経団連「委託先は薬局に限定する必要はない」
調剤業務の一部外部委託をめぐっては、厚労省がワーキングを進めてきており、とりまとめとして、委託可能な業務を「一包化(直ちに必要とするものを除く)」とすることや、委託先については同一3次医療圏内の薬局とすることを記載した。
外部委託が法令上実施可能となった後に、安全性、地域医療への 影響、薬局のニーズ等を確認し、必要に応じて見直しを行うとしていた。
しかし、同日の規制改革推進会議WGでは、経団連が要望書を提出し、業務を一包化だけでなく薬剤の取り揃えを対象とすることや、距離制限について撤廃することを求めた。
経団連は資料で、委託対象業務の範囲については高齢者施設などの業務への対象緩和を求めた。「高齢者施設入居者や訪問診療を受けている在宅患者向け、応需した薬局に在庫のない慢性疾患薬など、委託が 便利・有用な局面は一包化以外にも多くある。一包化に付帯する処方も同様。最低限、こうしたケースは対象 に含むべき」とした。一包化だけを対象とした場合、むしろ煩雑になるとした。
また距離制限については「距離により一律に制限を設けることには合理性が無い」とし、「隣接県や隣接県でなくても 一定の期間内で配送可能な範囲であれば、外部委託を認めるべき」とした。
加えて、「委託先を薬局に限定する必要はない」とした。その上で、「薬局に限定するとしても、①受託した対物業務、②オンライン服薬指導のみを行うことを自ら定めた薬局につ いては、対面での服薬指導を前提とした構造規制の一部は不要であり、合理化が必要。(①は、対面指導が必 要な場合は委託元が行う。②も、オンラインで実施できる場合しか応需しないので対面指導ができることを担 保する必要性がない)とした。
構造規制についても、「こうした薬局については、患者による保険薬局の自由な選定のため必要とされる公道からのアクセスや外観の 明確性も他の手段で代替可能。具体的には、①委託先に係る情報を委託元が患者に提供すること、②インター ネット上で当該薬局に関する充実した情報を提供すること等が考えられる」とした。
ファルメディコの狭間研至氏も資料で、「一包化に限定せず、取り揃え等も含む」ことは、「薬剤師の対人業務を充実させるには必須」としたほか、「距離制限は基本的に設けない」こととし、「永続性のあるシステム構築を可能にする」必要があるとした。処方箋40枚規制については、「機械・ICT活用下の調製業務の基準ではない」とし、「医療機関の調剤業務」も外部委託の対象とすべきとした。 中小病院薬剤師の対人業務シフトも重要だとした。
事務局は、今後、上記のような意見に関して議論していくことになるとの考えを示した。