【緊急避妊薬のスイッチOTC化】産科婦人科学会「要指導薬でスイッチを」「薬剤師の対面指導で産婦人科医への受診勧奨を」

【緊急避妊薬のスイッチOTC化】産科婦人科学会「要指導薬でスイッチを」「薬剤師の対面指導で産婦人科医への受診勧奨を」

【2021.10.04配信】厚生労働省は10月4日、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を開催した。この中で日本産婦人科医会は提出した資料の表現について謝罪した。加えて、緊急避妊薬のスイッチOTC化について、産科婦人科学会は「ネット販売のできない要指導薬としてスイッチ化していただき、薬剤師の対面指導を行い、産婦人科医への受診勧奨をいただける仕組みにしてほしい」と語り、スイッチ化を容認する発言をした。


当初「産婦人科医の91%がスイッチ反対」→謝罪後の口頭説明「条件付き賛成46.9%」

 日本産婦人科医会は評価検討会議の場で、産婦人科医の意識調査を行った結果を説明した。

 その中で、緊急避妊薬のスイッチに関する産婦人科医の意見として、「回答した産婦人科医の方々の意思を反映していない表記になっていたことをこの場でお詫び申し上げます」と謝罪した。

 提出した資料では産婦人科医におけるOTC化の意見について「反対」37%、「現状のままでは反対」54%、「無条件で賛成」8%と記載。91%の産婦人科医が課題が解決されていない現状のままでは反対しているとの見解を示していた。

 しかし、元の調査用紙では該当箇所の回答は「1 賛成(条件付き賛成を含む)」と 「2 反対」の二択だったという。次の質問で「1 賛成」を選択した人に対して、「緊急避妊薬の OTC 化を検討するにあたって、設けた方が良いと思う要件または必要と思われる取り組み」を聞いていた。選択肢には「1 無条件で賛成(注:ここを選択した方は、以下の回答は不可)」のほか、「2 性教育の充実」以降、複数の項目が設けられており、「無条件」以外を選んだ回答は「現状のままでは反対」にカウントされた可能性がある。
 
 日本産婦人科医会は説明の中で、実際は「無条件で賛成」が7.8%、「条件付きで賛成」46.9%、合わせると54.7%が賛成だったとした。「反対」は42%だったとした。すなわち、賛成が反対を上回っていたことになる。
 ただ、日本産婦人科医会は「反対の意見があったことが重要。合意形成のためにも反対だった人の理由を議論することが重要」と話した。

 こうした結果を記載した理由としては、「資料提供を求められた時は全てのデータが揃っておらず、暫定として記載した」などとした。

 さらに参考人として参加した日本産科婦人科学会副理事長の加藤聖子氏は、緊急避妊薬のスイッチ化について「今後、スイッチ化になる流れだと思う」と発言。「要指導医薬品としてスイッチ化し、薬剤師による対面指導によって産婦人科医への受診勧奨を促してほしい」と話し、スイッチ化を容認する発言を行った。「OTC化と同時並行で性教育の充実に取り組んでほしい」とした。

 会議終了時には、市民団体から「実際のスイッチ化の決定はいつごろになるのか」との質問が出たが、事務局は「時期は明言できない」と回答。来年1月までに海外の販売実態調査結果公表も控えているとして、来年以降になる考えを示唆した。

この記事のライター

関連するキーワード


緊急避妊薬 スイッチOTC

関連する投稿


【東京都薬剤師会】緊急避妊薬調査事業、協力医療機関数が250に

【東京都薬剤師会】緊急避妊薬調査事業、協力医療機関数が250に

【2025.02.07配信】東京都薬剤師会は2月7日に定例会見を開いた。この中で、緊急避妊薬販売にかかる環境整備のためのモデル的調査事業の協力医療機関リストを公開した。250の医療機関から協力を得た。


【スイッチOTC】胃酸抑制するPPIや睡眠薬ロゼレム、片頭痛薬ミグリステンを承認/厚労省審議会

【スイッチOTC】胃酸抑制するPPIや睡眠薬ロゼレム、片頭痛薬ミグリステンを承認/厚労省審議会

【2024.12.23配信】厚生労働省は12月20日、薬事審議会「要指導・一般用医薬品部会」を開き、胃酸の分泌を抑制する成分であるPPI(プロトンポンプ阻害薬)3成分の要指導医薬品への指定を承認した。片頭痛薬マイフェミン、ミグリステンSや、睡眠薬ロゼレムも承認「可」とした。


【八戸薬剤師会】緊急避妊薬の供給体制HPをバージョンアップ/医療機関リストも整備

【八戸薬剤師会】緊急避妊薬の供給体制HPをバージョンアップ/医療機関リストも整備

【2024.12.02配信】八戸薬剤師会(青森県、阿達昌亮会長)は12月2日までに同会HP上の緊急避妊薬の供給体制サイトをバージョンアップした。産婦人科医会の了解を得て、受診できる医療機関リストも整備した。


【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業<令和6年度>を説明

【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業<令和6年度>を説明

【2024.10.01配信】日本薬剤師会(日薬)は10月1日に定例会見を開いた。この中で令和6年度の緊急避妊薬調査事業について説明した。


【緊急避妊薬】調査事業で購入できたのは15%のみ/市民団体調査

【緊急避妊薬】調査事業で購入できたのは15%のみ/市民団体調査

【2024.06.10配信】市民団体の「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は6月10日、衆議院第一議員会館内で「院内勉強会」を開催した。


最新の投稿


【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【2025.03.19配信】大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区 社長:上原 茂氏)]は、ショッピングモールの薬局内にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)化されたOTC販売機を設置し、第1類医薬品を含む一般用医薬品を販売する実証を、3月下旬(予定)より開始すると公表した。


【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【2025.03.16配信】渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員が、3月15日に開かれた日本薬剤師会臨時総会で挨拶した。


【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【2025.03.16配信】日本薬剤師会の専務理事に上野清美氏が就任した。