【OTC医薬品協会】降圧薬やコレステロール低下薬などのスイッチ、「議論を前に進めたい」

【OTC医薬品協会】降圧薬やコレステロール低下薬などのスイッチ、「議論を前に進めたい」

【2021.11.29配信】日本OTC医薬品協会(OTC薬協)は11月26日にプレスセミナーを開催した。この中で、協会としてのスイッチOTCへの方針を示し、降圧薬やコレステロール低下薬を含めた「医師の管理下で状態が安定しており、対処方法が確定していて自己管理が可能な症状に対する医薬品」に関して、「議論を前に進めたい」とした。いくつかの成分については厚労省の評価検討会議ですでに否決になっているが、成分ごとに安全性や適正使用への対応をきめ細かに提案、また医療経済的な観点を含めたリスクベネフィット評価や海外での事例を踏まえて要望していきたいとした。


状態が安定している期間はオンライン診療やAI問診、OTC検査薬を含めDXを活用していく案も提示

 セミナーの中でOTC薬協・事業活動戦略会議の山本氏は、「海外とのスイッチラグや国民の選択肢の拡大のためにはこれまでのOTC医薬品の領域・範囲の考え方を大胆に見直す必要がある」と見解を示した。

 OTC薬協は範囲について提言しており、厚労省の「第12回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(評価検討会議)でも提案している。同会議の「中間とりまとめ案」では、「今後スイッチOTC化が考えられるもの」として、「医師の管理下での処方で長期間状態が安定しており、対処方法が確定していて自己による服薬管理が可能な医薬品」が掲げられたが、その後の「中間とりまとめ」では、同領域については「両論併記のようになった」(山本氏)。議論はされたものの、「自覚症状がないものに使用する医薬品については、スイッチOTC化すべきではないとの意見もあった」と記載された。

 しかし山本氏は、同領域について「今後、議論を深めさせていただきたい」との方針を示した。

 「(医師の管理下で状態が安定しており、対処方法が確定していて自己管理が可能な症状に対する医薬品については)20年以上も前にスイッチ化の必要性が指摘されている。評価検討会議ではいくつかの成分が議論され否決されたが、今後、成分ごとに安全性や適正使用への対応等をきめ細かに提案しつつ、医療経済的な観点を含めたリスクベネフィット評価や海外での事例を踏まえて議論を前に進められるよう継続的に要望させていただきたい」(山本氏)と述べた。
 
 同領域での例としては、降圧薬(ACE阻害薬)やコレステロール低下薬などを挙げている。

 また、イメージ図として、長期間状態が安定している期間は、薬剤師の指導下での自己服薬に加え、医師によるチェック(受診)をするとし、オンライン診療やAI問診、OTC検査薬を含めDXを活用していく案も示した。そこで症状の変化がみられた場合、受診勧奨を行うスキームを示した。

この記事のライター

関連する投稿


【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【PPI】国内初のOTCを発売/エーザイ「パリエットS」

【2025.06.02配信】エーザイは6月2日、国内 OTC 医薬品として初めて製造販売承認を取得したプロトンポンプ阻害薬(PPI)である「パリエットS」を発売した。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」

【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。


【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【あすか製薬】緊急避妊薬のスイッチOTCの承認申請を公表

【2025.05.15配信】あすか製薬は5月15日、 緊急避妊薬のスイッチ OTC について、製造販売承認申請を行ったと公表した。


【OTC類似薬の保険給付の見直し】日本OTC医薬品協会理事長・磯部総一郎氏に聞く/ 「保険適用除外は必ずしもセルフメディケーションにつながらない」

【OTC類似薬の保険給付の見直し】日本OTC医薬品協会理事長・磯部総一郎氏に聞く/ 「保険適用除外は必ずしもセルフメディケーションにつながらない」

【2025.04.08配信】日本OTC医薬品協会(OTC薬協)理事長の磯部総一郎氏はOTC類似薬の保険給付見直しに関して本紙の取材に答えた。


【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【OTC薬協】小学校に出前授業、「健康とくすり」

【2025.01.15配信】日本OTC医薬品協会は1月15日、小学校向けに「健康とくすり」の出前授業を行ったと公表した。


最新の投稿


【エフィエント錠】PTPシートのGS1コード誤表示/第一三共

【エフィエント錠】PTPシートのGS1コード誤表示/第一三共

【2025.09.30配信】このほど、抗血小板剤「エフィエント錠3.75㎎」のPTPシートに印字されたGS1コード(調剤包装単位コード)に誤りがあったとして、製造販売元の第一三共より報告がされている。それを受け、日本薬剤師会でも注意喚起の文書を発出した。


【日薬学術大会】ブース出展/災害備蓄や認知症の服薬支援で技術紹介/アルフレッサ

【日薬学術大会】ブース出展/災害備蓄や認知症の服薬支援で技術紹介/アルフレッサ

【2025.09.30配信】医薬品の流通を担う社会インフラ企業であるアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福神雄介氏)は、2025年10月12日(日)~13日(月・祝)に国立京都国際会館にて開催される「第58回日本薬剤師会学術大会」に出展する。「かかりつけ薬剤師の新たな挑戦!健康・生活を支える商品と信頼」をテーマに、医療現場の業務効率化と患者様の満足度向上に貢献するソリューションを紹介する予定。


【日本薬剤師連盟】神谷まさゆき氏を組織内統一候補に選任

【日本薬剤師連盟】神谷まさゆき氏を組織内統一候補に選任

【2025.09.26配信】日本薬剤師連盟は9月25日に開催した臨時評議員会で、組織内統一候補に神谷まさゆき参議院議員を選任した。神谷氏が自身のSNSで報告した。


【健保連】OTC薬に代替可能な薬や簡易な検査「保険給付から除外」を/『「ポスト2025」健康保険組合の提言 』

【健保連】OTC薬に代替可能な薬や簡易な検査「保険給付から除外」を/『「ポスト2025」健康保険組合の提言 』

【2025.09.25配信】健康保険組合連合会は9月25日、新たな提言『「ポスト2025」健康保険組合の提言 』を公表した。OTC医薬品に代替可能な医療用医薬品や簡易な検査などについて、保険給付から除外あるいは給付割合の見直しを図ることなどを提言している。同種同効の医薬品のうち、正当な理由なく、より高額な医薬品を選択する場合に自己負担を増加させる選定療養の活用も提案している。


【日薬】緊急避妊薬のスイッチ化でパブコメ提出/「賛成」

【日薬】緊急避妊薬のスイッチ化でパブコメ提出/「賛成」

【2025.09.25配信】日本薬剤師会は9月25日、定例会見を開き、緊急避妊薬のスイッチOTC化に関して、パブコメを提出したことを説明した。


ランキング


>>総合人気ランキング