【日本保険薬局協会】健康サポート薬局の法制化議論「機能の明確化は有り難い」/三木田会長

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局の法制化議論「機能の明確化は有り難い」/三木田会長

【2024.10.04配信】日本保険薬局協会(NPhA)は10月3日、定例会見を開いた。この中で、認定薬局や健康サポート薬局の法制化に関する議論がされていることへの受け止めについて質問が出た。


すでにできてしまっている敷地内薬局「地域でどう活かしていくかも課題」

 厚労省では認定薬局や健康サポート薬局のあり方について、これまで「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」(検討会)で9回にわたり議論を重ね、そのとりまとめを次期薬機法改正を議論する「厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会」の10月3日の会で報告、議論している。

 検討会のとりまとめを受けた薬機法改正議論への受け止めについて聞かれると、協会会長の三木田慎也氏は、機能が明確化されていくことに対して「有り難い」との認識を示した。

 「不鮮明で分かりづらい面があった機能が、今回、薬機法の中で位置付けられることで鮮明になっていくことは、再度現場でも求められていることでもあるので、大変有り難いことだ」(三木田会長)と述べた。

 中でも、健康サポート薬局については研修を受けて届出を進めてきたものの、「どういう位置付けなのか」という声は出てきていたとし、「国もそう感じておられるんだと思う」と、現場の感覚と議論の方向に違和感はないとの感触を示した。
  
 三木田会長は地域でそれぞれの薬局が連携していく必要性をこれまでも指摘してきた。
 制度部会で薬局間連携についても議論されている中、三木田会長は「大病院前の薬局などそれぞれに機能・役割はあるんだろうと思う。敷地内薬局にしても、いろんな見方があるんだろうとは思うが、役割や機能が与えられていないのであれば、すでにできてしまっている薬局を地域でどういうふうにして活かしていくのかは課題だと思っている」述べた。
 「医薬品供給拠点というカードもあるわけなので、これはエヌファ(NPhA)の会員企業が果たすべき役割の1つだと思っている」(三木田氏)とした。

規模の大きな薬局法人では認定薬局増加傾向

 法制化されている認定薬局である「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」、および届出制の「健康サポート薬局」に関しては、同日の会見でも協会加盟社における整備状況調査結果も出ていた。

 回答薬局中の認定・届出率が24年1月には地域連携薬局28.7%、専門医療機関連携薬局1.2%、健康サポート薬局18.3%だったものが、24年8月にはそれぞれ、35.7%、1.5%、20.5%と上昇している(Nはそれぞれ5413薬局と5982薬局)。

 今回の回答薬局の所属グループの規模では81%が「300薬局以上」となっており、規模の大きな法人の母数が多いことも見受けられる。
 全国的には認定薬局の申請が踊り場になっている傾向がある中で、規模の大きな薬局法人では依然として申請が増加しているとも読み取れる。
 三木田会長も「(アンケート回答は)規模の大きな法人がシェアを占めているので、やはり大きい会社が(認定薬局申請増加の)中心になっている結果ではないか」との見方を示していた。

 薬剤師の配属数でも地域連携薬局では平均値が4.4人、専門医療機関連携薬局では7.6人、健康サポート薬局では4.5人となっており、店舗規模でも一禎の規模の薬局が多いことが見受けられた。

 今後、こうした実態もふまえ、有効な地域での薬局間連携のあり方の議論が進められる必要があるといえる。

この記事のライター

関連する投稿


【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【2025.02.13配信】日本保険薬局協会は2月13日に会見を開き、マイナ保険証の受付方法についての要望をまとめ、公表した。現在、在宅医療現場で活用しているWeb方式を通常の外来でも活用できるようにすることなどを求めている。


【薬機法改正】健サポ薬局→「健康増進支援薬局」として認定薬局に

【薬機法改正】健サポ薬局→「健康増進支援薬局」として認定薬局に

【2025.01.27配信】厚生労働省は1月27日、自民党厚労部会に次期薬機法改正の内容について説明した。その中で、これまで“届出制”だった健康サポート薬局について、「健康増進支援薬局」として認定薬局に加える考えを示した。


【日登会】デジタル活用の医薬品の“遠隔管理販売”、「歓迎」

【日登会】デジタル活用の医薬品の“遠隔管理販売”、「歓迎」

【2025.01.27配信】日本医薬品登録販売者会(日登会、横山英昭会長:コスモス薬品社長)は1月27日に会見を開いた。


【日登会】厚労省制度部会「とりまとめ」評価/今後は会議体への参画求める

【日登会】厚労省制度部会「とりまとめ」評価/今後は会議体への参画求める

【2025.01.27配信】日本医薬品登録販売者会(日登会)は1月27日に会見を開き、2025年度の展望と方針について説明した。その中で会長の横山英昭氏(コスモス薬品社長)は次期薬機法改正へ向けて厚労省の医薬品医療機器制度部会が公表した「とりまとめ」に対して「評価」するとの見方を示した。濫用薬の陳列や記録・保管、リスク区分等について日登会の要望事項が反映されたとの立場。また、今後、一般用医薬品の販売に関わる会議体については参画していくことを求めるともした。


【日本保険薬局協会】「1社流通」調査/理由の説明あったのはわずか「7.1%」

【日本保険薬局協会】「1社流通」調査/理由の説明あったのはわずか「7.1%」

【2025.01.16配信】日本保険薬局協会は1月16日、定例会見を開き、「1社流通」に関する調査結果を公表した。「一社流通」はメーカーが卸を限定して流通させている医薬品のことで、価格交渉の余地が小さく、薬価の「単品単価交渉」「銘柄別評価」の原則の中で、薬価形成に問題があるのではないかとの指摘が出ているもの。薬局・医療機関からは1社流通の場合は、メーカーからその理由について説明を求める声が高まっている。1社流通品のある多くの薬局で、卸変更や納品時期確認を余儀なくされているだけでなく、患者への欠品対応や継続服用の中断といった供給上の問題も発生していた。


最新の投稿


【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【OTC“自動販売機”】龍生堂本店で実証開始/大正製薬のサンドボックス制度

【2025.03.19配信】大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区 社長:上原 茂氏)]は、ショッピングモールの薬局内にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)化されたOTC販売機を設置し、第1類医薬品を含む一般用医薬品を販売する実証を、3月下旬(予定)より開始すると公表した。


【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【長期品の選定療養】「同一性への固執」による「医療上の必要性」認める

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【長期品の選定療養】患者が負担する「特別の料金」、医療費控除の対象/厚労省疑義解釈

【2025.03.18配信】厚生労働省は3月14日、「長期収載品の処方等又は調剤の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その4)」を発出した。


【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員】次期衆院選へ出馬へ

【2025.03.16配信】渡嘉敷奈緒美・元衆議院議員が、3月15日に開かれた日本薬剤師会臨時総会で挨拶した。


【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【日本薬剤師会】上野清美氏が専務理事に就任

【2025.03.16配信】日本薬剤師会の専務理事に上野清美氏が就任した。