この日の中医協では在宅がテーマになった。今後、在宅医療の需要が大幅に増加することが見込まれるとして、体制の整備が急務となっているもの。
日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は、「在宅患者の薬物治療を最適に、安心安全に行うために薬剤師が役割を果たせるような体制をお願いしたい」と述べた。
そのためには、入退院のシームレスな情報共有が重要として、退院カンファレンスの実施が進んでいない現状について、「仕組みの問題なのか、検討し、改善が必要」と述べた。
一方、保険材料に関して、「償還価格が十分ではなく、薬局の持ち出しになることがある」として、十分な対応を要望した。
また、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定に関して、月4回との上限が設定されていることに関し、「特定疾患などきめ細かなケアが必要な患者に関しては月4回を超えての対応も必要」と話した。
さらに医療的ケア児への対応や歯科医との連携も、在宅領域での意義が大きいとし、評価の拡充や新設要望を示唆した。
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、在宅医療領域の薬局の関わりに関して言及し、「算定件数なども増えている」と評価する一方、「地域支援体制加算の在宅要件も年12回の実績と前回の改定で拡充したが、まだ少ないのではないかと思っている」として、さらなる要件拡充を示唆した。
また、「在宅はどのような薬局が推進しているのか」と関心を示し、「地域支援体制加算を取得している薬局や、地域連携薬局が推進していくと思うが、地域の薬局がやっているのか、大手チェーンがやっているのか、あるいは門前薬局でも在宅をやっているのか、分かれば参考になるのではないか」と話した。
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<編集部コメント>
在宅医療の拡充に関しては、薬局だけでなく、医療でも「患者を知っているかかりつけ医が延長として、地域で医療機関と連携して参画することで量を確保する」との方針が日本医師会からも提示されていた。
さらには24時間対応などの取り組みへの障害となっている事項を緩和していくことも方策の1つとして示されていた。
規模の大きくない企業の比率が一定数ある薬局業界においても、算定件数の上昇も必要だが、かかりつけ薬剤師の延長として参画する薬局の拡大が必要で、参画しやすい環境についても議論していく必要があると考えられる。