【規制改革推進会議WG】調剤外部委託、経団連などが「一包化以外対象に」「距離制限撤廃」を要望

【規制改革推進会議WG】調剤外部委託、経団連などが「一包化以外対象に」「距離制限撤廃」を要望

【2022.09.22配信】政府の規制改革推進会議は9月22日、「第9回 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」を開き、「薬剤師の対人業務の強化のための調剤業務の一部外部委託について(フォローアップ)」を議題とした。日本経済団体連合会(経団連)などから、一包化以外の薬剤取り揃えを対象とすることや、三次医療圏などの距離制限を撤廃すべきとの意見が出た。事務局は意見にのっとり、今後、議論していく方針を示した。


経団連「委託先は薬局に限定する必要はない」

 調剤業務の一部外部委託をめぐっては、厚労省がワーキングを進めてきており、とりまとめとして、委託可能な業務を「一包化(直ちに必要とするものを除く)」とすることや、委託先については同一3次医療圏内の薬局とすることを記載した。
 外部委託が法令上実施可能となった後に、安全性、地域医療への 影響、薬局のニーズ等を確認し、必要に応じて見直しを行うとしていた。

 しかし、同日の規制改革推進会議WGでは、経団連が要望書を提出し、業務を一包化だけでなく薬剤の取り揃えを対象とすることや、距離制限について撤廃することを求めた。

 経団連は資料で、委託対象業務の範囲については高齢者施設などの業務への対象緩和を求めた。「高齢者施設入居者や訪問診療を受けている在宅患者向け、応需した薬局に在庫のない慢性疾患薬など、委託が 便利・有用な局面は一包化以外にも多くある。一包化に付帯する処方も同様。最低限、こうしたケースは対象 に含むべき」とした。一包化だけを対象とした場合、むしろ煩雑になるとした。

 また距離制限については「距離により一律に制限を設けることには合理性が無い」とし、「隣接県や隣接県でなくても 一定の期間内で配送可能な範囲であれば、外部委託を認めるべき」とした。

 加えて、「委託先を薬局に限定する必要はない」とした。その上で、「薬局に限定するとしても、①受託した対物業務、②オンライン服薬指導のみを行うことを自ら定めた薬局につ いては、対面での服薬指導を前提とした構造規制の一部は不要であり、合理化が必要。(①は、対面指導が必 要な場合は委託元が行う。②も、オンラインで実施できる場合しか応需しないので対面指導ができることを担 保する必要性がない)とした。
 構造規制についても、「こうした薬局については、患者による保険薬局の自由な選定のため必要とされる公道からのアクセスや外観の 明確性も他の手段で代替可能。具体的には、①委託先に係る情報を委託元が患者に提供すること、②インター ネット上で当該薬局に関する充実した情報を提供すること等が考えられる」とした。

 ファルメディコの狭間研至氏も資料で、「一包化に限定せず、取り揃え等も含む」ことは、「薬剤師の対人業務を充実させるには必須」としたほか、「距離制限は基本的に設けない」こととし、「永続性のあるシステム構築を可能にする」必要があるとした。処方箋40枚規制については、「機械・ICT活用下の調製業務の基準ではない」とし、「医療機関の調剤業務」も外部委託の対象とすべきとした。 中小病院薬剤師の対人業務シフトも重要だとした。

 事務局は、今後、上記のような意見に関して議論していくことになるとの考えを示した。
 

この記事のライター

関連する投稿


【規制改革】薬局の処方箋40枚規定、「再検討」を厚労省に要望

【規制改革】薬局の処方箋40枚規定、「再検討」を厚労省に要望

【2024.09.30配信】内閣府規制改革推進会議「第1回 健康・医療・介護ワーキング・グループ」が9月30日に開かれた。この中で、規制改革ホットライン処理方針 (令和6年3月16日から令和6年7月19日までの回答)が報告され、「薬局に係る40枚規制」について 厚労省に再検討を要請するとした。厚労省サイドは「検討を予定」と回答しつつも、「慎重に検討する必要がある」としている。


【厚労省】調剤業務の一部外部委託でQ&A発出

【厚労省】調剤業務の一部外部委託でQ&A発出

【2024.05.10配信】厚生労働省は5月9日、「国家戦略特別区域調剤業務一部委託事業の実施要領に関する質疑応答集(Q&A)」を発出した。


【厚労省】調剤外部委託の特区実施要領を通知/特区事業開始の素地整う

【厚労省】調剤外部委託の特区実施要領を通知/特区事業開始の素地整う

【2024.05.09配信】厚生労働省は5月9日、「国家戦略特別区域調剤業務一部委託事業の実施要領」を発出した。これにより大阪での特区事業実施の素地が整うことになる。


【規制改革推進会議】規制緩和求めた「住田町」 / “町唯一の”薬局「夜間休日対応、連携で可能」

【規制改革推進会議】規制緩和求めた「住田町」 / “町唯一の”薬局「夜間休日対応、連携で可能」

【2024.05.08配信】4月26日に開かれた内閣府の規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG) では、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供について」が議題の1つとなり、岩手県気仙郡住田町の町長から訪問看護ステーションへの薬剤ストックの提案がされた。同町で唯一である薬局が本紙取材に応えた。


【規制改革推進会議WG】スイッチOTC促進議論/令和8年末までOTC化目指す成分リスト公開

【規制改革推進会議WG】スイッチOTC促進議論/令和8年末までOTC化目指す成分リスト公開

【2024.03.29配信】内閣府規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ」(WG)が3月28日に開かれ、スイッチOTCの促進について議論された。


最新の投稿


【日病薬】阪大病院のシステム起因の調剤過誤事案、「通知発出も含め対応検討」

【日病薬】阪大病院のシステム起因の調剤過誤事案、「通知発出も含め対応検討」

【2024.10.02配信】日本病院薬剤師会は10月2日、定例会見を開いた。その中で記者から大阪大学医学部附属病院で起きた薬剤部門システムのプログラム不具合による注射抗がん薬の過量投与の発生への対応について質問が出ると、今後、会員向けに対応を支援する目的の通知発出も検討しているとした。


【薬剤師確保】医療計画への「数値目標」の記載が約半数の25都道府県/日病薬調査

【薬剤師確保】医療計画への「数値目標」の記載が約半数の25都道府県/日病薬調査

【2024.10.02配信】日本病院薬剤師会は10月2日に定例会見を開き、この中で医療計画への薬剤師確保の記載などに関する調査の結果を報告した。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業<令和6年度>を説明

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業<令和6年度>を説明

【2024.10.01配信】日本薬剤師会(日薬)は10月1日に定例会見を開いた。この中で令和6年度の緊急避妊薬調査事業について説明した。


【厚労省】後発薬の「ロードマップ」策定・公表

【厚労省】後発薬の「ロードマップ」策定・公表

【2024.09.30配信】厚生労働省は9月30日、「安定供給の確保を基本として、後発医薬品を適切に使用していくためのロードマップ」及び「バイオ後続品の使用促進のための取組方針」を策定・公表した。


【厚労省】市町村ごとの薬局の時間外・在宅の対応状況を公表

【厚労省】市町村ごとの薬局の時間外・在宅の対応状況を公表

【2024.09.30配信】厚生労働省は9月30日、「地域における薬局機能に係る体制について」とするサイトを同省HPで公開。地域における外来・在宅対応、時間外対応(夜間・休日)等の薬局機能に係る体制に関する情報を公表した。


ランキング


>>総合人気ランキング