薬剤師の卒後研修議論、「6年+2年=8年」なら薬剤師になる人減るのでは!?【イケアキの医療制度深読み_その3】

薬剤師の卒後研修議論、「6年+2年=8年」なら薬剤師になる人減るのでは!?【イケアキの医療制度深読み_その3】

【2021.02.05配信】2020年7月に厚労省で「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」が新設されました。この中のテーマの一つとして「薬剤師の卒後研修」が、議論されています。しかし、「卒後研修」という言葉が独り歩きしているように思っています。また、薬局現場と教育現場がともにできることはまだまだたくさんあるなぁという気がしています。


 保険薬局に勤務しています池下暁人と申します。SNSなどではイケアキの通称で発信させていただいています。気になる医療制度の動向と私見を寄稿してます。

 前回ちょっとキレた感じの記事
https://www.dgs-on-line.com/articles/694
を勢いで書いてしまって、さすがにどうかな~って思ったんで「ボツでいいですよ(笑)」って添えて夜に送ったら数分後に編集長から「鼻血でそうです!今すぐ掲載します!」という、ちょっとよく分からないテンションのメールが来て「大丈夫かなこの人…」って思ったのは秘密です(スミマセン)。

 そんなわけで(どういうわけだ)第3弾は何がいいかな~なんて思っていたら、ドラビズさんで“【薬剤師養成検討会】製薬業界からの6年制評価は不評”という記事を発見。1月27日に行われた<第6回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会>の記事ですね。
(https://www.dgs-on-line.com/articles/691)

ちょうどええやんと、今回はこの検討会での内容をテーマにしてみます(ただの乗っかり)。
(検討会のページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12285.html

 この検討会では卒後研修の是非や、薬学部数の適正について議論されています。ちなみに某厚労省の方が第1回目の開催前に「初めての事なので、どういう落としどころになるか分からない」って言ってました。あんた分からんのかーい!と思わず突っ込みそうになりましたけど、そこはグッと堪えました(エライ)。まあそこは置いといても、全6回開催されて予想通りのようなそうでもないような、舵取り”は”大変だろうな~っていう印象は受けてます。

 さて、そんな検討会、卒後研修については検討会メンバーの多くが賛同していたように思いますが、言葉が独り歩きしているような気がしています。

 だって卒後研修って、仮に2年だとすると、6+2で8年必要になるんですよ。薬剤師になりたい人、ますます減りません?(あ、それが本当の狙い?)

 じゃあその卒後研修、在学中の研修とどう違うのかって言うと、一番の違いは「薬剤師免許を持っているか否か」です。国家資格を持ち自分自身に大きな責任を背負った上での研修はまた違うものがありますので、その点で私は“免許を持った上での研修”には賛成です。
 ただ・・・その8年を犠牲に(という言い方は語弊あるかもですけど)してまで、薬剤師は何を得るんでしょうかね。
 
 むしろもう思い切って4+2(4年で薬剤師免許取得、2年で臨床を研修)にしちゃったらどうでしょう?

 ちなみに以前、現場を経験している6年制卒業生へアンケートした事があって、『もっと大学で教えてほしかったと思う事はありますか』って聞いたら、8割を超える人から『あります』って回答がありました。(n=246)
 
 コアカリキュラム改訂前のアンケートとは言え、こんなに現場と教育が乖離しているんだ~と衝撃を受けました。現場含めまだまだできることは多くありそうですね。

**********************************************************************
イケアキ(池下 暁人 いけした あきと)
2003年に薬剤師免許取得後、個店薬局、DgS、国立病院機構を経て、2017年から診療報酬改定などに関わる。
もっと薬剤師が医療制度に興味持たないとな~とか思いながら日々活動中。
Twitterアカウント@AkitoIkeshita
**********************************************************************

この記事のライター

関連する投稿


【日薬代議員】 奈良、唯一の選挙で後岡氏(44)が当選/5月には会長選に挑む

【日薬代議員】 奈良、唯一の選挙で後岡氏(44)が当選/5月には会長選に挑む

【2024.04.15配信】令和6年3月28日に投開票された日本薬剤師会代議員選挙で、奈良県薬では44歳の後岡伸爾氏が当選した。今回の代議員選挙では唯一、選挙を行っての決定となった。


【日病薬】武田会長、改定の「薬剤業務向上加算」、第8次医療計画を後押しするもの

【日病薬】武田会長、改定の「薬剤業務向上加算」、第8次医療計画を後押しするもの

【2024.02.17配信】日本病院薬剤師会は2月17日に臨時総会を開いた。挨拶した武田泰生会長は今回の診療報酬改定にも触れ、薬剤業務向上加算については、「新任薬剤師の研修体制の構築や、出向を通してシームレスな薬物治療をつなぎ、第8次医療計画を後押しするものと期待している」と評価した。


【薬剤師養成検討会】「調剤業務委託の是非」を検討へ/ワーキンググループを設置

【薬剤師養成検討会】「調剤業務委託の是非」を検討へ/ワーキンググループを設置

【2022.01.20配信】厚生労働省は1月20日、「第11回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催し、薬剤師・薬局業務に関わる検討についてワーキンググループを設けて検討する方針を示し、了承された。検討内容については、資料で示した内容には記載がなかったものの、事務局は「規制改革で指摘されている調剤業務の委託」を口頭で追加説明した。


【薬学生向けイベント】「これからの薬局・薬剤師」開催レポート<2万字記事>サンキュードラッグ平野社長とアイセイ薬局藤井社長が登場

【薬学生向けイベント】「これからの薬局・薬剤師」開催レポート<2万字記事>サンキュードラッグ平野社長とアイセイ薬局藤井社長が登場

【2021.09.18配信】ドラビズon-lineは9月1日、薬学生向けオンラインイベント「これからの薬局・薬剤師」を開催した。サンキュードラッグ社長の平野健二氏とアイセイ薬局社長の藤井江美氏に参加いただき、経営者の目線からの見解を紹介いただきつつ薬学生とディスカッションしていただいた。


【米国薬剤師の役割でセミナー開催】全米州薬局協会連合州政策担当部長のAllie Jo Shipman氏が登場/主催・真野俊樹氏

【米国薬剤師の役割でセミナー開催】全米州薬局協会連合州政策担当部長のAllie Jo Shipman氏が登場/主催・真野俊樹氏

【2021.08.17配信】8月20日(金)9時〜、真野俊樹氏(多摩大学大学院教授)が主催するWEBセミナーが開かれる。テーマは「米国薬剤師の役割とその重要基盤COVID-19を踏まえて」。数十名規模でインタラクティブな質疑応答が可能なセミナーとなっている。料金は1万6000円。申し込みはPeatixより。https://digital-health-now-4.peatix.com/


最新の投稿


【東京都】災害薬事コーディネーターを任命/都薬副会長の宮川昌和氏など

【東京都】災害薬事コーディネーターを任命/都薬副会長の宮川昌和氏など

【2024.04.24配信】東京都薬務課は4月24日、定例会見を開いた。


【東京都】市販薬の適正使用へ/小学生向け教材作成へ/乱用推進計画

【東京都】市販薬の適正使用へ/小学生向け教材作成へ/乱用推進計画

【2024.04.24配信】東京都薬務課は4月24日、定例会見を開いた。


【楽天三木谷氏】“濫用薬”の規制方向「撤回を」/デジタル社会構想会議で表明

【楽天三木谷氏】“濫用薬”の規制方向「撤回を」/デジタル社会構想会議で表明

【2024.04.24配信】デジタル庁は4月24日、第 9 回デジタル社会構想会議を開いた。この中で三木谷浩史氏(楽天グループ株式会社/一般社団法人新経済連盟)は厚労省の進める“濫用薬”の規制方向を撤回するよう意見した。


【たんぽぽ薬局】ミック・ジャパン(大阪市)のドラッグ事業など譲受へ

【たんぽぽ薬局】ミック・ジャパン(大阪市)のドラッグ事業など譲受へ

【2024.04.23配信】株式会社トーカイの連結子会社であるたんぽぽ薬局株式会社(岐阜市)は4月22日、株式会社ミック・ジャパン(大阪市)との間で、ミック・ジャパンが展開するリハビリデイサービス事業、ドラッグストア事業などの各事業の譲り受けについて基本合意に至ったと公表した。


【楽天グループ】薬局予約アプリ「楽天ヘルスケア ヨヤクスリ」の提供を開始

【楽天グループ】薬局予約アプリ「楽天ヘルスケア ヨヤクスリ」の提供を開始

【2024.04.22配信】楽天グループ株式会社は4月18日、「処方せん医薬品を薬局で迅速に受け取ることができる調剤薬局予約アプリ『楽天ヘルスケア ヨヤクスリ』の提供を開始した」と公表した。


ランキング


>>総合人気ランキング