猪瀬氏「こんなにいっぱい薬局が並ぶ必要がありますか。儲かるからでしょう」
猪瀬氏の質疑のうち、“門前薬局”に関する箇所は以下の通り。
猪瀬氏「医薬分業というのは必要なんです。昔はお医者さんが薬を仕入れて、そして診療して約の2倍、3倍で売ったりしてたそういう時代があってそれを是正しようとして病院の中で薬を売らないで外で、調剤薬局で薬を売るというインセンティブを与えて医薬分業というものが進んできた。
そういう中で、じゃあ、どういう結局、現象が起きたかというとこれです。これうちの近所の総合病院の近くの。門前薬局っていうんです。お寺の前にずっと店が並ぶように、門前薬局、こんなに繁盛してるんです。なんでこんなにいっぱい薬局が並ぶ必要がありますか。儲かるからでしょう。これはそういうことで」
「お薬手帳持ってますか、持ってません、はい590円。持ってます、450円。そんな馬鹿げたことありますか」
猪瀬氏「なんでこんな門前薬局の風景が生まれてしまったのかと言うことなんですけれども、まずはその次のパネルで門前薬局が儲かる構図というのをちょっと説明します。
我々はお医者さんにかかる。そこで院内薬局、つまりお医者さんの中の薬局、まあ今だいぶ少なくなりましたけれども、急いでる場合、お医者の中の薬局で調剤使う場合がありますけれども、その点数ですけれども、だいたい院内処方というもので、普通のやつです、320円。もちろん保険が1割、3割だったりするとそれについてこれがこれで1割だったり3割だったりします。
で、次ですけれどもこれ調剤薬局、門前薬局でやるとどうなると言うことですね。門前薬局、これ、なんと7.4倍ですよ。なんでこんなに高くなっちゃうの。なんとか技術料、なんとか調剤基本料、何とか何とかいっぱいつけてるんですよ。なんでこんなについてるの。ちょっと青で囲ったのがありますけれども、服薬管理指導料というのがあります。これ、僕がお薬手帳持ってなくて行ったら、お薬手帳持ってますかって聞かれて、持ってませんって言ったら590円取られて、次(お薬手帳を)持っていった。そしたら450円。持ってても、持ってなくても、取られる。耳塞いでいるしかないよ。聞かれたら終わりなんです。関所の通行料じゃないですか。という風な、お薬手帳持ってますか、持ってません、はい590円。持ってます、450円。そんな馬鹿げたことありますか。こういう無駄なコスト、これが今の服薬管理指導料。色んな名目つけてるんです。これね、マイナカードあればもういらないです。僕スマホにマイナカード入ってますから。そうすると、いろんなところのお医者さんで、処方箋やって、薬局で薬もらった全部記録残ってますから。お薬手帳なんていらないんです。前厚労大臣わかりますよね。それはね、加藤さん、いらないでしょ。それなのに、なぜとってるんですかね。というふうなことで、こういうことをつまりデジタル化とか、いろんなことを進めていけば、こういうコストゼロになるんです。
じゃあなんでこんなものが残ってるか。それは医薬分業を進めるための政策インセンティブ、誘導コストなんだ。その一人歩きした誘導コストが今、我々のユーザーの患者さんのツケとしてきている。これは無駄なんです。
で、これね、処方箋というのは年間で8億枚あるんです。それで、そこにちょっと掛け算すると、だいたい1.8兆円が無駄になるというか、必要ない金じゃないかということができるんですが、これはまたじっくりやりましょう」
編集部コメント/一律削減志向ではなく“地域の必要性”で濃淡付けるべき
薬剤師のメディアとしての“贔屓目”もあるかもしれないが、服薬管理指導料は「お薬手帳を持っているか、否か」で算定する技術料ではないことは指摘しておきたい。そこには服薬中のフォローも含めて薬剤師が適切な薬物治療に貢献する技術料が込められている。あくまでお薬手帳があるか否かは、算定の際の点数の違いと、算定要件の1つにすぎない。
猪瀬氏は「医薬分業は必要」とも明言していた。そうであるならば、調剤報酬には、そもそも施設を持つ薬局が経営できる費用をある程度、まかなっている面も理解してほしい。医師の技術料が大きく占める医療機関の診療報酬から薬剤の部分だけを切り出して比較するのは必ずしもフェアではない。
「医薬分業のコストに見合う患者が感じるメリットがあるか」という視点は長らく提示されてきた視点であり、その都度、日本薬剤師会は意見表明してきた。猪瀬氏も指摘していた通り、薬価差が縮小してきたこと、後発医薬品を推進してきたことなど、医薬分業そのものの経済的価値も一定程度社会から理解を得ていると認識している。足下のマイナ保険証の利用促進、電子処方箋の推進など、猪瀬氏や日本維新の会が掲げるDXを先んじて推し進める貢献をしてきているのも薬局、薬剤師である。さらに言えば、増大する医療費の歯止めの1つとして導入された長期収載品の選定療養に関しても、薬局・薬剤師は国民・患者へ制度を丁寧に説明する役割を果たしている。
その上で、もしも調剤報酬の“無駄”を議論するのであれば、一律に削減する方向では議論してほしくない。地域の医薬品提供体制が崩れるからだ。いま、日本薬剤師会でも、地域にどういった機能の医療機関がどの程度必要なのかを都道府県が考える「地域医療計画」と整合性のとれた「地域医薬品提供計画」の構築を政策提言に掲げている。地域で過不足ない医薬品の提供を実現することは、医薬品供給不足も問題になる中、理にかなっている。
“地域の必要性”という視点で、薬局ごとに濃淡を付けることが現実的な方向ではないだろうか。地域によって、医療ニーズの実情も異なる。
【編集部より】
今後、議論されるテーマです。このスレッドに対して読者の皆さんのご意見をコメントとしてぜひ残してください。
福岡厚労大臣「いわゆるOTC類似薬はあくまでも医療用の医薬品で原則として適切な使用がなされなかった場合のリスクが高いため、医師などの専門家の判断のもとでの使用が求められるもの」
猪瀬氏は、「OTC類似薬」についても言及していた。
猪瀬氏「OTC類似薬という、そういう名前、皆さん覚えていただきたいんですが。実は医者にかからなくても買える薬局があるんですね。皆さん、風邪薬は普通にドラッグストアとか薬屋さんに行きます。あとはお医者さんにかかったら処方箋を書いてもらってそして調剤薬局に行きます。それは非常にわかりやすい構造なんです。その真ん中のところにあるこのグレーゾーンの緑でマーカーふってあるところなんですけど、これは、医療用医薬品なんですけれども、これは必ずしも処方箋がなくてもよい薬なんですね。ところが今、ほとんどここの部分は、これで7000種類あるんですが、この薬は処方箋を書く場合がほとんどになっているんです。
だけど処方箋を書かなくても買える薬なんです。この部分でおそらく1兆円は削ることができる。処方箋を書かなければ。
ところがこの薬屋さん、あんまりないんです。零売薬局というのがある。零というのはゼロの零、少し、わずかずつという意味で、零売という言葉があるんですが、零売薬局というその零売薬局の看板をよく見てください。「処方箋がなくても薬が買える」と書いてあります。つまりこれ、セルフメディケーションといって、薬剤師さんが患者さんと一生懸命きちんと話をして、その知識を伝えていけば、必ずしもお医者さんの書いた処方箋がなくても医療用医薬品は買えるんですね。そういうことでこの処方箋がなくてもということなんですね。
こういうことがここで一つ無駄が発生して、1兆円の無駄があるんだと。これ探していけばいくらでもあるんですけど今日はこの話です。
こういうのがあるとですね、働いている人達ってなかなかお医者さんに行けなくて、こういう薬売っているところがあれば非常に助かる。同時に高齢者、ちょっとまあ暇つぶし病院行ってなんとなく湿布薬もらってくると。これだけで保険がかかるわけですね。こういうことの無駄を省くために、いろんな効果があるんですけれども、ぜひそこのところをちゃんと進めていこうと。
今回も協議体でそれをやろうと思ってるんですけれども、こういうことを総理、どう思いますか。こういう無駄があるんですよ。みんな知らないんですけども。これはね本当に業界の中で見えないようにしているんですね。これがこうやって売っているとこもあるんですね」
福岡厚生労働大臣「いわゆるOTC医薬品につきましては、これは薬剤師さんに相談しながらも、購入者の判断に基づいて購入され、使用されるものに対しまして、一方で、きちんとした定義があるわけではないですが、ご指摘のいわゆるOTC類似薬につきましては、これはあくまでも処方箋医薬品と同様、医療用の医薬品でありまして、原則としてえ適切な使用がなされなかった場合のリスクが高いため、医師などの専門家の判断のもとでの使用が求められるものであります。
ただし、医療用医薬品に該当するいわゆるOTC類似薬は、緊急時等のやむを得ない場合には医師の処方箋がなくても薬剤師と相談した上で必要最小限の数量を薬局で購入できることとしているものでございます。その上でいわゆるOTC類似薬を実際に販売するかどうかは、ドラッグストア等において患者さんからの相談を踏まえOTC医薬品による対応も含めて検討し判断されているものであるというふうに承知しています」
猪瀬氏「今の説明は厚労省っぽい説明なんで。これ本当に無駄なんだっていうことはやっぱりね普通の消費者の目線で、我々ユーザーですから、供給側の視点とユーザーの視点違いますから、これすぐ買いに行けるといいですよね。で、薬剤師さんが優秀なんですよ。これちょっと見てください。一番端の方、世界中で一番薬剤師の数が多いんですよ。これね量産したらおかしい、急に増やしていったんですよ。それなのにこれは調剤薬局でシートに輪ゴムで巻くだけの仕事やってるんですよ。こんなのね、はっきり言って誰でもできますよ。だから本当に薬剤師さんのできる仕事は、対面で、今のように医療用医薬品を説明して、そして売るという仕事ですよね。それが薬剤師の仕事だということで、これが歪められているんです」
石破総理「商品名は申し上げませんが、よく知られております解熱鎮痛剤とか胃腸薬とかこういうものを含んでおります市販されているOTC類似薬、OTC医薬品と効能効果が同じで処方されて保険給付される医療用医薬品については、保険給付のあり方を見直すということにあたりましては、患者にとって必要な医療へのアクセスというものはきちんとできるということを配慮しなければなりません。
そしてOTC医薬品との負担のバランスを考えねばなりませんが、これは極めて大事な課題だということは認識をいたしておるところでございます。
大切なのは患者さんが必要なアクセス、必要な医療にアクセスできるということは確保しながら、制度の持続可能性をどのようにして見出していくかということであって、本音の議論というものをしていかないと制度自体が瓦解すると思っております。
三党合意を踏まえまして検討していただきたいと思っておりますし、繰り返しになりますが政府として必要な情報の提供は包み隠さず行ってまいります」
猪瀬氏「ここは一つの重要なポイントで、先ほどの医療用医薬品は普通は買えるんだと。それを厚労省は何か規制を設けてなるべく変えないような方向に持っていこうとする。それを閣議決定までこの間したみたいなんですね。それまたあとでやります」