【2020.09.02配信】
新型コロナウイルス感染症拡大により、リモートワークなどが増える中、働き方の変化により熟眠感が悪化傾向にあることが分かった。
ライオンは、新型コロナウイルス感染症予防に伴う働き方の変化が、「睡眠の質」に及ぼす影響について、就業者を対象にアンケート調査を実施した。
新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言が発令され、外出自粛などにより、就業者は、急遽リモートワーク等の新しい働き方への対応を迫られることが増えた。今回の働き方などの変化が「睡眠」にあたえる影響について、就業者を対象とした WEB 調査を行った。
その結果、働き方などが変化したと回答している場合に、眠りが浅くなり、寝起きの熟眠感が悪化する傾向が見られた。特に「リモートワーク実施」「新型コロナウイルスへの不安」「仕事量の変化」があった場合にその傾向が現れた。
同社では、「就業者にとって一日の大半を占める働き方などの変化が、気持ちのあり方や生活のリズムにも影響をおよぼし、睡眠の質を低下させている」のではないかとみている。
「新型コロナウイルス感染症の流行前後での睡眠の変化」に関する調査では、新型コロナウイルス感染症の流行前後での「睡眠」の変化について尋ねた結果、「眠りの深さ」で「浅くなった」と回答した人の割合が「深くなった」と回答した人の割合より多く、「寝起きの熟眠感」で「悪くなった」と回答した人の割合が「良くなった」と回答した人の割合より多い結果となった。眠りの浅さや熟眠感の悪さは「睡眠の質」と深く関連するため、新型コロナウイルス感染症の流行に伴って、一部の人で睡眠の質が低下していることが示唆された。
「眠りの深さ」で「浅くなった」と回答した人の割合が「深くなった」と回答した人の割合より多かった
「リモートワークあり」で、睡眠の質は低下する傾向
働き方などの変化として、「リモートワーク実施の有無」、「新型コロナウイルスへの不安」、
「仕事量の変化」がそれぞれ、「睡眠の質(眠りの深さ、寝起きの熟眠感)」にもたらす影響を調べた。
リモートワーク実施の有無では、リモートワークの実施者(全体の約3割)と実施していない人の睡眠の質を比較した。「リモートワークあり」では、「眠りの深さ」「寝起きの熟眠感」ともに、「リモートワークなし」よりも睡眠の質が改善した人・悪化した人ともに割合が多く、睡眠への影響が大きい結果となった。しかし、その傾向としては悪化した人の割合のほうが大きく、睡眠の質は
低下する傾向と考えられる。
「リモートワークあり」では、傾向として、悪化した人の割合のほうが大きく、睡眠の質は低下する傾向と考えられる
「新型コロナ不安」で睡眠の質が低下
「新型コロナウイルスへの不安」では、新型コロナウイルスに対して「不安あり」と回答した人(全体の約7割)と「不安なし」と回答した人の睡眠の質を比較した。「不安あり」では、「眠りの深さ」「寝起きの熟眠感」ともに、「不安なし」よりも睡眠の質が低下する傾向が見られた。
新型コロナウイルスに対して「不安あり」と回答した人で睡眠の質が低下する傾向が見られた
仕事量の〝変化〟が睡眠に影響。仕事量の増減は関係なし
「仕事量の変化」では、新型コロナウイルス流行前後で、仕事量が減った人(全体の約4割)、変化がなかった人(全体の約5割)、増えた人(全体の約1割)に層別し、睡眠の質を比較した。
仕事量が変化した人は量の増減にかかわらず、「眠りの深さ」「寝起きの熟眠感」ともに、「仕事量に変化なし」の人よりも睡眠の質が低下する傾向が見られた。
仕事量が変化した人は睡眠の質が低下する傾向が見られた
今回の調査は生活者自身の「主観」を尋ねたアンケートの結果だが、脳波計での測定などの「客観」測定では、中途覚醒時間が「主観」評価よりも長くなるなど、「客観」と「主観」に乖離が生じる場合があることが報告されている。
同社では睡眠の実態を客観的に「見える化」し、個人が自分自身の状態を正しく把握した上で適切な対応をすることが、今後の健康づくりにおいて重要であるとの考えから、引き続き、良質な睡眠習慣の普及に向けた研究を続けていく方針。
なお、今回の調査研究の結果の一部は、2020年9月26日(土)~27日(日)オンライン開催の「第27回日本時間生物学会学術大会」にて発表する予定。