【規制改革会議WG】経団連要望の“オンライン特化薬局”、厚労省は「対応不可」と回答

【規制改革会議WG】経団連要望の“オンライン特化薬局”、厚労省は「対応不可」と回答

【2022.02.25配信】政府の規制改革推進会議「第3回 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ」(WG)が2月24日に開かれた。開催後の記者ブリーフィングの中で、事務局は経団連(日本経済団体連合会)が提案していた“オンライン特化薬局”に関して、厚労省の回答が「対応不可」だったとの資料を公表した。今後、再検討の要否を判断するため、事務局が提案内容に関する事実関係を確認する。


「対面機能を持たない構造の薬局を許容すべき」として、「薬局等構造設備規則第1条第1項」の改正を要望

 経団連の提案事項は、「処方箋医薬品関連業務のニューノーマルへの対応④」。
 所管省庁(厚労省)への検討要請日は令和3年11月8日で、回答とりまとめ日は令和4年1月13日。

 「対面機能を持たない構造の薬局を許容すべき」として、「薬局等構造設備規則第1条第1項」の改正を求めたもの。 具体的な提案内容は以下の通り。

■具体的な提案内容
④オンライン服薬指導と調剤等の機能に特化した、対面機能を持たない薬局の設置・活用
「No. 55. 処方箋医薬品関連業務のニューノーマルへの対応3」で要望した『新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて』の恒久化により、初診からのオンライン服薬指導が可能となることを前提として、薬局等構造設備規則第1条第1項を改正し、対面機能を持たない構造の薬局を許容すべきである。 次回の調剤報酬の改定が2022年であることから、これらの要望について今年度中に結論を得ることをあわせて求める。

■提案理由
 厚生労働省が打ち出した「患者のための薬局ビジョン」は、「健康サポート機能」「高度薬学管理機能」「服薬情報 の一元的・継続的把握」「24時間対応・在宅対応」「医療機関等との連携」の5つの項目から成っており、こうした 「対物」から「対人」業務を推し進める方向で、医薬品医療機器法も改正されたところである。また、人々の多様な 暮らしや働き方が浸透しつつあるなか、従来の薬局内・病院内での調剤、服薬指導、薬の受け渡しに限らない、患 者や薬剤師の様々なニーズに柔軟に対応できる多様な選択肢が求められている。 調剤、服薬指導、薬の受け渡し、新たな薬局の形態といった処方箋医薬品関連業務について、医療分野のDXを推進し、ニューノーマルに対応するためには、以下の課題を解消することが不可欠である。
④オンライン服薬指導と調剤等の機能に特化した、対面機能を持たない薬局の設置・活用
現在オンライン服薬指導は、対面服薬指導を行う場合と同様、調剤を行った薬局内に定められており(薬生発0331 第36号)、薬局の構造設備基準においては、患者が「容易に出入りできる構造であり、薬局であることがその外観から明らか」であること等が求められている(薬局等構造設備規則)。このために、対面機能を持たない薬局は認められておらず、新たな形態の薬局事業展開の妨げとなっている。オンライン服薬指導の活用への期待が一層高まっており、現状でも患者に対する情報提供や患者からの相談についてはインターネット等を介して十分に対応することが可能となっている。 オンライン服薬指導と調剤等の機能に特化した、対面機能を持たない薬局の開設が認められれば、事業の負担 軽減・効率化、参入障壁の引下げ、新たな形態の事業展開が促進されるほか、例えば薬剤師が置かれている医薬品卸売販売業の営業所を薬局として有効活用するといった可能性も拡大する。また、オンライン服薬指導の普及に繋がることで、感染症拡大防止、顧客の利便性向上にも資する。

■提案主体
(一社)日本経済団体連合会

 この提案に対し、厚労省の回答は以下の通り。
■制度の現状
 ご提案内容について、服薬指導を行う場所と調剤業務を行う場所が一体かどうか不明瞭ですが、処方箋に基づく調剤や薬剤交付時の服薬指導等の行為について、処方箋を応需した薬局の薬剤師が責任を持つことが困難な事態が発生しないよう、当該薬局で服薬指導や調剤等を行うこととしています。 また服薬指導は、必ずしも全ての場合でオンラインで実施可能とはならず、オンラインでの実施に支障が生じた際の緊急時の対応を含め、当該薬局で対面で服薬指導ができることを担保しておくことが患者の医療安全を確保する上で必要です。

■該当法令等
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第9条の3

■対応の分類
対応不可

■対応の概要
制度の現状欄に記載のとおりです。

■区分(案)


 「区分」には下表の通り5分類ある。「△」は「再検討の要否を判断するため、事務局が提案内容に関する事実関係を確認する事項」。
 比較的優先度の低い区分といえる。

 なお、「処方箋医薬品関連業務のニューノーマルへの対応」①〜③に関しては、いずれも区分「◎」(各ワーキング・グループで既に検討中又は検討を行う事項)となっており、厚労省の回答も「検討に着手」あるいは「検討を予定」になっている。

 ①は「 調剤業務の外部委託化・薬剤師配置基準の緩和」。「検討に着手」。
 ②は「薬局外からのオンライン服薬指導の実現」。「検討を予定」。
 ③は「宅配ロッカーでの処方箋薬の受け取り」。「宅配ロッカーは現行制度下で対応可能」。

 ①と②に関しては、厚労省が「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」の下に設置した「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」での議題となっている。
 
 ①の調剤の外部委託に関してはWG第3回の議題として、「② 対人業務を推進する観点から調剤業務の外部委託を推進すべきとの指摘についてどう考えるか」が挙げられている。

 ②の薬局外からのオンライン服薬指導の実現に関しては、WG第2回の議題として、「① 薬剤師が在宅(薬剤師の自宅等)での服薬指導を認めるべきとの意見についてどのように考えるか」が挙げられている。

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