【中医協】日本薬剤師会・有澤委員、後発医薬品調査「現場の苦労深掘りを」

【中医協】日本薬剤師会・有澤委員、後発医薬品調査「現場の苦労深掘りを」

【2022.06.15配信】厚生労働省は6月15日に「中央社会保険医療協議会(中医協)総会」を開き、「令和4年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の実施について」を議論した。この中で日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は、後発医薬品の調査に関して、前々回よりも深掘りし、「現場の苦労を出してほしい」と要望した。


 有澤氏は「後発薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」に関して、次のように述べた。

 「調査の中での後発医薬品の供給不安に関する対応等の状況の項目について、一昨年の小林化工の件からずっと供給不足が続いていて、安定供給がされてないという状況が続いてます。これは薬局もさることながら、医療機関、患者様にもかなりご迷惑をかけている状態だと思っております。前々回の調査と同様というふうに伺っておりますが、さらにもう少し丁寧に掘り下げた形の調査を行っていただいて、現場の大変な苦労している部分を出していただきたいという要望であります」(有澤氏)

 なお、事務局は次のような調査案を提示していた。

■後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査(案)

1.調査の目的
 本調査では、令和4年度診療報酬改定で実施された後発医薬品の使用促進策により、保険薬局における一般名処方の記載された処方箋の受付状況、後発医薬品の調剤状況や備蓄状況、保険医療機関における一般名処方の実施状況、後発医薬品の使用状況や医師の処方などがどのように変化したかを調査・検証するとともに、医師、薬剤師及び患者の後発医薬品に対する意識について調査・検証を行う。

2.検証のポイント
 一般名処方による医療機関の処方状況や、それに伴う保険薬局における後発医薬品の調剤状況、また、後発医薬品調剤の評価による後発医薬品の調剤状況の変化等について検証を行う。

3.調査客体
 保険薬局、保険医療機関及び患者

4.主な調査事項
・保険薬局で受け付けた処方箋について、「一般名処方」の記載された処方箋の受付状況、
「後発医薬品への変更不可」欄への処方医の署名の状況
・保険薬局における後発医薬品への変更調剤の状況
・後発医薬品の使用促進に係る加算及び減算の届出、算定状況
・医薬品の備蓄及び廃棄の状況
・後発医薬品についての患者への説明状況
・後発医薬品に変更することによる薬剤料の変化
・保険医療機関(入院・外来)における後発医薬品の使用状況
・後発医薬品の使用に関する医師、薬剤師及び患者の意識
・バイオ後続品の使用に関する状況
・地域や病院における医学的妥当性や経済性の視点を踏まえた処方の取組の状況
・後発医薬品の供給不安に関する対応等の状況

この記事のライター

関連する投稿


【中医協】最低薬価引き上げ、約3%

【中医協】最低薬価引き上げ、約3%

【2025.01,15配信】厚生労働省は1月15日、中医協総会を開き、令和7年度の薬価改定について議論した。最低薬価について約3%程度引き上げることとした。


【医薬品供給状況】不足カテゴリートップは抗生剤/株式会社イヤクル調査

【医薬品供給状況】不足カテゴリートップは抗生剤/株式会社イヤクル調査

【2024.12.03配信】株式会社イヤクル(本社:北海道、代表取締役:佐孝尚氏)は、薬剤師を対象に「医薬品供給不足に関するアンケート調査」を実施。その結果、出荷調整品のカテゴリーでは抗生剤がトップだった。


【選定療養の影響調査】ヒルドイドの調剤額が4割超減/インテージリアルワールド社

【選定療養の影響調査】ヒルドイドの調剤額が4割超減/インテージリアルワールド社

【2024.11.15配信】株式会社インテージリアルワールドはこのほど、長期品の選定療養導入による後発医薬品への切替の影響を調査した。その結果、選定療養対象薬剤の推計調剤金額トップ10の薬剤のうち、ヒルドイド、プログラフ、グリベック、シムビコート、ネキシウム、アジルバなど、6製品において調剤金額が前月比で3割以上減少していた。ヒルドイドでは4割超減少している。同社データベース Cross Fact の2024年10 月データを基に、院外調剤市場における医療用医薬品の動きを見たもの。


【中医協】認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題に

【中医協】認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題に

【2024.10.10配信】厚生労働省は10月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)を開いた。認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題とした。


【厚労省】後発薬の「ロードマップ」策定・公表

【厚労省】後発薬の「ロードマップ」策定・公表

【2024.09.30配信】厚生労働省は9月30日、「安定供給の確保を基本として、後発医薬品を適切に使用していくためのロードマップ」及び「バイオ後続品の使用促進のための取組方針」を策定・公表した。


最新の投稿


【零売規制見直し】日本薬剤師会、見解述べる

【零売規制見直し】日本薬剤師会、見解述べる

【2025.01.15配信】日本薬剤師会(日薬)は1月15日に都道府県会長協議会を開催した。この中で出席者から零売規制への日薬の見解を問う質問が出た。


【中医協】最低薬価引き上げ、約3%

【中医協】最低薬価引き上げ、約3%

【2025.01,15配信】厚生労働省は1月15日、中医協総会を開き、令和7年度の薬価改定について議論した。最低薬価について約3%程度引き上げることとした。


【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【2025.01.15配信】日本OTC医薬品協会は1月15日、小学校向けに「健康とくすり」の出前授業を行ったと公表した。


【医療用医薬品の包装単位】「見直したいとの相談きている」/日本薬剤師会森副会長

【医療用医薬品の包装単位】「見直したいとの相談きている」/日本薬剤師会森副会長

【2025.01.15配信】日本薬剤師会会(日薬)は1月15日、都道府県会長協議会を開いた。この中で、日薬がこれまで要望してきたガイドラインの投与形態にのっとった医療用医薬品の包装単位に関して、メーカーから日薬に対して包装単位を見直したいといった相談がきていると説明した。


【社説】市販薬の濫用防止策こそ「地方創生」だ

【社説】市販薬の濫用防止策こそ「地方創生」だ

【2025.01.15配信】市販薬の濫用対策の見直しをめぐって、ドラッグストア業界やネット事業者関係者からの“経営視点”での議論の応酬が目に付く。その根底には現状のビジネスの継続に支障となるとの思惑がのぞく。しかし、濫用問題は孤立の問題や相談先の確保、もっと言えば人的なリソースなど、地域でどう若者など守るべき人を守っていくのか、という点に収斂される。地域の持続性をどう確保するのかという、すなわち、石破茂首相が就任以来、掲げてきた「地方創生」にも関わる問題だ。