【厚労省・紀平薬剤管理官が講演】「調剤基本料は経営効率と機能の二軸で評価」/「認定薬局の報酬組み込みは今後の課題」

【厚労省・紀平薬剤管理官が講演】「調剤基本料は経営効率と機能の二軸で評価」/「認定薬局の報酬組み込みは今後の課題」

【2021.09.26配信】厚労省保険局医療課薬剤管理官の紀平哲也氏は、9月26日に開かれた薬局団体連絡協議会「第3回 国民のための薬局のあり方シンポジウム」で講演した。その中で、調剤基本料の構成を説明し、「調剤基本料は経営効率と機能の二軸で評価している」とするとともに、「認定薬局の報酬組み込みは今後の課題」と話した。


 紀平氏は、調剤基本料の設定に関して、「経営効率性と、薬局が有する機能の二軸で評価している」と説明した。

 集中率が高いことで備蓄医薬品が少なくてよいことが考えられるほか、規模によるメリットが出ることなどが考えられることから、医療経済実態調査の結果を踏まえ、効率性の観点で設定しているのが調剤基本料だ。

 一方、調剤基本料の加算料として設定されている地域支援体制加算では、在宅患者薬剤管理などの実績といった薬局が有する機能で算定が可能となっている。

 加えて、紀平氏は「今後に関しては、改正薬機法における地域連携薬局や専門医療機関連携薬局などの認定薬局について、報酬の方でどう受け止めていくかが課題」と話した。

 調剤報酬は「調剤技術料」の中に「調剤基本料」と「調剤料」がある。これまでの中医協では、対物業務の報酬として「調剤料」を逓減していく方針が掲げられてきており、「薬局の機能をもっと評価すべきだ」との意見も出ていることから、「調剤基本料」の行方は大きなポイントになる。調剤料の比重がさらに抑えられ、薬局の機能評価の部分が大きくなる可能性があるといえるだろう。

後発医薬品のフォロー

 紀平氏は、認定薬局に関して、「それぞれの薬局が、どのような患者に、どのような価値を提供していくのかを改めて考える時代になったこと」と話し、「言葉がいいか分からないが、薬局の差別化ということになると思う」と話した。

 調剤の中身も変化しているとし、「患者からみて薬局が薬を渡すところという見え方が変わるためにも、昨今、いわゆる服薬フォローが重視されるようになり、患者さんに飲んだ後の確認やその結果を医師にフィードバックすることが求められてきている」と話した。

 「“薬剤師はこれをした”ということだけでなく、“薬剤師がこれをしたことで、薬物治療がどうなったか”ということが本質的な価値であり、今後問われていくことだと思う」(紀平氏)と話した。

 これに関連して、後発医薬品の問題に触れ、「後発医薬品でも飲んだ後を確認していますでしょうか」と投げかけた。
 紀平氏は、「現場ではほかの後発医薬品に切り替えたり、先発医薬品に変えざるを得ない、あるいはほかの成分に変えざるを得ないという医師や患者さんとの調整があると思うが、説明を行って実際に医薬品を変えて渡したときに、渡したあとにどうなりましたか、ということをフォローされていますでしょうか。一元的・継続的なフォローが重要ということだけでなく、どうやって責任を持って薬物治療を行うか」と投げかけた。

この記事のライター

関連する投稿


【中医協】日薬、剤形など柔軟な変更への対応を要望/医薬品供給不安による医療機関・患者負担軽減目的で

【中医協】日薬、剤形など柔軟な変更への対応を要望/医薬品供給不安による医療機関・患者負担軽減目的で

【2023.11.22配信】厚生労働省は11月22日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「後発医薬品の安定供給・使用促進等に係る取組状況について」を議論した。


【中医協「調剤について(その2)」】調剤後のフォローアップ、心不全に関し評価を/日本薬剤師会森副会長コメント後半

【中医協「調剤について(その2)」】調剤後のフォローアップ、心不全に関し評価を/日本薬剤師会森副会長コメント後半

【2023.11.08配信】厚生労働省は11月8日、中央社会保険医療協議会(中医協) 総会を開き、「調剤について(その2)」を議論した。その中で日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、調剤後のフォローアップについて、心不全に関し評価を求めた。


【中医協「調剤について(その2)」】供給問題の影響による錠剤の粉砕評価を/日本薬剤師会森副会長コメント前半

【中医協「調剤について(その2)」】供給問題の影響による錠剤の粉砕評価を/日本薬剤師会森副会長コメント前半

【2023.11.08配信】厚生労働省は11月8日、中央社会保険医療協議会(中医協) 総会を開き、「調剤について(その2)」について議論した。その中で日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、供給問題の影響による錠剤粉砕の評価などを求めた。


【日本薬剤師会】「調剤基本料」の引き下げ論議には「反対」明確化/財政審分科会の議論を受けて

【日本薬剤師会】「調剤基本料」の引き下げ論議には「反対」明確化/財政審分科会の議論を受けて

【2023.11.02配信】日本薬剤師会(日薬)は11月1日午後4時から会見を開いた。その中で財政制度審議会財政制度分科会「社会保障」の議論に対して反論した。日薬としては調剤基本料を下げるような主張には反対するとの姿勢を明確に示した。


【日本薬剤師会・山本信夫会長インタビュー】改定へのスタンス語る

【日本薬剤師会・山本信夫会長インタビュー】改定へのスタンス語る

【2023.11.01配信】日本薬剤師会(日薬)会長の山本信夫氏は本紙の取材に応え、次期調剤報酬改定へ向けて現時点での考え方について語った(収録日:10月20日)。


最新の投稿


【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」

【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」

【2023.11.28配信】適切かつ安全に緊急避妊薬にアクセスできる社会の実現を目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は11月28日、「緊急避妊薬OTC化の試験的運用の周知、及び迅速かつ全面的なOTC化実現を求める要望書」を厚生労働省に提出した。厚労省は医薬局医薬品審査管理課長の中井清人氏が受け取った。同日、試験的運用が開始されたことを受けたもの。


【日本薬剤師会】「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」HP公開/都道府県別対応薬局リストも閲覧可能

【日本薬剤師会】「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」HP公開/都道府県別対応薬局リストも閲覧可能

【2023.11.28配信】日本薬剤師会は11月28日、「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」に関する一般向けのホームページを公開した。同日から同事業が開始されることに合わせたもの。


【医療保険者団体】診療報酬改定要望を武見厚労相に提出/薬価改定では「市場実勢価格引き下げ分は国民に還元を」

【医療保険者団体】診療報酬改定要望を武見厚労相に提出/薬価改定では「市場実勢価格引き下げ分は国民に還元を」

【2023.11.27配信】健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、全国健康保険協会、全日本海員組合、日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会の6団体は連名で、武見敬三厚生労働大臣宛てに「令和6年度診療報酬改定に関する要請」を提出した。


【日本薬剤師連盟】薬剤師議員懇談会開催/賃金上昇への改定財源を改めて訴える/加藤勝信前厚生労働相など参席

【日本薬剤師連盟】薬剤師議員懇談会開催/賃金上昇への改定財源を改めて訴える/加藤勝信前厚生労働相など参席

【2023.11.27配信】日本薬剤師会は11月27日、自由民主党薬剤師問題議員懇談会総会を開催した。年度の会計報告を含めた総会を実施するとともに、改めて薬局が物価高騰・賃金上昇に対応するために必要な診療報酬改定財源の確保などを直接、国会議員に求めた。


【訃報】東邦ホールディングス濱田矩男最高顧問

【訃報】東邦ホールディングス濱田矩男最高顧問

【2023.11.27配信】東邦ホールディングスで長く経営トップとして活躍してきた濱田矩男最高顧問が死去した。83歳。


ランキング


>>総合人気ランキング