【日本薬剤師会_新理事の“横顔”③】小笠原俊拓氏/従来から医療保険委員会に所属、事業継続性の面を支える

【日本薬剤師会_新理事の“横顔”③】小笠原俊拓氏/従来から医療保険委員会に所属、事業継続性の面を支える

【2024.09.10配信】日本薬剤師会は岩月進新会長の下、6月30日の総会をもって新執行部を立ち上げた。本紙では、その中でも新たに理事になったメンバーに焦点を当てて取材、紹介する。第3回は小笠原俊拓氏。


 「特にないんですよねぇ」――。「好きな言葉」についての小笠原氏の回答だ。
 「好きな言葉」の回答がないと、キャラクターがうかがえないかというと、そうでもない。事前に挙げていた取材項目について、そう答える人の方が少ないからだ。それだけ、何かにつけ、気負いがないのが小笠原氏の人柄に感じる。

 今回の日薬役員に若手や女性が入ったことの評価を聞くと、「その方がいいのはどんな組織も同じでしょう」とさらり。自身が日薬の役員入りしたことに関しても、これまで地元静岡県薬で役員を輩出することが多かったことの流れではないかということを、1つの理由として挙げる。ただ、若手など新しい人材が活躍するためにも、これまでの活動の継続性も誰かが担わなければいけないと認識する。その役回りが自身に課せられたものではないかとする。小笠原氏は過去に日薬の医療保険委員会の委員の経験があり、新執行部でも同委員会の担当となった。より一層、ざっくばらんに意見交換できる運営になったらいいとする。

 キャリアのスタートは地元・東海エリアの大手企業である興和新薬のMRとして。病院や診療所など広い領域を担当した。先輩MRからは「医師の言いなりだけではダメ」と教わった。「いいことはいい。悪いことは悪い。言い方でいうと、ドクターとケンカができるようなMRでなければいけないと教わったのが社会人のスタート」と話す。

 MR勤務後は母方の実家が経営していた薬局に入り、その後は自身も開局。叔父が薬剤師会の役員を務めていたこともあり、薬剤師会活動に参加していったことも自然の流れの中だった。平成16年から静岡県薬小笠支部の理事になり、平成22年から静岡県薬理事、平成24年には静岡県薬の常務理事に就いている。

 薬剤師としての思い出深い経験には東日本大震災の支援を挙げる。地域に残っているOTC薬で代替できたケースなど、薬剤師の職能を実感した。

 今後の薬局像については、「常に“これからは厳しい”と言われてきた薬局業界だが、本当に厳しくなっていく」と感じている。その中にあっては、薬剤師が多様な仕事に関わっていく必要もある。「実現にはいろいろなハードルもあるがチャレンジしていかなければいけない。薬局の中にずっといては難しい時代」と話す。
 ICT活用の幅が広がっていくことも感じている。自身の地域を考えても、山間に小さな集落などもある。往復で何時間もかけて受診している現実もある。そういう地域の人がこれからより便利に医療を受けられるようになる可能性、そしてそこに貢献していく薬局・薬剤師の貢献の拡大を感じているという。

【小笠原俊拓氏 略歴】

(おがさわら・としひろ)[静岡] 56歳 ※年齢は2024年6月14日時点
平成 3年 3月 昭和大学薬学部卒業
平成 3年 4月 興和新薬株式会社(現 興和創薬(株))入社
平成 6年 9月 (株)桜井薬局勤務
平成12年 4月~現在 (有)マルコ前田薬局開局
平成21年 3月~現在 (株)ファルマチアクローバー薬局開局
<薬剤師会役員歴>
平成16年 4月 静岡県薬剤師会小笠支部 (現(一社)小笠袋井薬剤師会)理事
平成20年4月~現在 小笠袋井薬剤師会副会長
平成22年4月 静岡県薬剤師会理事
平成24年4月~現在 静岡県薬剤師会常務理事

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