【OTC薬協】「2040年問題」へ、OTC薬活用を/今後の活動方針など公表/高血圧関連調査も公表

【OTC薬協】「2040年問題」へ、OTC薬活用を/今後の活動方針など公表/高血圧関連調査も公表

【2023.08.23配信】日本OTC医薬品協会は8月23日に記者会見を開き、このほど策定した協会ポリシーや今後の活動方針などを公表した。「2040年問題」へ向けてOTC薬活用を提言していくことなどが大きな柱。今後、厚労省「医薬品販売制度検討会」など、多彩な場を通して、協会の理念を伝えていく方針。


 協会は「新しいOTC医薬品の提供方法の提案」も説明。

 血圧や脂質、尿酸などについては自覚症状がないことから、自覚症状に代わる自己管理指標の設定やその記録を生活者が取得することが必要と提示。また、提供体制としても、薬剤師からの適切な服薬指導やフォローアップ、メーカーからも適正販売や適正使用を促進・管理していくことが前提と考えているとした。

 その上で、そのためには①生活者情報の確認(状態が安定していること、例えば服薬中の薬が一定期間変更されていないこと等)、②検査環境の提供とともに定期的な検査を行っていることの確認、医師と薬剤師との連携、③適正使用ガイド(対象者、副作用マネジメント等)、④受診勧奨フローチャートーーなどの活用が考えられるとした。

 適正な使用に向けては、適正使用ガイドを作成・推進するほか、取り決めを遵守しない販売店にはメーカーは出荷しない停止措置を設けることも案として示した。受診勧奨フローチャート、生活者情報の確認、検査環境の整備、必要な受診勧奨などを行い、定期的な健康診断や食事・運動の記録や身体計測記録を行うとし、条件をクリアできない生活者には販売を停止することも案として示した。

 

 協会では今回、7月に行ったWEB調査の結果も公表。高血圧治療をしている935人のうち、約半数の440人が6か月以上同一の薬が処方されており、そのうち、通院の目的が「薬の処方を受けること」の人は3割の140人であり、さらにそのうちスイッチの購入意向のある人は約半数の73人だった。

 WEB調査結果については、協会が展開しているアドバイザリーボードなどでも各種の意見があるところという。例えば、今回の調査はあくまで生活者の意識調査であり、カルテなど医師の見解が含まれていないために限界がある、といった意見があったという。

 また、高血圧などを対象としたOTC薬の活用に関しては、対象者について、状態が安定していて 治療されていない人、治療を中断してしまった人なども考えられるという意見もある一方、幅広い対象とすることには、血圧の管理がしっかりできるのか、OTC薬を服薬してもかえって管理できなくなるのではなどの意見もあったという。医師がしっかり管理して処方すべきとの意見もあるという。

 会見した協会理事長の磯部総一郎氏は、協会としてはアドバイザリーボードなども通して環境整備をしっかりしていくことが重要との考えを表明。

 その上で、コロナ禍で検査薬・OTC薬の活用が求められたように、人口が減少していく2040年問題ではコロナ禍と同様の状況になる可能性があるのではないかと指摘。2040年を迎えてから問題解決にOTC薬が有効だと認められてもすぐには整備がいきわたらず、ジェネリック医薬品と同様の問題が起きるのではないかとの危惧があるとし、今から「2040年問題」に向けてOTC薬活用への議論を深めるべきだと強調した。

この記事のライター

関連する投稿


【OTC薬協】新会長に上原茂氏(大正製薬社長)/書面で就任所信表明

【OTC薬協】新会長に上原茂氏(大正製薬社長)/書面で就任所信表明

【2025.05.19配信】日本OTC医薬品協会は5月19日、新会長に上原茂氏(大正製薬社長、大正製薬ホールディングス社長)が就任したと発表した。就任会見は行わず、所信表明である「会長就任のご挨拶」を書面で配信した。


【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【2025.01.15配信】日本OTC医薬品協会は1月15日、小学校向けに「健康とくすり」の出前授業を行ったと公表した。


【2024年5月度OTC薬市場】過去5年間で最も高い実績/外用鎮痛消炎剤が前年比9%増

【2024年5月度OTC薬市場】過去5年間で最も高い実績/外用鎮痛消炎剤が前年比9%増

【2024.06.24配信】インテージヘルスケアは6月24日、「2024年5月度 OTC医薬品(一般用医薬品) 市場概況」を公表した。それによると、2024年5月度のOTC市場は前年比103.8%。5年指数は112.6で、過去5年間で最も高い実績となった。外用鎮痛消炎剤や目薬などが前年を上回った。


【楽天三木谷氏】“濫用薬”の規制方向「撤回を」/デジタル社会構想会議で表明

【楽天三木谷氏】“濫用薬”の規制方向「撤回を」/デジタル社会構想会議で表明

【2024.04.24配信】デジタル庁は4月24日、第 9 回デジタル社会構想会議を開いた。この中で三木谷浩史氏(楽天グループ株式会社/一般社団法人新経済連盟)は厚労省の進める“濫用薬”の規制方向を撤回するよう意見した。


【医薬品販売制度】神谷政幸参議院議員に聞く/強まる規制改革の声、「横串を刺すのが政治の仕事」

【医薬品販売制度】神谷政幸参議院議員に聞く/強まる規制改革の声、「横串を刺すのが政治の仕事」

【2024.02.22配信】「医薬品医療機器制度部会」にステージを移した医薬品販売制度改正。これまでと今後の展望について、自民党の「厚生労働部会 薬事に関する小委員会」の事務局長として議論の行方にも関わってきた参議院議員の神谷政幸氏にインタビューした。


最新の投稿


【厚労省】次期調剤報酬改定へ「現在の薬局の立地に至った経緯」調査

【厚労省】次期調剤報酬改定へ「現在の薬局の立地に至った経緯」調査

【2025.07.10配信】厚生労働省は7月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度調査)の調査票案」を提示した。次期調剤報酬改定議論の基礎資料となるもの。


【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ

【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ

【2025.07.02配信】奈良県議会は7月2日、奈良県議会本会議において「薬価制度の抜本的改正を求める意見書」を会派全会一致で採決した。


【厚労省】電子処方箋の新目標を公表

【厚労省】電子処方箋の新目標を公表

【2025.07.01配信】厚生労働省は7月1日、第7回「医療DX令和ビジョン2030」を開催し、電子処方箋普及の新目標を公表した。


【日本薬剤師会】定時総会会長演述/岩月進会長

【日本薬剤師会】定時総会会長演述/岩月進会長

【2025.06.29配信】日本薬剤師会は6月28・29日に第106回定時総会を開き、その中で岩月進氏が会長演述を行った。


【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【2025.06.26配信】株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋氏)の連結子会社である医療AIカンパニー、株式会社MG-DX(本社:東京都渋谷区、代表取締役:堂前紀郎、以下「当社」)は、薬局特化型の接客AIエージェント「薬急便 遠隔接客AIアシスタント」において、OTC医薬品の遠隔販売に特化した新たなシナリオを構築したと公表した。


ランキング


>>総合人気ランキング