医療機関・薬局にとっては事務負担の軽減効果期待
医療費助成の効率化は、自治体と医療機関・薬局をつなぐ情報連携基盤(PMH:Public Medical Hub)の構築を通じて実施することが想定されている。PMHは、オンライン資格確認や電子処方箋管理サービスなど国の進める全国医療情報プラットフォームの一角を成すシステム。自治体が関与する各種医療費助成や予防接種、母子保健などの手続きの効率化や質の向上での活用が想定されている。
マイナ保険証を医療費助成の受給者証として利用し、医療機関で受診できるようにするユースケースの先行実施が行われてきたが、令和8年度(2026年度)以降、全国展開の体制を構築する考え。公費負担医療におけるオンライン資格確認(マイナ保険証による資格確認)の制度化や、全国規模でPMHシステム等の管理・運用業務を実施する仕組みを整備するにあたっては法整備も必要になる。
PMHシステムはデジタル庁が設計・開発する。全国展開に当たっては、全国規模で安定的・継続的・効率的にシステムを管理・運用できる主体が管理・運用を行うことが必要となるためだ。
マイナ保険証1枚で公費負担医療・地方単独医療費助成(こども医療費助成など)のオンライン資格確認も行えるようになり、公費負担医療・地方単独医療費助成に係る紙の受給者証の持参や医療機関等への提示が不要になることで、患者(住民)、自治体、医療機関・薬局のそれぞれにメリットがある。
患者(住民)は、紙の受給者証を持参する手間が軽減するとともに、マイナ保険証の利便性の向上によって、 マイナ保険証の利用が促進されることにより、患者本人の薬剤や診療のデータに基づくより良い医療の提供が図られることが期待される。
自治体にとっては、正確な資格情報に基づき医療機関・薬局から請求が行われることになるため(資格過誤請求が減少)、医療費の支払に係る事務負担が軽減できる。
医療機関・薬局にとっては医療保険の資格情報及び受給者証情報の手動入力の負荷をセットで削減できるとともに、医療費助成の資格を有しているかどうかの確認に係る事務負担が軽減できる。