【第1回オンライン資格確認推進協議会】日本薬剤師会渡邊大記常務理事「情報共有大きな意味」

【第1回オンライン資格確認推進協議会】日本薬剤師会渡邊大記常務理事「情報共有大きな意味」

【2022.05.13配信】5月11日、第1回オンライン資格確認推進協議会が開かれた。構成員である⽇本医師会、⽇本⻭科医師会、⽇本薬剤師会の「三師会」が出席し、導入に向け協力していくことを改めて表明した。この中で日本薬剤師会渡邊大記常務理事は、オンライン資格確認がもたらす情報共有は、薬局薬剤師にとって大きな意味があるとの考えを述べた。メリットの理解がある一方で、薬局現場からはコスト負担の問題の指摘が出ている。


協議会の冒頭で、日本薬剤師会の渡邊大記常務理事は、「薬局ではこれまで患者さんから聞き取る情報に依存するところが大きく、患者さんの理解の程度や主観により必ずしも十分な情報が得られないこともあった。基盤整備による情報共有がなされることは大変大きな意味を持っている」と述べた。

 政府は令和5年3月末までに、おおむね全ての医療機関・薬局での導入を目指すという目標を掲げているが、5月1日時点でオンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーの申込は約6割(約13万施設)となっており、引き続き導入の加速化に向けた取り組みや支援が必要な状況だ。

 オンライン資格確認の導入が進めば、患者の資格情報や薬剤情報を全国の医療機関で正確に把握することが可能となり、安全・安心で質の高い医療を提供していくための基盤となる。日本薬剤師会でも普及促進のため、これまでに広報活動や説明会、質問対応など様々な取り組みを行ってきた。

 しかし薬局等の現場からは「顔認証付きカードリーダーを設置したいが業者の予定が埋まっており順番待ちが続いている」「導入するためにLAN 等の改築工事が必要となり、薬局が自腹を切って費用を負担している状態。また、導入後もランニングコストや管理運営や修繕等に係るコスト、レセコン補修費用が追加で発生してくるため、どうしても経営上の懸念がある」などの声が上がってきている。

 都道府県医師会でも「イニシャルコストが補助金の上限額を超える場合がある」「セキュリティ対策(サイバー攻撃)が不安」「情報漏洩があった場合の責任の所在が心配」「問い合わせ対応等(操作説明等)の増加が不安」「保険証とマイナンバーカードが混在すると却って面倒である」「エラーメッセージが出た時にSEに対処法を聞くが、SEもまだ分からないことが多く、すぐに解決しない」など多くの意見が寄せられている。

 また保険証代わりとしてのマイナンバーカードの普及も遅れており、窓口負担額の増加ばかりがクローズアップされているという状況も、普及が進まない要因のひとつとなっているようだ。

 厚生労働省は、医療機関・薬局に対して説明会やメール、架電などにより導入支援や働きかけを行っていくとともに、システム事業者に対しては医療機関・薬局への支援状況を共有しつつ、営業の強化等を働きかけていくとしている。
 日本薬剤師会でも、薬局に対しての周知活動と共に、薬局を通じた国民への広報活動に資するツールや手段についても併せて検討していくという。

この記事のライター

関連するキーワード


オンライン資格確認

関連する投稿


【オンライン資格確認】訪問診療等向けのアプリがスタート

【オンライン資格確認】訪問診療等向けのアプリがスタート

【2024.10.08配信】令和6年10月1日から、薬局の在宅業務を含む訪問診療等においてマイナ資格確認アプリが利用可能となった。 アプリを利用することで、目視確認による本人確認が可能になる。


【厚労省】オンライン資格確認、保険者による登録方法を徹底周知/誤登録事例受け

【厚労省】オンライン資格確認、保険者による登録方法を徹底周知/誤登録事例受け

【2023.05.16配信】厚生労働省は、オンライン資格確認における資格情報の誤登録事例を受け、保険者における登録方法の徹底を周知している。保険者による資格情報が本来の方法とは異なる方法で登録されたことが今回の事例の背景だと説明している。


【厚労省・疑義解釈を発出】令和5年4月からの調剤報酬特例措置/医療DXや医薬品の安定供給問題で/「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」「地域支援体制加算の取扱い」など

【厚労省・疑義解釈を発出】令和5年4月からの調剤報酬特例措置/医療DXや医薬品の安定供給問題で/「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」「地域支援体制加算の取扱い」など

【2023.02.01配信】厚生労働省は1月31日、事務連絡「令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置に関する疑義解釈資料の送付について」を発出した。調剤に関しては「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」、「地域支援体制加算の取扱いについて」などに関する内容となっている。前者は「オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置」、後者は「医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置」が講じられたことによるもの。


【第二次補正予算】訪問服薬指導でのオンライン資格確認システムで薬局への補助創設

【第二次補正予算】訪問服薬指導でのオンライン資格確認システムで薬局への補助創設

【2022.11.14配信】厚生労働省は11月11日、社会保障審議会医療保険部会を開催し、保険局関係の令和4年度第二次補正予算案の主な事項を説明した。それによると、訪問服薬指導などの場でもマイナンバーカードを使ったオンライン資格確認ができるシステム改修を行い、その導入に関わる費用を薬局に補助する。


【診療報酬改定10月改定分】“オン資加算”で疑義解釈(その1)/「電子的保健医療情報活用加算」廃止で10月から新設の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」

【診療報酬改定10月改定分】“オン資加算”で疑義解釈(その1)/「電子的保健医療情報活用加算」廃止で10月から新設の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」

【2022.09.05配信】厚生労働省は9月5日、オンライン資格確認にかかわる調剤報酬改定について、疑義解釈を出した。オンライン資格確認にかかわる加算については現行の「電子的保健医療情報活用加算」を廃止し、10月から「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設することが決まっていた。マイナンバーカードを持参しオンライン資格確認を活用して情報を取得した場合は「加算2」として6カ月に1回1点、持参がない場合は「加算1」として6カ月に1回3点を算定する。


最新の投稿


【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で

【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で

【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。


【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算

【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算

【2025.06.13配信】政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太方針を閣議決定した。医療・介護に関連しては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記載した。これまでは、社会保障関係費の伸びを高齢化の範囲内に抑える方針がとられてきた。薬剤師で参議院議員の神谷政幸氏はXで「税収増を踏まえた経営の安定化や確実な賃上げに繋がる対応がついに反映」と投稿。医療介護業界の声が届いたとの考えを示唆した。


【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成

【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成

【2025.06.12配信】奈良県薬剤師会(後岡伸爾会長)は、「健康ハートの日 2025」に協賛する。


【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査

【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査

【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。


【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」

【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」

【2025.06.10配信】日本医師会は6月9日、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党合意についての見解を公表した。