リフィル処方箋の“不適切判断”時など「運用をきちんと行うことが重要」/病院薬剤師会・会見

リフィル処方箋の“不適切判断”時など「運用をきちんと行うことが重要」/病院薬剤師会・会見

【2022.02.07配信】日本病院薬剤師会は2月7日に会見を開き、その中で調剤報酬改定の「個別改定項目」に記載されたリフィル処方箋の導入に触れ、「医療機関と薬局の連携を強化していくことがますます重要になる」との認識を示した。その上で、リフィル処方箋の“不適切判断”時など運用に関して「きちんと行うことが重要」との考えを示した。


「薬剤師として大切なのは留意事項の6」

 日本病院薬剤師会は2月7日に会見を開き、診療報酬改定・個別項目や「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進」のほか、「医薬品の品質・安定供給体制確保についての要望書」、「地域医療介護総合確保基金を活用した薬剤師修学資金貸与事業の取扱い」、「第5回日本病院薬剤師会 Future Pharmacist Forum」などについて説明した。

 この中で、調剤報酬改定の「個別改定項目」に記載されたリフィル処方箋の導入に触れ、「医療機関と薬局の連携を強化していくことがますます重要になる」との認識を示した。

 個別改定項目について説明した日本病院薬剤師会常務理事の眞野成康氏(医療政策部)は、「薬剤師として大切なのは留意事項の6だ」と指摘。

 留意事項6には不適切と判断した場合など、次のような記述がある。
“保険薬局の保険薬剤師は、リフィル処方箋により調剤するに当たって、患者の服薬状況等の確認を行い、リフィル処方箋により調剤することが不適切と判断した場合には、調剤を行わず、受診勧奨を 行うとともに、処方医に速やかに情報提供を行うこと。また、リフィル処方箋により調剤した場合は、調剤した内容、患者の服薬状況等について必要に応じ処方医へ情報提供を行うこと。”

 眞野氏は「これに関して運用をきちんと行っていくことが大切と考えており、院外処方箋に関して医療機関と保険薬局の連携をますます強化していく必要があると考えております」と述べた。

川上副会長「リフィル処方箋がいい形で運用されていくために私たちも関わっていく」

 加えて記者からリフィル処方箋への見解をさらに問われると、副会長の川上純一氏は次のように述べた。

 「リフィル処方箋という仕組みが導入される方向ということは充分承知しています。仕組みとしては新しいが、大原則として薬物治療の考え方として、薬物治療を継続する中で医師が予見する範囲内で処方をするということは基本的には変わらないと考えられます。そういった意味ではこれまで自分たちがやってきたことをきちんと前に進めるということではないかと思っています。その上で、医療機関がリフィル処方箋を発行するにあたり、システムを含めて4月以降にリフィル処方箋を発行できる体制もとらなければいけませんし、またリフィル処方箋の原則として、対象となるのは病状の安定している患者さんであり、また医師・薬剤師の連携のもとにということがあります。個別の話になりますが、どういった患者さんや薬剤がリフィル処方箋に向くのかについては、今後、さらに議論が必要ではないかと考えている。薬剤に関しては、投与期間に制限があるような薬剤や向精神薬など対象にふさわしくない具体的な事例も浮上しているが、そういったもの以外での議論が実はまだこれからだと思います。(運用に関しては)9日の中医協の答申、3月上旬の留意事項通知と進むと思うが、リフィル処方箋がいい形で運用されていく、そこには私たちもきちんと関わっていかなければいけないと考えています」(川上副会長)

■編集部より:日本病院薬剤師会の会見は、「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進」のほか、「医薬品の品質・安定供給体制確保についての要望書」、「地域医療介護総合確保基金を活用した薬剤師修学資金貸与事業の取扱い」、「第5回日本病院薬剤師会 Future Pharmacist Forum」など盛り沢山の内容となっていました。ドラビズon-lineでは会見詳報を2月10日(木)に掲載する予定です。

この記事のライター

関連する投稿


【日本病院薬剤師会】薬学生リクルートコーナー実施/3月の日本薬学会年会で

【日本病院薬剤師会】薬学生リクルートコーナー実施/3月の日本薬学会年会で

【2025.02.27配信】日本病院薬剤師会は2月26日に定例会見を開き、薬学生向けのリクルートコーナーの実施について説明した。今年3月に開かれる日本薬学会第145年会(福岡)で出展する。昨年12月の会見でも開催を報告していたが、今回、完成した薬学生向け案内チラシを公表。独立行政法人国立病院機構(NHO) や、複数の大学医学部附属病院の出展も決定している。


【日本病院薬剤師会】入院時の薬局との連携/診療報酬上も働きかけの評価軸を要望

【日本病院薬剤師会】入院時の薬局との連携/診療報酬上も働きかけの評価軸を要望

【2025.02.26配信】日本病院薬剤師会は2月26日に定例会見を開き、令和8年度診療報酬改定要望事項(たたき台)について説明した。


【リフィル処方箋動向】2024年6月に最高値/日本システム技術の調査

【リフィル処方箋動向】2024年6月に最高値/日本システム技術の調査

【2025.02.05配信】日本システム技術は2月4日、リフィル処方箋の普及状況に関する調査結果を公表した。それによると、診療報酬改定が施行された2024年6月に医科のリフィル処方率が向上、過去最高となった。改定などの各施策に一定の効果があったことが考えられるとしている。


【インタビュー】厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官 清原宏眞氏 

【インタビュー】厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官 清原宏眞氏 

【2025.01.30配信】厚生労働省 保険局 医療課 薬剤管理官の清原宏眞氏は本紙インタビューに答えた。 


【令和8年度調剤報酬改定へ】「考え方」公表/日本薬剤師会

【令和8年度調剤報酬改定へ】「考え方」公表/日本薬剤師会

【2025.01.15配信】日本薬剤師会は1月15日、都道府県会長協議会を開催した。その中で、次期、令和8年度調剤報酬改定へ向けた「考え方」を公表した。


最新の投稿


【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【2025.03.19配信】大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区 社長:上原 茂氏)]は、ショッピングモールの薬局内にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)化されたOTC販売機を設置し、第1類医薬品を含む一般用医薬品を販売する実証を、3月下旬(予定)より開始すると公表した。


【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【2025.03.16配信】渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員が、3月15日に開かれた日本薬剤師会臨時総会で挨拶した。


【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【2025.03.16配信】日本薬剤師会の専務理事に上野清美氏が就任した。