状態が安定している期間はオンライン診療やAI問診、OTC検査薬を含めDXを活用していく案も提示
セミナーの中でOTC薬協・事業活動戦略会議の山本氏は、「海外とのスイッチラグや国民の選択肢の拡大のためにはこれまでのOTC医薬品の領域・範囲の考え方を大胆に見直す必要がある」と見解を示した。
OTC薬協は範囲について提言しており、厚労省の「第12回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(評価検討会議)でも提案している。同会議の「中間とりまとめ案」では、「今後スイッチOTC化が考えられるもの」として、「医師の管理下での処方で長期間状態が安定しており、対処方法が確定していて自己による服薬管理が可能な医薬品」が掲げられたが、その後の「中間とりまとめ」では、同領域については「両論併記のようになった」(山本氏)。議論はされたものの、「自覚症状がないものに使用する医薬品については、スイッチOTC化すべきではないとの意見もあった」と記載された。
しかし山本氏は、同領域について「今後、議論を深めさせていただきたい」との方針を示した。
「(医師の管理下で状態が安定しており、対処方法が確定していて自己管理が可能な症状に対する医薬品については)20年以上も前にスイッチ化の必要性が指摘されている。評価検討会議ではいくつかの成分が議論され否決されたが、今後、成分ごとに安全性や適正使用への対応等をきめ細かに提案しつつ、医療経済的な観点を含めたリスクベネフィット評価や海外での事例を踏まえて議論を前に進められるよう継続的に要望させていただきたい」(山本氏)と述べた。
同領域での例としては、降圧薬(ACE阻害薬)やコレステロール低下薬などを挙げている。
また、イメージ図として、長期間状態が安定している期間は、薬剤師の指導下での自己服薬に加え、医師によるチェック(受診)をするとし、オンライン診療やAI問診、OTC検査薬を含めDXを活用していく案も示した。そこで症状の変化がみられた場合、受診勧奨を行うスキームを示した。