【コロナ対策】忘れられがちな「ウイルス曝露量」という視点

【コロナ対策】忘れられがちな「ウイルス曝露量」という視点

【2020.08.04配信】東京都の新規患者数が初めて400人の大台を超えるなど、再び感染拡大の懸念が広がっている新型コロナウイルス感染症。感染拡大の抑制が喫緊の課題となる中、感染リスクである「ウイルス曝露量」という基本的な考えが浸透していないことへの危険性が指摘され始めている。コロナは未知のウイルスとして、これまでのウイルスとの“違い”に報道の力点が置かれてきた感がある。しかし、共通して対策となる点があり、その一つが「ウイルスの曝露量」だ。感染するときに浴びるウイルスの量によってその後の症状、重症化するかどうかなどが左右されるということだ。


対策意識の低い集団では重症化の可能性も

 東京都の新規患者数が初めて400人の大台を超えるなど、再び感染拡大の懸念が広がっている新型コロナウイルス感染症。感染拡大の抑制が喫緊の課題となる中、感染リスクである「ウイルス曝露量」という基本的な考えが浸透していないことへの危険性が指摘され始めている。
 コロナは未知のウイルスとして、これまでのウイルスとの“違い”に報道の力点が置かれてきた感がある。例えば、「高齢者が重症化しやすい」「感染しても無症状が多い」「嗅覚・味覚異常が出る」といった具合だ。
 こうした報道の中で見落とされがちなのが、これまでのウイルスとの“共通点”だ。医療関係者からみれば、基本中の基本であるため強調されず、メディアは新規性がないために報道しない。そのことから、コロナ拡大の対策として見落とされがちになる視点もある。
 その一つが「ウイルスの曝露量」だ。感染するときに浴びるウイルスの量によってその後の症状、重症化するかどうかなどが左右されるということ。これはMERS(マーズ、中東呼吸器症候群)やSARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)でも報告されていることであり、コロナも同様である。

 どういうことかというと、同じ「感染する」といっても、より多くのウイルスを浴びて感染した場合、重症化しやすいということだ。
 コロナではこのウイルス曝露量と重症化の相関について、ウイルスへの曝露量が多いことで免疫のインターフェロンの分泌が抑制されてしまい重症化するのではないかとの考察も出ている(アメリカのイエール大学の研究、https://doi.org/10.1016/j.chom.2020.05.008)。
 この“基本中の基本”を考えた時に、危険性が高いと想像できるのが、いわゆる“感染パーティー”だ。
 感染して免疫を持った方がよいという考えで集まりを持つ集団があった場合、マスクもしていないから浴びるウイルスの量は増える。「若いから大丈夫」という発想だけではなくて、「そこでたくさんのウイルスを浴びていると、重症化のリスクが高いですよ」ということは、忘れられてはいけない観点だ。
 “パーティー”まではいかなくとも、「軽症の人も多いみたいだし、対策はしなくても大丈夫かな」という意識の人同士が集まるコミュニティでも同じようなことが起こり得るだろう。
 コミュニティや集団がいかに感染症の対策で鍵となるかの一つの表れだ。その集団の中でも“しっかりマスクをしている人”がいた場合、誰が感染者かが分からないことを考えると、その人のマスクという対策が、マスクをしていない人の重症化リスク低減に役立っている。「情けは人のためならず」の諺通りのことがここで起きていることになる。

対策の人が多いから軽症が多い!?

 ウイルスを浴びる量が多いと重症化しやすいという原則を裏返すと、いま、日本で軽症が多いのはマスクやソーシャルディスタンスなどの対策をしっかりしている人が多く、ウイルス曝露量が少ないことが理由、という仮説も成り立つ。
 そして、この仮説に基づけば、いま、対策の緊張感がゆるんで、曝露量が多い状態の場が増えていくと、重症化の人が増えていく可能性だってあり得る。
 一般的に、どのウイルスだろうと、ウイルス感染症の重症度は体内で増殖したウイルス量に相関する。だから、最初に浴びたウイルスの量だけではなく、その後、体内のウイルス増殖を抑えるか、免疫を上げるかの治療が重症化予防につながることはいうまでもない。
 ただ、感染する当初のウイルス曝露量にも配慮していくべきではないか。当然、人ではウイルスの曝露量と重症度との関連を実験的に確かめることなどできないが、動物実験ではウイルスの接種量を増やすと重症度や致死率が上がることは明らかになっている。
 「若い」といった個体差だけでなく、「ウイルス曝露量」という共通の対策を忘れないでほしい。いま、感染が再拡大する局面では、今一度、このことを確認しておいてほしい。

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