【中医協】賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示

【中医協】賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示

【2024.06.14配信】厚生労働省は6月14日、中央社会保険医療協議会(中医協)診療報酬調査専門組織(入院・外来医療等の調査・評価分科会)を開催した。その中で賃上げにかかる調査・検証について把握方法を提示した。


 令和6年度診療報酬改定では、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種を対象とした賃上げに係る評価が行われており、「附帯意見」で各医療機関における賃上げが適切に実施されているか、実態を適切に把握した上で、検証を行うこととされていた。また、40 歳未満の勤務医師及び勤務歯科医師並びに薬局の勤務薬剤師、事務職員や歯科技工所で従事する者等についても賃上げの実態を適切に把握した上で、検証を行うこととされていた。

 同日の中医協では事務局が大まかな「把握の方法案」の提示をしたのにとどまり、具体的な議論は今後、順次進められる見通し。
 同日示された把握方法は、看護職員等の医療関係職種の賃上げ状況や40歳未満の医師・歯科医師、事務職員の賃上げ状況などの①「医療機関の賃上げ状況の把握」について、「 ベースアップ評価料の賃金改善計画書・賃金改善実績報告書等により把握」とされた。

 ②「歯科技工所の賃上げ状況」③「薬局に対する調査」については、「関係団体とも連携しつつ別途、把握」とだけ示した。

 ①と②③が大きく異なるのは、①では「ベースアップ評価料の賃金改善計画書・賃金改善実績報告書等」が提出されていること。この報告書の内容の精査になる見通しだ。

 一方、議論では独立行政法人 地域医療機能推進機構 理事長の山本修一氏が、把握の時期について意見を述べた。特に公立病院では夏ごろに示される人事院勧告の内容に準じることが多く、2.3%を上回る内容が出た場合に、春に遡って対応するか、秋以降にするかなどの議論が行われる可能性が高いと指摘。「早く(把握を)やっても、“それしか出ていないのか”というような数字が出てきかねないと危惧する。全体の狀態が落ち着くのは見てみた方が良いと思う」(山本氏)と述べた。

 これに対し事務局は、調査は事前に提出されている報告書をベースとするとの認識を示すとともに、「さまざま、1年間を通じて動きがあると思う。賃金改善計画書で示されているものがどういう背景に基づいて出されていたデータなのかといった留意点、そのデータの解釈においての留意点があるのかといったところに関しては分科会でご指摘いただいて、留意点とともに評価していくべきものだと思っている」と回答した。

編集部コメント

 薬局に関しては、「報告書」の提出はない点で大きく異なるが、給与体系の年間を通じた変化という点での論点は共通しているものといえそうだ。

この記事のライター

関連するキーワード


中医協 賃上げ

関連する投稿


【中医協】認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題に

【中医協】認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題に

【2024.10.10配信】厚生労働省は10月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)を開いた。認知症薬「ケサンラ」の薬価算定やコロナ治療薬「ゾコーバ」の費用対効果を議題とした。


【厚労省_中医協】日薬連、令和7年度の薬価中間年改定「実施する状況にない」

【厚労省_中医協】日薬連、令和7年度の薬価中間年改定「実施する状況にない」

【2024.08.07配信】厚生労働省は8月7日、中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会を開催。関係業界からの意見聴取を行った。


【厚労省_中医協】マイナ保険証の利用実態を調査へ

【厚労省_中医協】マイナ保険証の利用実態を調査へ

【2024.06.12配信】厚生労働省は6月12日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、マイナンバーカードの保険証利用の利用実態等に係る医療機関・薬局へのヒアリングを実施することを了承した。


【厚労省_中医協】薬局の夜間・休日等における医薬品提供体制の状況調査へ/令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の実施

【厚労省_中医協】薬局の夜間・休日等における医薬品提供体制の状況調査へ/令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の実施

【2024.06.12配信】厚生労働省は6月12日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開いた。


【厚労省_中医協】敷地内薬局、今後は総会で議論/今後の検討の進め方を了承

【厚労省_中医協】敷地内薬局、今後は総会で議論/今後の検討の進め方を了承

【2024.05.15配信】厚生労働省は5月15日、中央社会保険医療協議会(中医協) 総会を開催した。


最新の投稿


【日病薬_通知】抗がん剤の過量投与事例受け注意点の例示

【日病薬_通知】抗がん剤の過量投与事例受け注意点の例示

【2024.10.31配信】日本病院薬剤師会(日病薬)は10月22日、「医薬品の安全管理に関する留意点について」を通知した。抗がん剤の過量投与事例等を受けて具体的な注意点を例示した。


【東京都薬務課】薬物乱用「都民大会」開催/市販薬OD問題を高校生とともに考える

【東京都薬務課】薬物乱用「都民大会」開催/市販薬OD問題を高校生とともに考える

【2024.10.30配信】東京都薬務課は10月30日に定例会見を開き、11月17日(日)に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動都民大会」を開催することを説明した。今年は違法薬物だけでなく、市販薬の過量服用、いわゆるオーバードーズの社会問題化を受け、特定非営利活動法人八王子ダルク代表理事(施設長)の加藤隆氏の講演も実施。「薬物乱用防止高校生会議」の成果発表や、講師と高校生による「大切な自分を守るための薬物乱用防止授業」を通じて、青少年及びその保護者世代に薬物乱用防止を強く訴えたいとしている。参加は記事内のフォームより申し込みできる。


【令和5年度薬局数】令和5年度末で前年比0.7%増の6万2828施設/厚労省

【令和5年度薬局数】令和5年度末で前年比0.7%増の6万2828施設/厚労省

【2024.10.29配信】厚労省は10月29日、令和5年度末の薬局数を前年比0.7%増の6万2828施設だと発表した。「令和5年度衛生行政報告例」の結果をとりまとめたもの。各都道府県、指定都市及び中核市からの報告をもとに集計した。


【厚労省】薬局の電子処方箋導入のきっかけを公開/奈良県大和郡山市、香川県東かがわ市、熊本県菊池市

【厚労省】薬局の電子処方箋導入のきっかけを公開/奈良県大和郡山市、香川県東かがわ市、熊本県菊池市

【2024.10.28配信】厚生労働省は10月25日、「地域における薬局の電子処方箋導入拡大によるメリット」をまとめ、HPに公開した。今回は、薬局において電子処方箋の導入が進んでいる地域のうち、奈良県大和郡山市、香川県東かがわ市、熊本県菊池市の3地域をピックアップし、導入拡大のきっかけや薬局で感じるメリットなどについて聞いた。


【日本保険薬局協会】一定基準の薬局整備、「薬剤師2人以上が必要」が示唆/協会調査

【日本保険薬局協会】一定基準の薬局整備、「薬剤師2人以上が必要」が示唆/協会調査

【2024.10.24配信】日本保険薬局協会は10月24日に定例会見を開き、「管理薬剤師アンケート報告書その2ー地域の医薬品供給拠点としての体制に係る実態ー ーかかりつけ職能発揮の実態ー」を報告した。


ランキング


>>総合人気ランキング