【東京都薬剤師会_カスハラ調査結果】「漂白剤かけられた」/事件性疑われる事例も複数確認

【東京都薬剤師会_カスハラ調査結果】「漂白剤かけられた」/事件性疑われる事例も複数確認

【2025.01.10】東京都薬剤師会(都薬)は1月10日に定例会見を開いた。その中で都薬が進めていたカスハラに関する調査結果を公表した。「ハイターをかけられた」などの事件性が疑われる案件も複数明らかとなり、薬局・薬剤師が苦しめられている状況がわかった。一方で、医療従事者として我慢して対応している薬剤師の姿も浮かび上がった。また、きっかけに医薬品不足や選定療養などの社会環境や制度変更もあった。


 調査は2024年11月9日〜11月30日に行い、会員薬局から489件の回答を得た。
 
 「今まで受けた経験のあるカスタマーハラスメント行為」を聞いた設問では以下の回答があった(自由意見、抜粋)。

●備品の窃盗
● 薬局職員の盗撮
● ハイターなど漂白剤をかけられた
● 物をなげつけられた
● 目つきが悪いなど、容姿の指摘
● 保健所に通告し営業できないようにしてやるなどの脅し

 「カスタマーハラスメントを受けている時の心境に一番近いものはどれですか」との質問では、以下の回答があった(複数選択可)。
●医療従事者として患者に対して反論することはできないと考え、我慢した 175
●単純に受けた行為への恐怖 159
●相手に対する怒り 156
●毅然とした態度をとった結果、こちらから調剤拒否をしたと誤認されることへの不安 64
●社会的な立場が悪くなることへの不安 42
●上司や同僚がカスタマーハラスメントに対してのフォローや理解がないことへの怒り 34
●家族など間接的に危害を加えられたことへの恐怖 11

 「カスタマーハラスメントを受けた後、どのような影響や支障が出ましたか」の質問では、選択肢を設けた(複数選択可)。
●特に支障はなかった 181
●その時の経験が頭から離れず、現在も何らかの影響が出ている 134
●社内で勤務薬局を変更した 5
●退職した 5
●休職した 2
● PTSDを患って通院した 2
●現在裁判等の係争中である 1

 出荷調整に起因するハラスメント事例も以下の通りあった。
・出荷調整で薬が揃わず不足分は後日郵送対応させてもらいたいとお伝えしたところ「薬がないなんてどういうことだ!」と大声で怒鳴られた。
・入手が困難な医薬品について説明したところご立腹され薬局の自動ドアを強く叩いて破損、本人に請求できず薬局で修理をした。
・Google口コミにスタッフの写真付きで「薬の流通不良に対して職務怠慢」と書き込みをされた。
・出荷調整でいつ入荷するかわからない薬について代替薬を提案したが「てめえは薬剤師なんだろ?免許持ってんのか!」と怒鳴られた。

 選定療養に起因するハラスメント事例も以下の通りあった。
・選定療養費について前回も説明したのに聞いていないと怒られた、説明している間に奮して、いきなり耳を叩かれた
・初回来局時にジェネリックについての意向を確認、その後後発品変更不可の処方箋を受付していたが、選定療養開始に伴い意向を確認すると、「今までの差額を全て薬局が支払え」と強要された
・選定療養に限らず、国の制度についてのクレームを長時間聞かされる

 マイナンバーに起因するハラスメント事例も以下の通りあった。
・マイナンバーカードについて来局時に持っているかを確認したところ 「やり方がわからない」「やりたくない」「めんどくさい」と激しく 怒鳴られた、その後も調剤中に待合室に呼び出されてやり方を教えろと怒鳴り、教えると「こんなものはめんどくさい」と怒鳴る。 この患者については来局する都度怒鳴られる
・「マイナンバーカードはもっていない、持っていたとしてもセキュリティが心配で薬局には出せないし見せる必要はない」と言われた

 調査をまとめた都薬の薬局業務担当の犬伏洋夫常務理事は、薬局・薬剤師が苦しめられている状況が改めて分かったと同時に、その時の薬局・薬剤師の「心境」の回答では「我慢した」というものが多く、患者につらく当たるのではなく、医療従事者として薬物治療を進めようとしている姿がうかがえるとした。
 
 薬局現場からは、「相談する窓口」への要望があるともいい、今後、何か対応できることがないか検討したいともした。
 加えて、「ハラスメントはこういうものだ」という表示、ポスターを求める声があるという。
 さらには、待ち時間の長さからカスハラに発展するケースにおいては、「薬剤師はこういう業務をしているんだ」という薬剤師業務への患者への理解浸透も課題とした。

 カスハラについては東京都が条例を制定するほか、日本薬剤師会でも弁護士への対応費用を補償する保険を創設するなど対応が進んでいる。都薬としても、東京都や日薬、場合によっては警視庁との連携を含め、対応を検討していきたいとした。
 
 医療機関では暴言等があった場合、診療を行わないなどの表示、ポスターの掲示をするところも少なくない。
 薬局ではこうした表示が進んでいないが、調剤の応需義務の範疇の整理も含めて、調剤拒否の裏付けを進めることへの期待の声も多い。

この記事のライター

関連する投稿


【東京都薬剤師会】資材不足「業務に影響」が94.8%

【東京都薬剤師会】資材不足「業務に影響」が94.8%

【2026.07.03配信】東京都薬剤師会(都薬)は7月3日に定例会見を開き、「調剤資材供給不安に関する緊急実態調査」の集計結果を公表した。


【東京都薬剤師会】「実務実習におけるハラスメント防止のためのチェックリスト」作成

【東京都薬剤師会】「実務実習におけるハラスメント防止のためのチェックリスト」作成

【2026.06.05配信】東京都薬剤師会(都薬)は6月5日に定例会見を開いた。その中で「実務実習におけるハラスメント防止のためのチェックリスト」を作成したことを説明。活用してほしいと促した。


【東京都薬剤師会】学校薬剤師向け資材作成/薬物乱用防止講習会用

【東京都薬剤師会】学校薬剤師向け資材作成/薬物乱用防止講習会用

【2026.04.03配信】東京都薬剤師会は4月3日、定例会見を開き、学校薬剤師向けに薬物乱用防止講習会用資材を作成したことを報告した。


【東京都薬剤師会】都市部“開局規制”、M&A対象外で「会員減を危惧」

【東京都薬剤師会】都市部“開局規制”、M&A対象外で「会員減を危惧」

【2026.02.06配信】東京都薬剤師会(都薬)は2月6日に定例会見を開き、この中で髙橋正夫会長は、次期調剤報酬改定の個別項目、いわゆる短冊において都市部の開局規制と受け取れる項目に関して触れ、会員減少になりかねないとの危惧を示した。


【東京都薬剤師会】“短冊”への「都市部薬局」の議論、「今でも残念」/髙橋正夫会長

【東京都薬剤師会】“短冊”への「都市部薬局」の議論、「今でも残念」/髙橋正夫会長

【2026.02.06配信】東京都薬剤師会(都薬)は2月6日に定例会見を開き、この中で髙橋正夫会長は、次期調剤報酬改定の個別項目、いわゆる短冊へ向けた厚労省中医協の議論に対して、「算定がなければやっていないというふうに言われてしまったのは今でも少し残念」と話した。


最新の投稿


【日本保険薬局協会】調剤報酬改定、「地方」に厳しい可能性/影響調査

【日本保険薬局協会】調剤報酬改定、「地方」に厳しい可能性/影響調査

【2026.09.10配信】日本保険薬局協会は9月10日に定例会見を開き、令和8年度調剤報酬改定の影響調査を公表した。


【厚労省】“OTC類似薬”で処方箋様式案を提示/中医協

【厚労省】“OTC類似薬”で処方箋様式案を提示/中医協

【2026.09.09配信】厚生労働省は9月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、“OTC類似薬”に関連する処方箋様式の改正案を示した。「一部保険外療養」の欄を追加する。


【OTC薬協】小学校へ出前授業/『健康教育に関する取り組み from TOKYO』

【OTC薬協】小学校へ出前授業/『健康教育に関する取り組み from TOKYO』

【2026.09.08配信】日本OTC医薬品協会(会⾧:上原 茂氏)は、『健康教育に関する取り組み from TOKYO』の取り組みに関するニュースリリースを発信した。大田区教育委員会(教育⾧:小黒 仁史氏)の協力のもと、2025年12月~2026年3月にかけて、区立小学校8校の5・6年生約850人を対象に「健康とくすり教室」を実施。取り組みの継続的な定着につなげるため、一般社団法人大田区薬剤師会(会⾧:田中 敏郎氏)および一般社団法人蒲田薬剤師会(会⾧:多田 善幸氏)の協力を得て、実施校の学校薬剤師にも授業を参観してもらったという。


【次世代薬局研究会】特別講演会「医薬品のドラッグロス、バックオーダー(供給不足・出荷調整)を考える」

【次世代薬局研究会】特別講演会「医薬品のドラッグロス、バックオーダー(供給不足・出荷調整)を考える」

【2026.09.08配信】次世代薬局研究会は10月18日(日)に特別講演会を開催する。テーマは、「医薬品のドラッグロス、バックオーダー(供給不足・出荷調整)を考える」。講師は日本製薬工業協会(製薬協) 産業政策委員会 委員長の草開義隆氏。


【茨城県薬】県と「性暴力等被害者支援に関する協定書」を締結/薬局等での緊急避妊薬の一般販売開始受け

【茨城県薬】県と「性暴力等被害者支援に関する協定書」を締結/薬局等での緊急避妊薬の一般販売開始受け

【2026.09.08配信】茨城県は9月7日、茨城県薬剤師会と「性暴力等被害者支援に関する協定書」を締結したと公表した。茨城県のほか、いばらき被害者支援センター、茨城県産婦人科医会、茨城県医師会、県警察で構成する「性暴力被害者サポートネットワーク茨城」に県薬も参画。県薬は相談窓口の周知や同意に基づく情報提供の役割を担う。


ランキング


>>総合人気ランキング