【メディパルHD】日医工との提携に言及/「後発薬企業が払っている物流コストは新薬企業の5倍」/新規の薬に絞り「少量多品種」製造のモデルからの転換も示唆

【メディパルHD】日医工との提携に言及/「後発薬企業が払っている物流コストは新薬企業の5倍」/新規の薬に絞り「少量多品種」製造のモデルからの転換も示唆

【2021.11.01配信】メディパルホールディングスは11月1日に2022年3月期第2四半期決算説明会をオンラインで開催した。昨今の後発医薬品の供給不安の情勢を受けて、アナリストからは複数、日医工との業務資本提携の中身について質問が出た。渡辺秀一社長は「これから起きることは幅よせ。できるだけ新規(の薬)にして無駄をなくしていきたいという声が(業界からは)聞こえる。少量多品種製造が一番の後発医薬品企業の悩みだ」と話した。また、「後発薬企業は弱い立場。使っている物流コストは新薬企業の5倍。これは改善しなければいけない」と指摘し、卸企業として後発薬市場の回復に貢献したいと強調した。


「生産量の多い日医工が立ち直らないと後発薬企業はドミノ倒しになるのではないか」

 日医工とメディパルHDの業務資本提携について、渡辺社長は、「目的は国民の皆様に安心な後発医薬品を安定的に供給する体制を整えること。当社の流通インフラと日医工の製造販売のインフラを連携させ、新しい生産流通モデルを構築したい」と述べた。「後発医薬品は医療に欠かせない、国民の財産であると思っている。品質のよい医薬品を国民に届けられるよう両者で取り組みを進めている。より強固な関係構築のために中長期的なパートナーシップが重要と判断し、日医工の株式を取得した」(渡辺社長)とした。
 メディパルHDは第三者割当増資を引き受け、普通株式622万株を約52億円で取得、取得後の持ち株比率は9.9%となっている。

 現在、両者のトップマネジメントが集うステアリングコミッティのもと、両者の専門性の高い人材を中心に「営業分科会」「生産分科会」「物流分科会」の3つの分科会を設置し、「生産品質」「計画発注」「最適な営業体制」「効率的なサプライチェーンの構築」の4つの課題解決を目指して具体的な検討を進めているという。

 アナリストから、「医療機関から日医工の医薬品を使うのを躊躇するところもあると思うが、時間軸として信頼回復をどのようにイメージしているのか」との質問が出た。
 これに対して、渡辺社長は、「質問の意図とずれるかもしれないが、私どもの考えていることは、日本の国民皆保険制度の中で後発医薬品が医療費抑制に貢献してきたことは事実。しかし、高度成長したことによって違うことが起きたということ。これから高齢化していく中で日本の国民皆保険制度の中で本当に後発医薬品が必要ないかというと、私は必要だと思った。当社として日医工の製品を品質がよいと思ってではあるが販売してきた道義的な責任も感じている。一番の生産量だった日医工さんが立ち直らない限りは、ほかの後発医薬品メーカーさんもドミノ倒しのようになっていくと私は思っている。きちっと立て直して、安心した医薬品を提供する体制をつくりたいという思いがあって資本提携した。日医工さんだけでなく、後発医薬品メーカーは少量多品種を作ってきたことのひずみが出てきていると思う。特に日医工さんの場合は規模の急激な拡大によって人の教育が遅れたという事実はあると思う。そういう意味では品質、流通の問題などを総合的にみて、できるだけスムーズに製造ができて患者さんにスムーズに届けられる形を考えた方がいいと思っている」と述べた。

「少量多品種をつくっていたことが後発薬企業さんの一番の悩み」

 さらにアナリストからは、「資本提携した以上、リターンが見込めるのかの説明もあっていいのではないか。日医工との提携によってメディパルの利益にどのようにつながるのか」との質問が出た。
 
 渡辺社長は「すぐに利益が出るかどうかは別として、私たちの考えがある。一番量を出していたのは日医工さんだった。この会社のものを代替供給しようとしても3年はかかると思う。日医工さんに早く回復してもらわないと共倒れになるという声は、日医工さん以外の後発薬の企業さんからお聞きする。それから少量多品種をつくっていたことが後発薬企業さんの一番の悩み。これをどう再構築していくかが最大の課題だと話し合っている。そうすると、後発薬から後発薬に切り替えることはあまりないので、その中で、どのように供給を安定させるかは共通の課題。古くなった後発薬と新しく出る後発薬の相関関係がある。これをどうやっていくか。これから起きることは、幅寄せをしていって多品種のものをできるだけ新規にしていって、製造ラインをできるだけ予測をしながらつくっていくこと。そのことで無駄をなくしていきたいというお話は後発薬企業さんから出ている。そういう中に入っていけるのは卸ではないかと思う。そういうモデルがこれから出てくる気がしている」と指摘した。
 

「後発薬企業は弱い立場。使っている物流コストは新薬企業の5倍。これは改善すべき」

 「日医工の提携によって、メディパルHDが扱う後発薬は日医工に寄せていく考えはあるのか」との質問については、「その考えはない」とした。

 後発薬にかかわる業務負担については、「MSは出社してから2時間は後発薬の調達の話をしている。ある意味では生産性のない仕事をしている。これまでは備蓄していた分が流れてきていたが、後発薬企業においても最低3ヶ月はある自分たちの在庫が皺寄せで出尽くして、生産が滞りつつある。増産しましょうといっても1日24時間しかない。いつ終息するかについては、下手をすると3年弱かかると思っている」とした。

 「社内文化も含めて日医工の問題解決できると思うか」との質問も出た。
 渡辺社長は、「後発薬企業はほとんどがオーナー企業だ。メディパルHDは日医工の筆頭株主になったが、田村社長のことも理解しなければいけない。必要なのはコーポレートガバナンスの仕組み。誰かが苦言も言わないと変えられない。手順通りでないことについて知らなかったということはないと思うが、理由もあったと思う。それが少量多品種で増産もしなくてはいけない、欠品してはいけない、量をつくれ、この10年ぐらい後発薬をずっと増やしていく、しかし人は足りないということ。経営は量をつくれと。そこに歪みが出てきたことは後発薬企業共通の悩みではないかと思っている。そういうことを誰かが発言していかないといけない。日本の後発薬の普及とはなんだったのか、卸としても発信していく義務があると思っている」とした。

 設けている物流分科会の話として、「後発薬メーカーは売って欲しいため規模を大きくするために弱い立場にあった。物流コストとして1年間使っているのがいくらか、新薬メーカーが同じように使っているのか。いくらかというと、5倍も多く使っていた。これは改善しなければいけない。これは資本を入れてミーティングしないとわからないこと」と述べた。

この記事のライター

関連する投稿


【医薬品の安定供給へ】後発薬業界ができること/東和薬品が講演

【医薬品の安定供給へ】後発薬業界ができること/東和薬品が講演

【2024.05.28配信】5月25日に名古屋で開かれた「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 学術大会」で、東和薬品執行役員の田中俊幸氏が「ジェネリック医薬品産業のあるべき姿の構築に向けて」と題して講演した。


【先発薬と後発薬の薬価が同等になると?】先発薬の処方量最大1.9倍/民間調査

【先発薬と後発薬の薬価が同等になると?】先発薬の処方量最大1.9倍/民間調査

【2023.10.19配信】日本システム技術株式会社は、独自に保有しているレセプトデータを中心としたメディカルビッグデータ「REZULT」を基に、薬価改定による先発品医薬品の薬価が後発品と同額となったときの影響について独自調査を実施した。その結果、先発薬の処方量は最大1.9倍で、後発薬の処方量も下がらなかった。


【医薬品供給状況】7月調査、通常出荷は78%/前月から大きな変化なし

【医薬品供給状況】7月調査、通常出荷は78%/前月から大きな変化なし

【2023.08.22配信】厚生労働省は8月22日までに、医薬品供給状況にかかる調査の2023年7月分調査結果をホームページに掲載した。それによると、「限定出荷」 と 「供給停止」 の品目は全体の22%。通常出荷は78%だった。前月から大きな変化はなかった。


【厚労省検討会】後発医薬品企業の体制評価で余剰生産能力などの項目案提示/厚労補助金調査事業報告

【厚労省検討会】後発医薬品企業の体制評価で余剰生産能力などの項目案提示/厚労補助金調査事業報告

【2023.08.21配信】厚生労働省は8月21日、「第2回 後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会」を開催。検討会は非公開だが、資料を開示している。その中で、厚労補助金調査事業の結果として、研究代表者・成川衛氏(北里大学薬学部)の研究資料を提示。後発医薬品の安定供給に係る企業体制の評価について、自社製品の出荷停止事例のほか、他社出荷停止製品に対する増産対応事例などの項目を示した。


【後発医薬品】薬局での流通状況調査、半年前から「悪化」+7.1ポイント/日本保険薬局協会調査

【後発医薬品】薬局での流通状況調査、半年前から「悪化」+7.1ポイント/日本保険薬局協会調査

【2023.03.09配信】日本保険薬局協会は3月9日、定例会見を開き、後発医薬品流通に関する会員調査結果を公表した。それによると、後発医薬品の流通状況は半年前の2022年7月時点と比較して「悪化している」「やや悪化している」と回答した割合が+7.1ポイントとなり、悪化している状況がうかがえた。協会では「改善の先行きが見えない中で会員である薬局の苦労が伺える結果となった」としている。


最新の投稿


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


【コスモス薬品】調剤事業、「低収益の調剤の姿になった時」が参入好機との見解

【コスモス薬品】調剤事業、「低収益の調剤の姿になった時」が参入好機との見解

【2024.07.18配信】コスモス薬品は7月18日に2024年5月期決算説明会を開催した。


【中医協】医療DX推進体制加算、10月から3区分に/マイナ保険証利用率に応じて

【中医協】医療DX推進体制加算、10月から3区分に/マイナ保険証利用率に応じて

【2024.07.17配信】厚生労働省は7月17日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、医療DX推進体制整備加算の取り扱いについて議論した。


ランキング


>>総合人気ランキング