【緊急避妊薬】調査事業で購入できたのは15%のみ/市民団体調査

【緊急避妊薬】調査事業で購入できたのは15%のみ/市民団体調査

【2024.06.10配信】市民団体の「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は6月10日、衆議院第一議員会館内で「院内勉強会」を開催した。


 院内勉強会では、「緊急避妊薬を薬局試験販売で購入した人」、「試みたができなかった人」を対象とした独自のアンケート調査(なんでないのプロジェクト調査)の結果が公表された。

 調査実施期間は4月1日〜4月21日までで、回答者は68人。プロジェクトでは、SNSなどでアンケート調査協力の働きかけなどを行ったことから、一定の意識の高い人からの回答が多かったために結果にはその偏りに十分留意してほしいとした上で、回答者68人のうち、試験販売で購入できたのは10人、15%しかいなかったとした。

 ハードルとしては近隣に協力薬局がないなどのアクセスの問題や、「アフターピル」などの検索ではたどりつかなかったこと、7000~9000円という価格面などが挙げられている。

 バイアスの考えられる結果ながら、プロジェクト共同代表の福田和子氏(なんでないのプロジェクト)は、「厚労省調査事業(令和5年度販売件数2181件)の裏にはこれだけの買えなかった人がいることを考えてこの議論を進めていきたい」と話した。

 一方、薬局で購入できた人(10人)では、全員が42時間以内に服用できていた。薬局で購入できなかった人(58人)がどうかというと、7割を超える41人が緊急避妊薬を服用すべき72時間以内に服用できていなかった。

 回答者に「今後変わってほしいこと」を聞くと、「対象薬局が増えてほしい」が94%(64人)とトップ。次いで「情報が手に入りやすくなってほしい」、「価格を下げてほしい」などが続いた。

 共同代表の染矢明日香氏(NPO法人ピルコン)は、「今後も薬局対象薬局をまず増やしていくこと、それが周知されること、そしてそれが試験的運用に留まらず本格的なOTC化に向けての促進になっていくように引き続き働き続けたい」と話した。

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