大木ヘルスケアホールディングスの2021年3月期決算は、売上高2861億7300万円(対前年同期比3.2%増)、営業利益30億1000万円(同34.4%増)と経常利益41億600万円(同28.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億9600万円(同18.2%増)だった。
OTC医薬品を筆頭にインバウンド需要の急減があったが、マスクなどの衛生用品をはじめとしたコロナ関連特需の追い風を受け、増収で着地した格好。
説明会に臨んだ同社社長の松井秀正氏は、「コロナが拡大する前から感染症対策にマスクが有効だとして、使命感をもった取り組みを展開してきたことが、今回の特需を取り込める結果となった」と話した。マスク関連市場は今後、揺り戻しも想定されるが、「サージカルマスクなど当社のプレゼンスを維持していきたい」と方針を示した。
ヘルスケア関連では中核となるOTC医薬品市場が前年割れが見込まれる一方で、同社では商品カテゴリーを多角化してきていたことも増収となった背景だとした。
商品カテゴリー別売上高をみると目を引くのが化粧品売上の4.1%増。
市場全体としては、コロナ禍で外出機会の減少や対面サービスの自粛などによって減収傾向が指摘されてきた。
松井社長は、「化粧品とひとくくりでいっても中身をみると、メーキャップは落ちているが、基礎化粧品で集中的にケアをしたいというニーズや付加価値のシャンプー・リンスは伸びている」と指摘。アロマのように香りのあるシャンプーなどではリラックス効果を期待したニーズもあるという。同社では伸びているカテゴリーに注力したことで売上を伸ばした。
なお、今期の業績予想は非公表としている。
その背景について、松井社長は「オリンピックやコロナの状況、消費動向など、今期は予想の範疇を超えるような状況のため、非開示としている」と説明する一方、「(昨年と比べてどうかという)前年同期比でみるのではなく、本質的な部分で経営戦略を立てていくことで結果として数字を残せるのではないか」との方針を語った。

【ヘルスケア卸の大木ヘルスケアHD決算】化粧品増収。基礎化粧や付加価値ヘアケア伸長/コロナ禍でもケアのニーズ取り込み
【2021.05.19配信】ヘルスケア卸の大木ヘルスケアホールディングスは5月19日に決算説明会を開催し、化粧品カテゴリーの商品売上が前期比で+4.1%となったとした。対面に規制が出てメーキャップ製品市場の落ち込みが指摘されているが、同社社長の松井秀正氏は「コロナ禍においても基礎化粧品や付加価値のヘアケア製品などに関しては伸びがみられた。こうした伸びているカテゴリーに注力したことが奏功した」と話した。
関連する投稿
【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で
【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。
【大木ヘルスケアHD】エスエス製薬株式会社との取引基本契約締結
【2025.02.25配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは、同社子会社の株式会社大木(本社:東京都文京区、代表取締役社長:松井秀正氏)がエスエス製薬株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ニクヒレッシュ・カルラ氏)と取引基本契約を締結し、業務提携に合意したと公表した。
【大木ヘルスケアHD】松井秀正社長「ドラッグストアは行政とも連携しビジネスモデル変革を」
【2025.02.14配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは2月14日、同社提案会開催中の会場にて会見を開いた。この中で同社社長の松井秀正氏はドラッグストアは今後、「行政とも連携してビジネスモデルを変革していく必要がある」と語った。同社はこれまでも販売だけでなく店頭で行政とも連携した健康イベントの実施を提案・支援するなどの試みを展開している。今回の提案会でも店頭でのフレイル予防に資する取り組み提案などを行っている。
【2025.02.14配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは2月12日、販促企画・運営会社と業務提携したと公表した。
【大木ヘルスケアHD】フェムケアカテゴリー提案/月経カップなども
【2024.06.19配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月18日・19日の両日、「2024OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会」を開催。会期中に同社社長の松井秀正氏が会見を行った。
最新の投稿
【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中
【2025.08.08配信】日本薬剤師会が公表した「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト」。このうちの1つの事項である「地域の医薬品情報の把握・共有の取組」。この実践へ向けて情報共有のためのシステム選定の動きも活発化してきた。こうした中、メディカルシステムネットワーク(MSNW)では、もともと地域薬剤師会と共に開発を進めてきた「LINCLEちいき版」の提案を強化している。すでに10以上の都道府県薬剤師会への提案を進行中だという。
【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例
【2025.08.08配信】厚生労働省はこのほど、保険調剤「確認事項」(令和7年度改訂版)を公表した。2枚処方箋を受け付けることにより、投薬期間上限を超えるなどの不適切事例を指摘している。
【東京都薬務課_危険ドラッグ】オピオイド受容体に働く成分を新規指定/水際対策の一環
【2025.07.30配信】東京都薬務課は7月30日、定例会見を開き、7月3日に危険ドラッグに指定した成分について説明した。指定した3成分はいずれも興奮、陶酔又は幻覚作用等を有する。すでに厚労省でも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する大臣指定薬物に指定され、令和7年7月13日をもって施行された。
【ドラッグストア協会】濫用防止薬に関わる業界販売ガイドライン、年内省令発出後の公表予定
【2025.07.29配信】日本チェーンドラッグストア協会は7月29日に定例会見を開き、改正薬機法で定める指定濫用防止医薬品の販売に関する業界ガイドラインに関して、年内をメドとする省令発出後に公表する見込みであることを説明した。
【ドラッグストア協会】参議院選挙結果報告/「本田顕子氏を本気で応援した」
【2025.07.29配信】日本チェーンドラッグストア協会は7月29日に定例会見を開き、参議院選挙の結果報告をした。