東京都薬剤師会会長の永田泰造氏は、医療DXを推進する意向を示した上で、オンライン服薬指導のルールだけでなく、実施に際したキャッシュレス決済や配送などの仕組みについて、東京都や東京都薬剤師会が関与した上で、一定の仕組みを構築していく必要があるとの考えを示した。
背景の1つとして、会員薬局からキャッシュレス決済においてポイントの“ダブル付与”などの実態があるとの報告があるという。
そのため永田会長は会員薬局に対して実態に関するアンケート調査を行う考えを表明。集計後には今後の会見等で公表したいとした。
薬局業界においては“調剤ポイント問題”として問題が大きくなった時期がある。中医協等でも保険薬局等における一部負担金の受領に応じたポイントの付与等について
厚労省でも健康保険法等においては、いわゆるポイントの提供や使用自体を規制する規定はないものの、ポイントの提供や使用が一部負担金の減額に当たる場合があれば、これらの規定に違反するとの見解を示している。クレジットカードの支払いとそれによるポイント付与は患者の支払の利便性向上が目的であることに鑑み、やむを得ないものとして認めることとしつつ、業界では1%程度が上限とのコンセンサスになっている。
こうしたこれまでのコンセンサスが、オンライン服薬指導の決済に伴い崩れつつあるとの懸念を示したものといえる。
公的保険にかかわる患者負担金の支払いに対するポイント付与は、「患者が保険調剤で支払う一部負担金を割引くこと、次回の一部負担金を減免すること」は、公定価格の割引行為に該当するため、認められていない。

【オンライン服薬指導における“ポイント付与”】実態のアンケート調査実施意向/東京都薬剤師会
【20230.05.12配信】東京都薬剤師会は5月12日に定例会見を開き、オンライン服薬指導における支払い時にポイントが付与されている実態に関してアンケート調査を実施する意向を示した。ポイントを“ダブル付与”するような事例があるとの報告があることから実態を調べる。公的保険のポイントに関しては1%までが上限とのコンセンサスがあり、それを超える実態があるのではないかとの疑問が呈されている。
関連する投稿
【東京都薬剤師会】独自eラーニングに連携強化加算対応コンテンツを追加
【2025.04.04配信】東京都薬剤師会(都薬)は4月4日、定例会見を開いた。この中で、都薬独自eラーニングであるt-MYLSに連携強化加算対応のコンテンツを追加したと説明した。
【東京都薬剤師会】髙橋会長「若い人がやってくれたら嬉しいと思っていた」/会長選で
【2025.03.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は3月7日に定例会見を開いた。この中で髙橋正夫会長は、2期目続投を決めた都薬会長選挙について語った。
【東京都薬剤師会】賃上げと物価高騰の状況調査実施/骨太方針や改定基礎資料に
【2025.03.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は3月7日に会見を開き、「薬局経営における賃金引き上げ状況及び物価高騰の影響に関する調査」を実施することを明らかにした。薬局の賃上げ対応については令和6年度調剤報酬改定で調剤基本料に含める形で対応されたが、十分な評価になっていないとの指摘も上がっている。
【東京都薬剤師会】緊急避妊薬調査事業、協力医療機関数が250に
【2025.02.07配信】東京都薬剤師会は2月7日に定例会見を開いた。この中で、緊急避妊薬販売にかかる環境整備のためのモデル的調査事業の協力医療機関リストを公開した。250の医療機関から協力を得た。
【東京都薬剤師会_カスハラ調査結果】「漂白剤かけられた」/事件性疑われる事例も複数確認
【2025.01.10】東京都薬剤師会(都薬)は1月10日に定例会見を開いた。その中で都薬が進めていたカスハラに関する調査結果を公表した。「ハイターをかけられた」などの事件性が疑われる案件も複数明らかとなり、薬局・薬剤師が苦しめられている状況がわかった。一方で、医療従事者として我慢して対応している薬剤師の姿も浮かび上がった。また、きっかけに医薬品不足や選定療養などの社会環境や制度変更もあった。
最新の投稿
【後発薬調剤体制加算】神谷政幸議員が国会質疑/日薬岩月会長も質疑に言及
【2025.05.08配信】5月8日、参議院厚生労働委員会が開かれ、薬剤師の資格を持つ国会議員である神谷政幸氏が後発医薬品調剤体制加算について質疑した。同日、質疑後に別途、開かれた日本薬剤師会定例会見でも岩月進会長が関連質疑に対してコメントした。
【2025.05.07配信】自民・公明・維新による社会保障改革に関する3党協議が5月7日に開かれた。
【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で
【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。
【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意
【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。
【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について
【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。