【日本薬剤師会】スイッチOTCの環境整備で「医師との連携」掲げる

【日本薬剤師会】スイッチOTCの環境整備で「医師との連携」掲げる

【2020.12.22配信】日本薬剤師会(日薬)は、スイッチOTCの環境整備で「医師との連携」を掲げた。12月18日に開かれた「第5回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」で提示した資料の「薬局薬剤師の業務について」の中の「セルフケア・セルフメディケーションの支援、適正使用の確保」の項で触れたもの。スイッチOTCを議論する「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」でスイッチOTC推進における「医師の関与」が取り上げられている中、12月24日の同検討会での日薬の見解に注目が集まる。


 「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」は薬剤師の需給調査のほか、薬剤師養成や卒後研修などについて議論されている。12月18日のテーマは「薬局薬剤師の業務について」。この中で、日薬は資料を提出していた。

 資料全体は、「薬局・薬剤師の任務・役割」「調剤業務に関する状況」「薬局の薬剤師の就労」「薬剤師の確保」「生涯学習」「薬局実務実習」など6つの柱からなっており、広範な薬局・薬剤師の現状と課題を説明したものとなっている。医薬分業率の変化やそれに伴う薬剤師就労状況、薬剤師綱領、薬機法の趣旨などを踏まえ、今後の薬局・薬剤師の在り方として、「地域包括ケアシステムにおいて、関連する施設間・多職種間の連携をこれまで以上に推進する」などとしている。
 
 この資料の「セルフケア・セルフメディケーションの支援、適正使用の確保」の項の中で、「今後より充実する取組」として、「OTC医薬品の薬学的管理の充実・医師との連携 等」を挙げた。折しも、スイッチOTCを議論する厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(スイッチ検討会)では、12月2日の会議で「医師の関与」や「医師の管理下」が、スイッチOTC化する上で満たすべき薬剤の基本的要件の一つとして急浮上し、注目を集めていた。

 資料の中では、セルフケア・セルフメディケーションであっても、医療用医薬品と同様に使用者の状態等の必要な情報収集と正確な医薬品情報の提供に努めることが必要としている。
 その上で、「OTC医薬品についても情報を一元的・継続的に把握し、医師との連携を図る等、使用者がスイッチOTC医薬品を安全に安心して使用できる環境を整える」としている。
 日薬としては、医療用医薬品でも医師とは情報連携している中、医療用とOTC薬の双方を服用している患者もいることから、医師との連携は必然的に重要な要素と考えているようだ。

 一方、スイッチOTCの議論では、規制改革推進会議の委員である印南一路氏(慶應義塾大学総合政策学部 教授、医療経済研究機構 副所長兼研究部長)が私見としながらも、医師の関与を強めることがスイッチOTC促進には欠かせないとして、診療報酬上で医師に対する一般薬指導管理料を新設する案を提案。一部関係者からは、「医療機関任せではないセルフケア」の理念にそぐわないとして異論も出ていた。

 日本薬剤師会の今回の資料が、必ずしもスイッチOTCの要件とリンクするとは限らないが、OTC医薬品、セルフメディケーションを取り巻く課題の中で医師の存在が大きくなっている傾向は否めない。また、重要な点は、当初、「医師との情報連携は重要」とのストーリーが、いつのまにか、「医師の関与ありきのスイッチ」という一つのカテゴリーをつくってしまう出口となるリスクをはらんでいる点ではないだろうか。しっかりと医師・薬剤師の役割分担がなされ、アクセシビリティに優れた薬局を通じてスイッチOTCが機能するような制度設計が肝要だ。12月24日に予定されているスイッチ検討会の行方を注視したい。

この記事のライター

関連する投稿


【ED治療スイッチ薬】7月31日よりツルハ・ウエルシア等で先行発売開始/エスエス製薬

【ED治療スイッチ薬】7月31日よりツルハ・ウエルシア等で先行発売開始/エスエス製薬

【2026.06.10配信】エスエス製薬(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:元島陽子氏)は6月10日、日本初のED用市販薬「シアリス」(要指導医薬品)を2026年7月31日(金)より先行発売すると公表した。


【症状ごとの生活者における対処情報集】東京都医師会も参画し作成へ/セルフメディディケーション推進のデメリット低減

【症状ごとの生活者における対処情報集】東京都医師会も参画し作成へ/セルフメディディケーション推進のデメリット低減

【2026.06.09配信】6月6・7日に開かれた「第20回学術大会 日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会」で、「症状毎の生活者対処情報集の構築・提供プロジェクト」が令和8年度「厚生労働科学特別研究事業」の研究課題として採択されたことが報告された。


【緊急避妊薬OTC】アプリ「ルナルナ」と協力で服薬サポート/第一三共ヘルスケア

【緊急避妊薬OTC】アプリ「ルナルナ」と協力で服薬サポート/第一三共ヘルスケア

【2026.01.14配信】⽇本初となるOTC緊急避妊薬「ノルレボ」(要指導医薬品)を販売開始する第一三共ヘルスケアは1月14日、ウィメンズヘルスケアサービス『ルナルナ』と協⼒し服薬前から服薬後までをサポートすると公表した。同剤の発売は2月2日。製品の詳しい情報や購⼊・服⽤の流れ、服⽤前セルフチェック ページなどを掲載したブランドサイト(https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_norlevo/)も同日、公開した。


【緊急避妊薬のスイッチOTC】承認取得/あすか製薬、販売元は第一三共HC

【緊急避妊薬のスイッチOTC】承認取得/あすか製薬、販売元は第一三共HC

【2025.10.20配信】あすか製薬ホールディングスは10月20日、子会社のあすか製薬が緊急避妊薬「ノルレボ」の製造販売承認を取得したと公表した。承認取得を受け、第一三共ヘルスケアが同品の販売元として、発売に向けた情報提供体制の整備を進めるという。


【ジェネリック学会OTC分科会】生活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書公表

【ジェネリック学会OTC分科会】生活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書公表

【2025.10.13配信】日本ジェネリック・バイオシミラー学会のOTC医薬品分科会(分科会⾧・武藤正樹氏)はこのほど、活習慣病薬のスイッチOTC化の推進で提言書を公表した。10月11日に盛岡市で開催された「日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会 第19回学術総会」「OTC医薬品分科会」のシンポジウムの場で示したもの。シンポジウムは日本OTC医薬品協会当の共催。


最新の投稿


【日本病院薬剤師会】薬剤師のキャリア形成“ロードマップ”作成

【日本病院薬剤師会】薬剤師のキャリア形成“ロードマップ”作成

【2026.07.05配信】日本病院薬剤師会は薬剤師のキャリア形成における“ロードマップ”を作成していく方針を示した。6月20日に開かれた総会で武田泰生会長が会長演述の中で示した。


【東京都薬剤師会】資材不足「業務に影響」が94.8%

【東京都薬剤師会】資材不足「業務に影響」が94.8%

【2026.07.03配信】東京都薬剤師会(都薬)は7月3日に定例会見を開き、「調剤資材供給不安に関する緊急実態調査」の集計結果を公表した。


【パブコメ】セフトリアキソンナトリウム水和物を特定重要物資としての取組に追加

【パブコメ】セフトリアキソンナトリウム水和物を特定重要物資としての取組に追加

【2026.07.02配信】厚生労働省は6月30日、セフトリアキソンナトリウム水和物を安定確保の取組に追加することについて、パブリックコメントを開始した。医療法の特定重要物資に同成分が指定されたことを受けた改定。2027年に商用国内生産設備及び備蓄設備の構築を開始し、2032年までに国産原料由来の原薬の商用国内生産設備及び備蓄設備の構築を完了するとともに、国内で製造した原薬の販売先である製造販売業者による薬事上の手続等に要する期間等を考慮し、2033年までに供給途絶時においても、医療現場に切れ目なく安定供給できる体制を整備する旨を新たに定める。


【骨太原案】“OTC類似薬”、2027年度以降の対象範囲の拡大検討

【骨太原案】“OTC類似薬”、2027年度以降の対象範囲の拡大検討

【2026.07.01配信】政府は6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる“骨太方針”の原案をとりまとめ、公表した。医療保険関連では、OTC類似薬の保険給付の見直しに関して、施行とその状況等を踏まえた2027年度以降の対象範囲の拡大に向けた検討などを進めるとした。


【骨太原案】「薬価改定を実施」

【骨太原案】「薬価改定を実施」

【2026.07.01配信】政府は6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる“骨太方針”の原案をとりまとめ、公表した。診療報酬改定の中間年にあたる2027年度において薬価改定を実施すると明記した。


ランキング


>>総合人気ランキング