、「現代社会においては、これまで以上に、医薬品の専門家である薬剤師及び登録販売者が、患者または医薬品購入者の相談に基づき、必要な指導・説明を行った後に提供・販売する制度を維持・強化することが必要である」と前提を説明。
また在宅患者への医薬品の提供については、患者への安全で有効な薬物治療の提供を脅かさないよう、それぞれの医療関係職種の職能・専門的知識・経験を活かした医薬品提供体制の構築を原則とし、多職種間連携による対応策や工夫により改善を図っていくことが必要であるとした。
加えて「次期薬機法等改正」については、「地域住民のセルフメディケーションの安全性確保、及びオーバードーズ対策を含む適正使用のため、次期の薬機法改正に向けた検討においては、国民・患者の安全を第一に、医薬品適正使用の確保・維持という大前提の下、厚生労働省の審議会・検討会による「とりまとめ」の内容をないがしろにすることなく実施することが必要である」とした。