【コロナ自宅療養支援】東京都薬剤師会が薬局リストなど体制整備へ/永田会長「今こそ地域包括ケアでの薬局の役割を示す時」

【コロナ自宅療養支援】東京都薬剤師会が薬局リストなど体制整備へ/永田会長「今こそ地域包括ケアでの薬局の役割を示す時」

【2021.09.04配信】東京都薬剤師会は9月3日に定例会見を開き、コロナ自宅療養者への支援のために、対応可能薬局リストをつくるなど、体制を整備する考えを示した。会見した東京都薬剤師会会長の永田泰造氏は、「地域包括ケアの中の薬局の役割を今こそ示すべきだ」と話した。より具体的な対応に関しては、会見翌日の9月4日に地区会長会議を開き、詰める方針。


 新型コロナウイルス感染症の自宅療養者に対する医療支援については、8月17日に、東京都から東京都薬剤師会に協力要請があったもの。

 東京都では東京都医師会や東京都訪問看護ステーション協会と連携して医療支援を開始することとした一方、自宅療養患者の診察後、薬剤師による時間外や夜間の調剤対応の整備が求められている。

 特に多摩地区では自宅療養患者へのオンライン診療がスタートするが、“モノ”である医薬品の迅速な供給が課題となっている。
 会見した同会会長の永田泰造氏は、「都市部はいいが、東京都と一言でいっても多摩地区などでは森林・山間地域もあり、そういった往復に2時間もかかるような地域の自宅療養患者にどのように医薬品を供給していくかには課題がある」と指摘。「薬剤師が一人で勤務している薬局など、依頼があっても、薬局をあけて届けに行ける場合ばかりではない」と難しさも話した。一方で、「何とかしてあげたいという思いを持っている薬剤師、薬局も多く、リスト化をどうしていけばいいのかを検討したい」と話し、会見の翌日、9月4日の地区会長会議で検討を進めるとの意向を示した。
 「地域包括ケアの中の薬局の役割を今こそ示すべきだ」(永田会長)と話した。

 一方、検討の素地として、8月30日を締め切りにした状況調査を地区薬剤師会を対象に実施した。
 地区薬剤師会における自宅療養患者への対応の状況では、「地区医師会が中心になり対応している」との回答が30、「訪問専門医が中心になって対応している」が11、「まだ構築されていない」が11だった。
 地区薬剤師会への相談や依頼については、「あった」が34、「なかった」が13だった。
 地区薬剤師会での平日夜間・休日対応については、「会の運営薬局(会営・夜間休日薬局等)での対応」が8、「地域割りを行い、会員の薬局で対応(輪番等)」が9、「有志や役員の薬局での対応」が13、「特にこのための対応を考えていない(平時と同様)」が18だった。

 そのほかにも対応の自由記述で、下記のような多くの回答が寄せられた。
・対応薬局をリスト化
・会の運営薬局での対応等計画中
・「平日の薬剤配達等業務委託」を行政と契約
・コロナ対応の会員薬局を医師会・保健所で情報共有
・会員薬局のうち、自宅療養者への対応薬局をリスト化、マップと合わせて医師会に情報提供
・夜間・緊急時はバイク便の利用も検討
・訪問に対応可能な薬局をリスト化し、医師会と共有
・今後の需要増加に備え、輪番対応への切り替えを模索中
・医師会と協議し、平日18時、土曜13時まで対応。配薬希望薬局を募集し、近隣エリアの薬局に配薬を依頼
・医療機関より自宅配送できる薬局の照会に管理センターで斡旋対応
・嘔吐・下痢、嚥下困難の患者に点滴および医材の供給
・平日・休日における自宅療養者への対応を調査、地区別集計し、行政・医師会対応
・医療機関からの薬局の依頼に個別で対応

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