【厚労省_薬剤師試験制度改善検討部会】“予備校”の視線/メディセレ寄稿

【厚労省_薬剤師試験制度改善検討部会】“予備校”の視線/メディセレ寄稿

【2025.09.24配信】厚労省は「薬剤師試験制度改善検討部会」の検討を進めている。モデル・コア・カリキュラム改訂への対応を主軸に、広範な制度改正について議論されるようだ。試験問題に関わる機微な情報を扱うだけに今後はしばらく非公開での議論が進む見通しだが、3月開催の部会は公開、すでに議事録も公開されている。3月の部会の内容や直近の薬学教育に関する学会での議論などを、国試対策予備校関係者はどう受け止めているのか。本部・大阪の「メディセレ」代表の児島惠美子氏に寄稿いただいた。(編集部)※以下、寄稿文


令和11年度(115回国家試験)以降は令和4年度改訂版モデル・コアカリに対応

 令和4年度に薬学教育モデル・コア・カリキュラムが改訂されました。
 令和6年4月1日以降の入学生から適用され、令和11年度(115回国家試験)以降は国家試験でも令和4年度改訂版対応になる予定です。
 医学や歯学のモデル・コア・カリキュラムも同時に改訂され、「未来の社会や地域を見据え、多様な場や人をつなぎ活躍できる医療人の養成」と同じキャッチフレーズとなりました。多職種連携やチーム医療の推進、地域包括ケアシステムの中で薬剤師の医療人としての活躍を期待する内容となっています。

 今回、新しく設定された項目が2つありました。
① 総合的に患者・生活者を見る姿勢
② 情報・科学技術を活かす能力

 ①「総合的に患者・生活者を見る姿勢」については、身体的・心理的・社会的背景などを把握して、全人的、総合的に捉えて、質の高い医療・福祉・公衆衛生を実現していきましょうという趣旨ですが、特に公衆衛生は薬剤師が担うものだと少し前から話題になっていました。
 8月22日、23日に帝京平成大学で開催された薬学教育学会では、「災害関連健康被害」というランチョンセミナーで、災害時の避難所では薬剤師が公衆衛生に配慮していきましょう!というお話を聞きました。今後も災害は起こりえるため、その時の薬剤師の活躍の話は良く聞くようになりましたが、更に薬剤師は公衆衛生も担っているという意識を改めて持たないといけないと思いました。

 ②「情報・化学技術を活かす能力」についても薬学教育学会で「情報・科学技術を活かす能力を醸成する教育について考える」というシンポジウムがあったぐらい、話題でした。東京科学大学(旧東京医科歯科大学)の歯学部での事例報告もあり、薬学部も自転車操業的に取り入れていかなければいけないと活発に意見が出ていました。一方で今の小学生はプログラムを学校で習い、AIも日常遣いになってくる学生たちが薬学部に入学してきた時には、どこまでできるようになっているのかを考えると、楽しみでもあり、恐怖でもあります。私的には2年後のCBTには新しい項目がもう出てくるのかしら?出てくるのであればどのようになるのかしら?と興味津々でシンポジウムにも参加していましたが、先生たちの中でも模索中だとわかりました。
 実務実習も改訂に伴い、令和7年度4月1日以降の入学生が5年生になる令和10年度からは改訂されたガイドラインに基づいた実務実習が開始される予定です。薬学教育学会に現場の先生がたくさん参加して驚きましたが、受け入れ側の私たち薬剤師も共に勉強していかなければいけないですね。

問題数は変わらなさそう

 学生の皆さんが気になる、問題数は変わらないようです。
 また合格ラインは相対基準が続きます。

 過去問の再出題も評価を得た問題が20%ぐらい出てくるという事は変わらないようです。
 新しいところが出題されたとしても、大切なところは変わりません。満点を取る必要はありませんので、不必要に不安にならず、大切なところをしっかりとっていくように勉強しましょう。過去問は出題委員からのメッセージです。そのメッセージを正確に受け止めて実力をつけていきましょうね。そして、模擬試験は未来問です。こんな問題が出るかもという予想を立てて出題しますので、新しいところは大学の授業と模擬試験問題を解くことで網羅できますからね。
 
 未来への不安に心を奪われず、やるべきことをやっていきましょうね。

(メディセレ 代表 児島 惠美子氏)
■メディセレHP
https://www.medisere.co.jp/

この記事のライター

関連するキーワード


薬剤師国家試験

関連する投稿


【第110回薬剤師国家試験】合格ラインは210〜220点以上か/メディセレ社寄稿

【第110回薬剤師国家試験】合格ラインは210〜220点以上か/メディセレ社寄稿

【2025.02.28配信】第110回薬剤師国家試験が2025年年2月22日・23日に実施された。本紙では薬学教育支援等を行っているメディセレ社に、今回の試験内容等の分析について寄稿いただいた。


【109回薬剤師国試】平均点19.1点も下がったか/薬剤師国試対策校運営のメディセレ社長児島惠美子氏寄稿

【109回薬剤師国試】平均点19.1点も下がったか/薬剤師国試対策校運営のメディセレ社長児島惠美子氏寄稿

【2024.02.21配信】令和6年2月17日(土曜日)及び 同月18日(日曜日)に行われた第109回薬剤師国家試験。薬剤師国試対策校を運営するメディセレ社長の児島惠美子氏に、同校の自己採点システムを基にした受験生のデータ分析を寄稿していただいた。


【最新2023年度版 薬学部_国試ストレート合格率】私立大ランキング/トップ5は明治薬科大学、慶應義塾大学、北里大学、星薬科大学、東邦大学

【最新2023年度版 薬学部_国試ストレート合格率】私立大ランキング/トップ5は明治薬科大学、慶應義塾大学、北里大学、星薬科大学、東邦大学

【2023.10.15配信】文部科学省はさきごろ、薬学部における修学状況等 2023 年度調査結果を公表した。 https://www.mext.go.jp/content/202309011-mxt_igaku-100000059_01.pdf


【薬剤師国家試験の試験日決定】令和6年2月17日(土)および18日(日)/第109回薬剤師国家試験

【薬剤師国家試験の試験日決定】令和6年2月17日(土)および18日(日)/第109回薬剤師国家試験

【2023.08.31配信】厚生労働省は8月31日、第109回薬剤師国家試験について官報告示した。試験日は令和6年2月17日(土)および18日(日)。


【第108回薬剤師国試】 「正答率60%以上の問題」、前回228問から今回は264問に増加/メディセレ寄稿

【第108回薬剤師国試】 「正答率60%以上の問題」、前回228問から今回は264問に増加/メディセレ寄稿

【2023.02.27配信】厚生労働省は2月18日・19日、「第108回薬剤師国家試験」を実施した。本紙ではメディセレ社から、第108回国試の分析をいただいた。同社では、「正答率60%以上の問題」については、前回228問から今回は264問に増加していたと分析している。以下、株式会社Medisere(メディセレ)代表の児島惠美子氏による寄稿。


最新の投稿


【厚労省_薬剤師試験制度改善検討部会】“予備校”の視線/メディセレ寄稿

【厚労省_薬剤師試験制度改善検討部会】“予備校”の視線/メディセレ寄稿

【2025.09.24配信】厚労省は「薬剤師試験制度改善検討部会」の検討を進めている。モデル・コア・カリキュラム改訂への対応を主軸に、広範な制度改正について議論されるようだ。試験問題に関わる機微な情報を扱うだけに今後はしばらく非公開での議論が進む見通しだが、3月開催の部会は公開、すでに議事録も公開されている。3月の部会の内容や直近の薬学教育に関する学会での議論などを、国試対策予備校関係者はどう受け止めているのか。本部・大阪の「メディセレ」代表の児島惠美子氏に寄稿いただいた。(編集部)※以下、寄稿文


【薬学生】韓国留学生支援で提携/メディセレ

【薬学生】韓国留学生支援で提携/メディセレ

【2025.09.22配信】日本の薬剤師国試予備校と、日本への留学を支援している韓国の学院が提携した。提携したのは日本の薬剤師国試予備校のメディセレと、韓国から日本への医療系進学を支援している江南スカイ語学院。9月11日に「韓国人留学生サポートのための教育提携」の調印式を行った。


【ココカラファインHC】シグマ薬品(大阪府八尾市)の7店舗譲受

【ココカラファインHC】シグマ薬品(大阪府八尾市)の7店舗譲受

【2025.09.22配信】株式会社マツキヨココカラ&カンパニーのグループ会社である株式会社ココカラファインヘルスケア(本社:神奈川県横浜市)は9月22日、ドラッグストア、調剤薬局を運営するシグマ薬品株式会社(本社:大阪府八尾市)から、ドラッグストア事業および調剤薬局事業の一部を譲り受けることを決定し、同日、事業譲渡契約を締結したと公表した。


【日本保険薬局協会】中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント

【日本保険薬局協会】中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント

【2025.09.11配信】日本保険薬局協会は9月11日、定例会見を開いた。この中で9月10日に開かれた中央社会保険医療協議会総会の「調剤について」の議論の中で病院薬剤師の不足に関して多くの意見が出たことについてコメントした。


【日本薬剤師会】岩月会長、中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント

【日本薬剤師会】岩月会長、中医協「調剤」での「病院薬剤師」議論にコメント

【2025.09.11配信】日本薬剤師会は9月11日に定例会見を開いた。その中で岩月進会長は、10日に開かれた中央社会保険医療協議会総会で、「調剤」の議題の中で「病院薬剤師」について多くの意見が挙がったことについてコメントした。