調剤併設50%目標。コロナ禍の薬剤師人材流動化が後押し
改正薬機法では、厚生労働省が定める基準を満たす薬局について、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」をそれぞれ都道府県が認定するとしている。今年8月から開始される予定。
クリエイトSDホールディングスでは、このうち「地域連携薬局」の認定を目指していく考えを示した。「地域に貢献していくという当社の理念を実現するためにも認定を進めたい」(同社)とする。
同社は第2四半期末時点でドラッグストア641店舗のうち、調剤併設ドラッグストアが201店舗(併設率31.4%)あり、そのほかに専門薬局36店舗と、合計237店舗の薬局を有している。
在宅医療にも積極的で第2四半期末時点で152店舗で在宅を実施している。
地域連携薬局の基準は1月22日に官報で公示されたばかりではあるが、同社は基準の内容に関して、「おおむね想定していた内容だった」と話した。
地域連携薬局の基準はプライバシーへの配慮や麻薬小売業者の免許、地域包括ケア構築に資する会議参加や在宅の実績など、現行の調剤報酬上の地域支援体制加算項目に準じた内容が含まれている。その点、同社はすでに地域支援体制加算の取得を進めてきたため、地域連携薬局にも取り組みやすい環境といえる。足下では84店舗で地域支援体制加算を算定している。
また、地域連携薬局の基準には「無菌製剤処理を実施できる体制」があるが、同社では4店舗で体制があり、これを活用していく考え。この4店舗以外では、基準の付帯にある「他の薬局との共同利用」を検討していく。
同社は「できるだけ早い時期に」調剤併設率を50%にすることを目標にしている。「コロナ禍で、調剤専門薬局の経営が厳しくなったこともあり、そういった業種から当社のような調剤併設ドラッグストアへの転職を希望する方が増えていることは実感している」といい、こうした薬剤師人材の流動化も調剤併設率向上の後押しになるとみられる。
機械化や薬剤師アシスタント人材の活用も進め、「今後は薬剤師一人当たりの応需処方箋枚数は増加するものと思う」とみる。
地域連携薬局では一つの店舗に1年以上の勤務経験のある薬剤師が半数以上いることが求められているが、この項目はチェーン展開する企業にとってネックとされてきた。同社では、「地域にお住まいのパートナーさんの活用を含め、クリアしていきたい」として、地域に住む人材との関係強化も示唆した。
「オンライン資格確認」全店で申請済
オンライン服薬指導をはじめ、医療・薬局行政でもデジタル化の波が押し寄せる中、同社は今年3月から始める「オンライン資格確認」の申請も全店で完了しているという。オンライン資格確認は保険証としても使えるマイナンバーカードをカードリーダーで読み取ること等により、患者の服薬歴や健診情報も共有が可能となるもの。
また服薬フォローは現在、電話対応が主というが、今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の部署の取り組みと併せ、システム化やデジタルツールの活用も検討していくという。
調剤事業だけでなく、ドラッグストア事業との連携を含め、データの活用・促進を図っていきたい考えだ。
生鮮業態との協業からノウハウを構築
また、同社が今後の方針として挙げているのが生鮮業態との協業。
これまで5店舗で進めてきたところ、成功事例が積みあがってきたといい、上期は3店舗を出店した。
比較的売場面積の広い店舗では同社独自で生鮮の拡充を図ってきたが、廃棄ロスの問題、オペレーション上の負担増など、自社だけの展開では課題もあったという。今後は協業により生鮮の拡充をスピードアップするほか、協業を通して自社店舗での生鮮取り扱いのノウハウを獲得・活用もしていきたい考えだ。
生鮮業態との協業店舗を進める。写真は「ドラッグストア クリエイト エス・ディー港北網島東店」(神奈川県横浜市港北区綱島東2-2-14)
【決算説明】クリエイトSDHD、生鮮との協業推進/DXで部署横断的PJ開始
https://www.dgs-on-line.com/articles/669【2021.01.21配信】クリエイトSDホールディングスは1月20日に、2021年5月期第2四半期(2020年6月1日~2020年11月30日)の決算説明の動画をメディアに公開した。同社社長の廣瀬泰三氏が説明した。下期において、生鮮業態との協業店舗を進めるほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のため、部署横断的なプロジェクトを立ち上げる。なお、同社は1月12日に決算短信を公表済み、12日に通期連結業績予想の修正も公表していた(当メディア既報、下記リンク記事参照)。