「他店舗や倉庫からの発送の許容」も要望
事務局は資料として、「規制改革ホットライン処理方針 (令和3年12月3日から令和4年2月2日までの回答)」を示した。
その中で、「一般用医薬品のインターネット販売に係る制度見直し」に関して、「対応不可」との厚労省の回答を示した。
所管省庁(厚労省)への検討要請日は令和3年11月8日。回答取りまとめ日は令和4年1月13日。
具体的な提案内容は以下の通り。
■提案事項
一般用医薬品のインターネット販売に係る制度見直し
■具体的内容
1一般用医薬品のインターネット販売に特化した業態の許可
薬局等構造設備規則第2条第1号の改正及び薬局、医薬品販売業等監視指導ガイドライン第3の1(2)の改定を行い、必ずしも対面販売を併せて行うことを前提とせず、インターネット販売に特化した販売業態を許容すべきである。
2他店舗や倉庫からの発送の許容
薬機法施行規則第15条の6第1号 、第147条の7第1号を改正し、一般医薬品の配送を販売を行う店舗(薬局)からに限定せず、他店舗や倉庫からの配送を許容するべきである。倉庫から発送する場合、薬剤師または登録販売 者の資格を持つものを配置する等、安全性に配慮した条件を加えることも考えられる。
■提案理由
1一般用医薬品のインターネット販売に特化した業態の許可
一般用医薬品の販売業は、店舗販売業の許可を得る必要があり(薬機法)、当該許可を得た店舗において特定販売(以下「インターネット販売」という。)が可能とされている(薬機法施行規則)。当該許可の基準は、購入者が 「容易に出入りできる構造であり、店舗であることがその外観から明らか」であり(薬局等構造設備規則)、一般用医薬品のインターネット販売のみを行う時間を除き、週「30時間以上」の開店時間が求められる(ガイドライン)等、 対面販売を前提とした基準を満たす必要があり、インターネット販売のみを行う販売業態が想定されていない。 このため、インターネット販売のみを行おうとする場合であっても、対面販売を前提とした構造設備や開店時間等の基準を満たすための過大なコスト負担を強いられ、事業展開・参入の妨げとなっている。購入者に対する情報提供や購入者からの相談については、インターネット等を介して十分に対応することが可能であり、また実態上も、形式的に実店舗を構えつつインターネット販売を主として行っている事業者の事例が存在するといった、規制の形骸化が認められる。
2他店舗や倉庫からの発送の許容
インターネット販売を行うに当たっては、「当該(薬局)に貯蔵し、又は陳列している一般用医薬品」を販売することとされており(薬機法施行規則)、販売を行う店舗以外(他店舗や単なる倉庫)からの代理発送は不可とされている (厚生労働省の関連Q&A、一般用医薬品の販売ルール等について)。このため、販売を行う店舗において在庫がない場合等に系列のインターネット販売を行う他店からの代理配送や、倉庫での在庫管理および配送といった形態が認められず、インターネット販売における物流網の構築が制限されている。その結果、必要な一般用医薬品を迅速に購入者へ届けるに当たり、インターネット販売における物流の非効率が生じ、インターネット販売を行う、または行おうとしている事業者にとって過大なコスト負担や事業展開・参入の妨げとなるとともに、顧客の利便性の低下にもつながり得る。
(要望実現により)コロナの流行に伴いインターネット販売の需要が高まる中、非対面・非接触を可能とするコロナ時代に即した新たなビジネス展開に向けたインターネット販売の活用が期待できる。さらに、事業の負担軽減・効率化、参入障壁の引下げ、新たな事業形態の促進、迅速な配送による顧客利便の向上、非対面・非接触による感染拡大の防止、インターネット販売の普及による購買履歴データの蓄積・活用等の効果が期待される。
■提案主体
(一社)日本経済団体連合会
こうした提案に対する厚労省の回答は以下の通り。
■制度の現状
一般用医薬品を販売するにあたっては、薬剤師や登録販売者による情報提供や確実な相談応需を行う体制が必要です。また、当該医薬品の販売を行う店舗の薬剤師・登録販売者が責任を持つことが困難な事態が発生しないよう当該店舗での管理の下、貯蔵、陳列している医薬品を販売することが求められます。 このため、インターネットを利用した販売は店舗での販売を前提としております。
■該当法令等
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第15条の6第1号及び第147条 の7第1号
■対応の分類
対応不可
■対応の概要
制度の現状欄に記載のとおりです。
■区分案
◎
「区分」には下表の通り5分類ある。「◎」は「各ワーキング・グループで既に検討中又は検討を行う事項」。WGとしての検討への意欲がみえる。
