「みんなで何かをするのが好き」という白滝氏。そんな延長線上で、薬剤師会の活動参画に対しても違和感がなかったのかもしれない。
薬剤師会の活動の入り口は、地元の弘前薬剤師会から。思い出の1つとして薬剤師会メンバー全員で浴衣を着て納涼祭に参加したことを挙げる。「仲良くなることで、組織が強くなる面があると思うんですね」(白滝氏)。日薬でも同じような“強さ”を築いていきたいと考える。会務の負担感について聞くと、「出会いがあって、そこから新しいつながりができたりする。そういうことが好きなのかもしれません。苦労も吹き飛びます」とする。
父親が有床診療所を経営していたことから、“医療”は小さい頃から身近な存在だった。入院患者も抱えているため、長期の家族旅行をすることはできなかったが、看護師や診療所のスタッフとは家族のように過ごしていたという。子供の頃に薬包紙で折り紙をして遊んでいた思い出も。患者とは常に近い関係性を感じていた。
白滝氏からいくつかのエピソードを聞いていると、どこからが患者への対応で、どこからが隣人としての対応か、たしかに線引きできないような関係性と感じる。「お薬を通して、その方の人生に寄り添っているというのが私たちの感覚だと思う」(白滝氏)。人と人との近い距離感は維持していきたい思いを抱く。
東北薬科大学を卒業後、地元の薬局薬剤師としての勤務をスタート。平成11年には自身で薬局を開設した。現在はその1店舗を経営している。2022年には青森県薬初の女性会長に就任、今回は日薬の役員にもなったが、「大好きな」現場から離れるつもりはないと語る。
県薬としての最近の取り組みのトピックとして挙げられるのが、厚労省の予算事業である「健康サポート推進事業」。5月の厚労省「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」でも結果を報告した。
ブラウンバッグ活用などの残薬調整の機会を相談業務にも活かそうという取り組みだ。連携先などの関係性構築がみられ、結果的に思わぬ貢献も生まれた。認知症の治療開始のきっかけになったり、介護職種との連携により服薬状況が改善したりした。「薬局はさまざまな健康相談に乗っていることが少しでも伝えられたのではないか」と白滝氏は捉えている。
終始、落ち着いた語り口の白滝氏だが、心の内には熱い思いも抱いている。能登半島地震の際には、支援に向けて素早く動いた。県薬メンバーの中でも、いの一番に現地入りした。思いの源泉を聞くと、「東日本大震災の存在があると思う」。第三者から見ても、山田卓郎常務理事(宮城)の震災対応でのリーダーシップを筆頭に東北ブロックの団結は強いことを感じる。地域と日薬をしっかり結びつける役割を果たしたいと語った。
【白滝貴子氏 略歴】
(しらたき・たかこ)[青森] 58歳 ※年齢は2024年6月14日時点
昭和63年 3月 東北薬科大学卒業
昭和63年10月 (有)城西メディカルサービス 城西調剤薬局入社
平成11年 5月〜現在 (有)傍島メディカルサービス ABC薬局開設
<薬剤師会役員歴>
平成20年 6月 青森県薬剤師会理事
平成26年 6月 青森県薬剤師会常務理事
平成30年 6月 青森県薬剤師会副会長
令和 4年 6月~現在 青森県薬剤師会会長