令和11年度(115回国家試験)以降は令和4年度改訂版モデル・コアカリに対応
令和4年度に薬学教育モデル・コア・カリキュラムが改訂されました。
令和6年4月1日以降の入学生から適用され、令和11年度(115回国家試験)以降は国家試験でも令和4年度改訂版対応になる予定です。
医学や歯学のモデル・コア・カリキュラムも同時に改訂され、「未来の社会や地域を見据え、多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」と同じキャッチフレーズとなりました。多職種連携やチーム医療の推進、地域包括ケアシステムの中で薬剤師の医療人としての活躍を期待する内容となっています。
今回、新しく設定された項目が2つありました。
① 総合的に患者・生活者を見る姿勢
② 情報・科学技術を活かす能力
①「総合的に患者・生活者を見る姿勢」については、身体的・心理的・社会的背景などを把握して、全人的、総合的に捉えて、質の高い医療・福祉・公衆衛生を実現していきましょうという趣旨ですが、特に公衆衛生は薬剤師が担うものだと少し前から話題になっていました。
8月22日、23日に帝京平成大学で開催された薬学教育学会では、「災害関連健康被害」というランチョンセミナーで、災害時の避難所では薬剤師が公衆衛生に配慮していきましょう!というお話を聞きました。今後も災害は起こりえるため、その時の薬剤師の活躍の話は良く聞くようになりましたが、更に薬剤師は公衆衛生も担っているという意識を改めて持たないといけないと思いました。
②「情報・化学技術を活かす能力」についても薬学教育学会で「情報・科学技術を活かす能力を醸成する教育について考える」というシンポジウムがあったぐらい、話題でした。東京科学大学(旧東京医科歯科大学)の歯学部での事例報告もあり、薬学部も自転車操業的に取り入れていかなければいけないと活発に意見が出ていました。一方で今の小学生はプログラムを学校で習い、AIも日常遣いになってくる学生たちが薬学部に入学してきた時には、どこまでできるようになっているのかを考えると、楽しみでもあり、恐怖でもあります。私的には2年後のCBTには新しい項目がもう出てくるのかしら?出てくるのであればどのようになるのかしら?と興味津々でシンポジウムにも参加していましたが、先生たちの中でも模索中だとわかりました。
実務実習も改訂に伴い、令和7年度4月1日以降の入学生が5年生になる令和10年度からは改訂されたガイドラインに基づいた実務実習が開始される予定です。薬学教育学会に現場の先生がたくさん参加して驚きましたが、受け入れ側の私たち薬剤師も共に勉強していかなければいけないですね。
問題数は変わらなさそう
学生の皆さんが気になる、問題数は変わらないようです。
また合格ラインは相対基準が続きます。
過去問の再出題も評価を得た問題が20%ぐらい出てくるという事は変わらないようです。
新しいところが出題されたとしても、大切なところは変わりません。満点を取る必要はありませんので、不必要に不安にならず、大切なところをしっかりとっていくように勉強しましょう。過去問は出題委員からのメッセージです。そのメッセージを正確に受け止めて実力をつけていきましょうね。そして、模擬試験は未来問です。こんな問題が出るかもという予想を立てて出題しますので、新しいところは大学の授業と模擬試験問題を解くことで網羅できますからね。
未来への不安に心を奪われず、やるべきことをやっていきましょうね。
(メディセレ 代表 児島 惠美子氏)
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