「薬価改定方式のあり方について本質的な議論が必要」/薬価差縮小傾向の中では「多くの医療機関様、薬局様においては薬価差はかつて問題とされた差益というものよりも、経営上必要な費用に支弁されているのが実態ではないか」
製薬産業を代表する立場である専門委員の石牟禮武志氏(塩野義製薬株式会社渉外部長)は次のようにコメントした。
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本日の大臣合意の内容等を踏まえましてコメントさせていただきたいと存じます。
今、委員のご指摘にもございましたように、これまで業界としては令和6年度の制度改革の効果、あるいはその行動変容について、この場でも何度かご説明をさせていただきました。説明が不十分というご指摘もありますが、引き続き我々としては、取り組みについてご説明を続けて参りたいと考えています。
そういった活動も含め製薬業界としては、一貫して令和7年度の中間年改定については実施すべき状況にないというふうに申し上げてまいりました。その上で大臣合意の内容につきましては、骨太の方針に沿ってイノベーション推進、安定供給確保の観点に加えて、物価高騰の影響等にも配慮されたものというふうに理解をしております。しかしながら、そもそも薬価差があるから毎年改定すべきという考え方、そのものに関しては、薬価差がこれまで関係の皆様方の努力とご理解によって縮小をしてきたということも踏まえますと、このままで良いのか、薬価改定方式のあり方について本質的な議論が必要と考えます。
加重平均乖離率をベースに改定するということは、乖離率の小さな医療機関様、薬局様から薬価差を剥がす一方で、乖離率の大きな医療機関様、薬局様の薬価差は一定程度保存されるという形になります。過去数回の平均乖離率の推移を見ましても、多くの医療機関様、薬局様においては薬価差はかつて問題とされた差益というものよりも、経営上必要な費用に支弁されているのが実態ではないでしょうか。だからこそ、薬価差の位置づけについては今一度、あるいは偏在についても今一度、関係者間での共通理解が必要と考えております。
「平成28年のいわゆる4大臣合意で中間年改定の対象を価格乖離の大きな品目とした考え方が変わったともみなせる」
また、今回の大臣合意の内容について、2点、コメントさせていただきたいと存じます。
カテゴリーごとに対象範囲の基準を設けることによって、平成28年のいわゆる4大臣合意で中間年改定の対象を「価格乖離の大きな品目」とした考え方が変わったともみなせますので、この合意内容にそって改定を実施される場合に、中間年改定の位置づけや目的を含め、今後の影響について見定めていく必要があると考えております。
新薬創出加算の累積額控除、「1年前倒しは該当品を有する企業の来年度の経営おいて大きな影響を与える」
また2つ目ですが、今回新たに新薬創出加算の累積額控除を行う旨が記載されてございます。
これを1年前倒しするという形になることにつきましては、該当品を有する企業の来年度の経営おいて大きな影響を与えるものであると申し上げたいと存じます。
これについて前回の意見陳述で業界代表から革新的新薬の価値が新規収載時に適切にやっぱり反映される仕組みを含めたパッケージ議論されるべきだというふうなことを主張させていただきました。次期薬価制度改革の実現に向けて、新薬の価値評価に関する議論を引き続き進めていくと考えております。以上でございます
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