【厚労省】マイナンバーカードの活用で医療費助成の効率化/全国展開の方針

【厚労省】マイナンバーカードの活用で医療費助成の効率化/全国展開の方針

【2024.11.07配信】厚生労働省は11月7日、社会保障審議会医療保険部会を開き、マイナンバーカード活用による医療費助成効率化を全国展開する方針を示した。医療機関・薬局にとっては医療保険の資格情報及び受給者証情報の手動入力の負荷をセットで削減できるとともに、医療費助成の資格を有しているかどうかの確認に係る事務負担が軽減できる。


医療機関・薬局にとっては事務負担の軽減効果期待

 医療費助成の効率化は、自治体と医療機関・薬局をつなぐ情報連携基盤(PMH:Public Medical Hub)の構築を通じて実施することが想定されている。PMHは、オンライン資格確認や電子処方箋管理サービスなど国の進める全国医療情報プラットフォームの一角を成すシステム。自治体が関与する各種医療費助成や予防接種、母子保健などの手続きの効率化や質の向上での活用が想定されている。

 マイナ保険証を医療費助成の受給者証として利用し、医療機関で受診できるようにするユースケースの先行実施が行われてきたが、令和8年度(2026年度)以降、全国展開の体制を構築する考え。公費負担医療におけるオンライン資格確認(マイナ保険証による資格確認)の制度化や、全国規模でPMHシステム等の管理・運用業務を実施する仕組みを整備するにあたっては法整備も必要になる。
 PMHシステムはデジタル庁が設計・開発する。全国展開に当たっては、全国規模で安定的・継続的・効率的にシステムを管理・運用できる主体が管理・運用を行うことが必要となるためだ。

 マイナ保険証1枚で公費負担医療・地方単独医療費助成(こども医療費助成など)のオンライン資格確認も行えるようになり、公費負担医療・地方単独医療費助成に係る紙の受給者証の持参や医療機関等への提示が不要になることで、患者(住民)、自治体、医療機関・薬局のそれぞれにメリットがある。
 患者(住民)は、紙の受給者証を持参する手間が軽減するとともに、マイナ保険証の利便性の向上によって、 マイナ保険証の利用が促進されることにより、患者本人の薬剤や診療のデータに基づくより良い医療の提供が図られることが期待される。
 自治体にとっては、正確な資格情報に基づき医療機関・薬局から請求が行われることになるため(資格過誤請求が減少)、医療費の支払に係る事務負担が軽減できる。
 医療機関・薬局にとっては医療保険の資格情報及び受給者証情報の手動入力の負荷をセットで削減できるとともに、医療費助成の資格を有しているかどうかの確認に係る事務負担が軽減できる。

この記事のライター

関連するキーワード


マイナ保険証 PMH

関連する投稿


【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【2025.02.13配信】日本保険薬局協会は2月13日に会見を開き、マイナ保険証の受付方法についての要望をまとめ、公表した。現在、在宅医療現場で活用しているWeb方式を通常の外来でも活用できるようにすることなどを求めている。


【厚労省】マイナ保険証の一時金、8月まで期間延長

【厚労省】マイナ保険証の一時金、8月まで期間延長

【2024.07.30配信】厚生労働省は7月30日、医療機関・薬局におけるマイナ保険証利用促進のための一時金制度を8月まで1カ月間、延長すると発表した。


【DX加算】マイナ使用率議論に言及/日薬森副会長

【DX加算】マイナ使用率議論に言及/日薬森副会長

【2024.06.29配信】日本薬剤師会は6月29日に定時総会を開催。午後に開かれたブロック代表質問では、令和6年度調剤報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」についてマイナ保険証の利用実績という要件の議論について質問があった。


【デジタル推進委員】薬局の薬剤師など1万人を任命/デジタル庁

【デジタル推進委員】薬局の薬剤師など1万人を任命/デジタル庁

【2024.06.25配信】デジタル大臣の河野太郎氏は6月25日の会見で、デジタル推進委員に薬局の薬剤師など1万人を任命したと公表した。


【厚労省】マイナ保険証利用推進でセミナー/薬局最大10万円の一時金の説明も

【厚労省】マイナ保険証利用推進でセミナー/薬局最大10万円の一時金の説明も

【2024.04.16配信】厚生労働省は、マイナ保険証利用推進に関するオンラインセミナーを開催する。一時金の説明もする予定。


最新の投稿


【大木ヘルスケアHD】松井秀正社長「ドラッグストアは行政とも連携しビジネスモデル変革を」

【大木ヘルスケアHD】松井秀正社長「ドラッグストアは行政とも連携しビジネスモデル変革を」

【2025.02.14配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは2月14日、同社提案会開催中の会場にて会見を開いた。この中で同社社長の松井秀正氏はドラッグストアは今後、「行政とも連携してビジネスモデルを変革していく必要がある」と語った。同社はこれまでも販売だけでなく店頭で行政とも連携した健康イベントの実施を提案・支援するなどの試みを展開している。今回の提案会でも店頭でのフレイル予防に資する取り組み提案などを行っている。


【大木ヘルスケアHD】販促企画会社と業務提携

【大木ヘルスケアHD】販促企画会社と業務提携

【2025.02.14配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは2月12日、販促企画・運営会社と業務提携したと公表した。


【新経済連盟】薬機法法案の国会提出にコメント/引き続き主張を要望

【新経済連盟】薬機法法案の国会提出にコメント/引き続き主張を要望

【2025.02.13配信】新経済連盟(三木谷浩史代表理事)は2月13日、国会に提出された改正薬機法の法律案について、代表理事としてのコメントを公表した。


【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【日本保険薬局協会】マイナ保険証受付方法で要望/「在宅Web」を外来にも

【2025.02.13配信】日本保険薬局協会は2月13日に会見を開き、マイナ保険証の受付方法についての要望をまとめ、公表した。現在、在宅医療現場で活用しているWeb方式を通常の外来でも活用できるようにすることなどを求めている。


【敷地内薬局めぐる裁判】検察が上告

【敷地内薬局めぐる裁判】検察が上告

【2025.02.12配信】KKR札幌医療センターの敷地内薬局の整備を巡り、アインファーマシーズ元代表取締役社長・酒井雅人被告と同社元取締役・新山典義被告が公契約関係競売入札妨害の罪に問われた裁判について、札幌高検は2月12日、札幌高裁が両被告に言い渡した控訴審の無罪判決を不服として上告したことが明らかになった。(ジャーナリスト・村上和巳)