【日本薬剤師会_新理事の“横顔”②】山下由記氏/「ゆりかごから墓場まで、薬剤師ができることは何か」

【日本薬剤師会_新理事の“横顔”②】山下由記氏/「ゆりかごから墓場まで、薬剤師ができることは何か」

【2024.09.09配信】日本薬剤師会は岩月進新会長の下、6月30日の総会をもって新執行部を立ち上げた。本紙では、その中でも新たに理事になったメンバーに焦点を当てて取材、紹介する。第2回は山下由記氏。


 がむしゃらに目の前のものに向かっていった結果、今がある――。そんな印象を持つのが山下氏だ。
 自身は生まれも育ちも関西。神戸女子薬科大学薬学部を卒業後、現在の勤務地である愛媛に住んだのは、結婚した相手の実家に移り住んだのがきっかけ。3人の子供を生み、一番下の子が2歳になった時に、パートで勤務し始めたのが、薬局薬剤師としての勤務の始まり。現在は取締役副社長を務めるハッピーファーマシーの勤務も、まだ1店舗しかない頃からの関わりだった。同社が現在のように21店舗を擁するまでに拡大していくに伴い、人事や労務など、現場だけでなく幅ひろい職務に就くようになっていった。

 人事に携わったことからも、「組織は人で始まり人で終わる」というのがモットー。相手に信用されることが不可欠であることや、接点を持つ機会を絶やさないこと、1対1だけでなくチームで人をフォローしていく重要性などを感じてきたという。「人によって重要視することが違う。相手が重視している価値観を知ることは不可欠」と話す。今はそれがますます多様化していることを実感しているという。

 薬剤師として思い出深いエピソードとしても、患者から信用されるようになった経験を挙げる。ずっと何も語ってくれなかった患者が、少しずつ少しずつ、山下氏を信用し、語り始めてくれたことで治療に向き合う意識が変わっていったという経験をした。「信用は本当に少しずつの積み重ねの結果」(山下氏)。

 その時々で決断してきた。子供が小学生になった時に、6年制薬剤師も登場し、自身も“不可欠な人材にならなければ”との危機感から正社員の道を選んだ。日薬役員の道が目の前にきた時も、「やりたい」との思いがよぎったことから受けることを決断した。「日薬について何も知らない状態だった。だからこそ、知りたいという思いを持った」と率直に語る。受けたあとに、地元薬剤師会で役員歴のない人が日薬役員になることに、一部から反対意見も出た。「そういう意見が出るかもしれないことすら分からなかった」と、自身の経験不足を認める。ただ、今後については、日薬の情報が地元にこれまで以上に伝わるような橋渡し役を全うする考えだ。

 今後の薬局像については、在宅が当たり前になったように変化は起きる可能性を指摘。「理想かもしれないが、病気にならないために貢献できたらいい」。現在はどうしても病気になってから接点を持つことが多いのが薬局の実態だと感じている。「ゆりかごから墓場までではないが、こどもや保護者への食育など、地域社会のために薬剤師が貢献できる領域は広いのではないか」と話す。

 自身の子供にも伝えている言葉は、「努力は報われる」。「報われないのは思いが足りなかったからとも言える」。山下氏のこれからの努力と結果を見守りたい。

【山下由記氏 略歴】

(やました・ゆき)[愛媛、56歳]※年齢は2024年6月14日時点
平成 2年 3月 神戸女子薬科大学薬学部卒業
平成 2年 4月 医療法人恒昭会上野芝病院入社
平成7年10月 医療法人北辰会まなべ病院入社(非常勤)
平成12年 5月 ココ東野薬局入社(非常勤)
平成15年 8月 えひめ保健企画入社
平成16年 4月 (有)ひろ調剤薬局入社
平成18年 7月 松山ハロー薬局入社
平成19年 3月 (株)ハッピーファーマシー入社
令和 6年 4月~現在 (株)ハッピーファーマシー取締役副社長就任
<薬剤師会役員歴> なし

この記事のライター

関連するキーワード


日本薬剤師会 新執行部

関連する投稿


今年の秋は新潟へ! 「第59回日本薬剤師会学術大会」見どころ紹介

今年の秋は新潟へ! 「第59回日本薬剤師会学術大会」見どころ紹介

【2026.07.24配信】「第59回日本薬剤師会学術大会」が2026年10月11日(日)~12日(月・祝)の2日間、新潟で開催される(大会運営委員長:新潟県薬剤師会会長荻野構一氏)。本記事では同大会の見どころを紹介する。


【日薬学術大会(新潟)会見】「2040年を目指す薬剤師の起爆剤」に/大会長・荻野構一氏(新潟県薬剤師会会長)

【日薬学術大会(新潟)会見】「2040年を目指す薬剤師の起爆剤」に/大会長・荻野構一氏(新潟県薬剤師会会長)

【2026.07.22配信】今年10月に開催を予定している日本薬剤師会学術大会(新潟)の会見が開かれた。


【日本薬剤師会】“骨太”記載の“女性の健康”機能強化「日薬としても取り組む」

【日本薬剤師会】“骨太”記載の“女性の健康”機能強化「日薬としても取り組む」

【2026.07.22配信】日本薬剤師会は7月22日に都道府県薬剤師会の会長協議会を開催した。この中で先ごろ閣議決定した「骨太方針」の内容について説明。記載された女性の健康に関する機能強化について、日薬としても取り組んでいくとの考えを示した。


【日本薬剤師会】新執行部が会見

【日本薬剤師会】新執行部が会見

【2026.06.28配信】日本薬剤師会は6月28日の定時総会で新執行部を決定。総会終了後に新執行部による会見を行った。


【日本薬剤師会】新理事を全員承認

【日本薬剤師会】新理事を全員承認

【2026.06.28配信】日本薬剤師会は6月28日、定時総会を開き、理事候補者を全員承認した。


最新の投稿


【日本総研レポート】「社会保険料負担軽減の焦点は医療保険制度改革」/成瀬道紀氏

【日本総研レポート】「社会保険料負担軽減の焦点は医療保険制度改革」/成瀬道紀氏

【2026.08.18配信】日本総研は8月12日、経済・政策レポート「社会保険料負担軽減の焦点は医療保険制度改革」を公表した。執筆は成瀬道紀氏。レポートでは骨太の方針に現役世代の社会保険料率引き下げが明記されたこと触れ、医療保険料率をどこまで引き下げられるかが焦点となると指摘。医療費への税投入増加を展望しにくい財政環境だとし、OTC類似薬など患者自己負担の増加の政策がとられているものの大きな財政効果は見込みにくいとし、医療の必要性に応じた給付のメリハリや供給側における効率的な医療サービス提供を促す改革が求められるとしている。


【地域連携薬局】「地域が持つべき体制への協力」/厚労省 前・薬局地域機能推進企画官の大井恒宏氏に聞く

【地域連携薬局】「地域が持つべき体制への協力」/厚労省 前・薬局地域機能推進企画官の大井恒宏氏に聞く

【2026.08.18配信】厚労省は6月30日、認定薬局の新基準に関する省令を公布した。その内容や趣旨について厚労省 医薬局総務課 前・薬局地域機能推進企画官の大井恒宏氏が本紙の取材に応えた。 <有料版「ドラビズ for Pharmacy」7/17・22号より一部抜粋>


【千葉豪雨】5薬局に被害、うち2軒は営業不可/厚労省発表

【千葉豪雨】5薬局に被害、うち2軒は営業不可/厚労省発表

【2026.08.15配信】厚生労働省は、令和8年8月千葉豪雨の被害状況について公表した。薬局に関しては、千葉県健康福祉部薬務課より8月14日17時時点での被害状況について報告があり、5薬局に被害、うち2軒は営業不可となっている。


【スギ薬局】認知症の“未病”の見える化事業/神奈川県等と基本合意

【スギ薬局】認知症の“未病”の見える化事業/神奈川県等と基本合意

【2026.08.12配信】スギホールディングス連結子会社の株式会社スギ薬局(本社:愛知県大府市、代表取締役社長:杉浦 克典氏)は8月12日、ノックオンザドア株式会社とともに、神奈川県と「認知症未病改善データプラットフォーム等に関する基本合意」を締結した。


【日本保険薬局協会】調剤報酬改定影響調査/在総加算2が算定率22.1%→3.3%へ急激

【日本保険薬局協会】調剤報酬改定影響調査/在総加算2が算定率22.1%→3.3%へ急激

【2026.08.06配信】日本保険薬局協会は8月6日に定例会見を開き、「令和8年度調剤報酬改定に係る保険薬局への影響」の調査結果を公表した。在宅分野では、在宅薬学総合体制加算2の算定率が22.1%から3.3%へ大きく低下した。


ランキング


>>総合人気ランキング