保険薬局に勤務しています池下暁人と申します。SNSなどではイケアキの通称で発信さ
せていただいています。気になる医療制度の動向と私見を寄稿していきます。
いよいよ2020年度が終わり、4月から2021年度が始まろうとしています。
次回の診療報酬改定は2022年4月です。裏では様々な殴り合い…もとい、応戦が始まっていると思います。
余談ですが、以前、私が主催したWeb勉強会“するやく会”での質問で「診療報酬は2年に1回は早すぎる」とご意見いただいた事がありました。確かに現場をまわしていたら「もう2年!」ってなりますよね。めっちゃ分かります。
(注:するやく会については、ドラビズさんでも記事にしていただきました。その節はありがとうございました(人´∀`).☆。
https://www.dgs-on-line.com/articles/784)
一方で、医療技術の進歩など、動きの速いものに対して組む予算は本来、毎年度が理想です。しかし経営への影響の大きさもあって「2年毎」としているのは、実は絶妙なタイミングなのかな、と個人的には思っています。
さて、本日はSNS等で薬局の方から「薬価を下げ続けるのは止めて欲しい」というご意見があって、その点をちょっとだけ掘り下げようかなと思い、今回寄稿させていただきました。
薬価が下がるのは痛い! 薬局の経営をしていたら、ほんとそう思います。だって昨日と今日で商品の価値が一気に変わるんですよ。
数十万円~数十億円、たった一晩で価値が下がるという、株が暴落するみたいな出来事です。(あぁっ…嫌な思い出が…)
改定には、診療報酬本体の点数改定と薬価改定があり、その2つを合わせた全体改定率を決めて、翌年度の医療費が決定します。
薬価というのは基本的に引き下げられるシステムになっているので、それによって浮いた財源を診療報酬本体にまわして対応されてきました。
薬価制度は国民皆保険制度を維持するためには必要不可欠の公定価格制度ですので、その値段を変える薬価改定は(引き下げる事自体が目的ではなく)市場実売価格との乖離を正すために行われます。
『100円って値段がついてんのに実際の仕入れ値が50円やったら、そりゃあ国民に還元せんとな!次は値段を70円にしまひょか』みたいな事です。
これを取っ払うとなると需要と供給の法則が生まれて、必要性の高いものほど値段が上がったり
します。これでは、本当に必要な医療を提供するのは難しくなりそうですよね。
とは言え、少しでも安く仕入れるのは商売の鉄則なのでどうしても値引き交渉というものが発生してしまい、結果どんどん薬価が下がってしまいます。ある意味、自分たちで自分たちの首を絞めるという何ともドMな仕様になっています。薬価改定はM改定だったんですね(違
さて、そんなわけで(どんなわけだ)2021年度から中間年改定と言われる、薬価の毎年改定が行われます。どのような影響が出るのか。そして2022年度、2023年度の改定はどうなるのか、今から要チェックです。
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イケアキ(池下 暁人 いけした あきと)
2003年に薬剤師免許取得後、個店薬局、DgS、国立病院機構を経て、2017年から診療報酬改定などに関わる。
もっと薬剤師が医療制度に興味持たないとな~とか思いながら日々活動中。
Twitterアカウント@AkitoIkeshita
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