令和6年度診療報酬改定では、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種を対象とした賃上げに係る評価が行われており、「附帯意見」で各医療機関における賃上げが適切に実施されているか、実態を適切に把握した上で、検証を行うこととされていた。また、40 歳未満の勤務医師及び勤務歯科医師並びに薬局の勤務薬剤師、事務職員や歯科技工所で従事する者等についても賃上げの実態を適切に把握した上で、検証を行うこととされていた。
同日の中医協では事務局が大まかな「把握の方法案」の提示をしたのにとどまり、具体的な議論は今後、順次進められる見通し。
同日示された把握方法は、看護職員等の医療関係職種の賃上げ状況や40歳未満の医師・歯科医師、事務職員の賃上げ状況などの①「医療機関の賃上げ状況の把握」について、「 ベースアップ評価料の賃金改善計画書・賃金改善実績報告書等により把握」とされた。
②「歯科技工所の賃上げ状況」③「薬局に対する調査」については、「関係団体とも連携しつつ別途、把握」とだけ示した。
①と②③が大きく異なるのは、①では「ベースアップ評価料の賃金改善計画書・賃金改善実績報告書等」が提出されていること。この報告書の内容の精査になる見通しだ。
一方、議論では独立行政法人 地域医療機能推進機構 理事長の山本修一氏が、把握の時期について意見を述べた。特に公立病院では夏ごろに示される人事院勧告の内容に準じることが多く、2.3%を上回る内容が出た場合に、春に遡って対応するか、秋以降にするかなどの議論が行われる可能性が高いと指摘。「早く(把握を)やっても、“それしか出ていないのか”というような数字が出てきかねないと危惧する。全体の狀態が落ち着くのは見てみた方が良いと思う」(山本氏)と述べた。
これに対し事務局は、調査は事前に提出されている報告書をベースとするとの認識を示すとともに、「さまざま、1年間を通じて動きがあると思う。賃金改善計画書で示されているものがどういう背景に基づいて出されていたデータなのかといった留意点、そのデータの解釈においての留意点があるのかといったところに関しては分科会でご指摘いただいて、留意点とともに評価していくべきものだと思っている」と回答した。
編集部コメント
薬局に関しては、「報告書」の提出はない点で大きく異なるが、給与体系の年間を通じた変化という点での論点は共通しているものといえそうだ。