綜合警備保障(ALSOK)で、オゾン発生器の「エアバスター」(※文末に商品の概要紹介)が売れている。2020年3月までの初年度目標販売台数が1200台だったところ、2020年の1~3月だけで3000台が売れた。加えて、4~7月の4カ月で6000台の注文があったという。いうまでもなく、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいが、警備会社である同社に、「お客さまの悩みに応える」という事業展開の素地があったからこそ、この商機をとらえることができたといえる。ドラッグストア・薬局も「顧客の悩み」のどこに、触手を伸ばしていくか。参考になる。同社営業総括部ブロードマーケット営業室長の引間信康氏に聞いた。
オゾン発生器は“エアセキュリティ”
――衛生関連の啓発と同時に、市場をつくる必要があると思っています。それで、いろいろ調べていると、「エアバスター」と検索したら、一番上位にALSOKさんがヒットしたんです。とても興味深いなと思いました。オゾン発生器のエアバスターを御社が販売されているんですね。
引間 2018年9月ごろに三友商事さんから「エアバスター」のご紹介をいただきました。当時は、もちろん新型コロナウイルスは発生していませんでしたので、どちらかというと新型インフルエンザ対策であったり、消臭ニーズへのご対応ということで、当社警備サービスを利用いただいているお客さま、中でもフィットネスジムなど、消臭対策に熱心な施設を中心にご紹介していこうと。
2019年から本格的に販売を開始していますが、2020年3月までの初年度の販売目標台数は1200台でした。それが、2020年1~3月の3カ月間で3000台が売れました。そして、4~7月では6000台が売れているという状況です。
――どういったユーザーさんからの購入が多いのですか。
引間 現在は業種を問わず、という感じです。一般的なオフィスからも注文があります。
――警備会社の貴社が、オゾン発生器を販売しているのが、意外でした。
引間 当社はお客さまと継続的につながりを持っているという特徴があります。それを生かして、お客さまが必要としているものを提案していく使命があると考えています。当社はBtoBに強みがあるので、企業さまのコスト削減に資する各種サービスをご提案することもあります。照明のLED化であったり、各種効率化であったりです。
当社はお客様や社会の安全・安心の確保を生業としているわけですが、オゾン発生器に関しては、「エアセキュリティ」だと考えています。空間の安全・安心をご提供したいという想いで提案させていただいています。
「お客さまが必要としているものを提案していく使命があると考えています」と話す同社営業総括部ブロードバンドマーケット営業室長の引間信康氏
消毒用ポンプや「ウイルオフ」も提案
――なぜそんなに、エアバスターがヒットしているのでしょうか。
引間 もともと、同型機(BT03)が全国で500台以上の救急車に配備されているといった信頼性があります。都内の救急車ですと、出動機会が多いと毎回の消毒作業が追い付かず、エアバスターを導入したという背景があるとうかがっています。
5月中旬に、クオールさん他3社と奈良県立医科大学との共同研究において、オゾンで新型コロナウイルスが不活化するという実験結果が発表されたことも、その後の販売につながっていると思います。
――さきほど、「お客さまが必要としているものを提案していく」とおっしゃいましたが、そのほかにはどのような提案をされているのですか。
引間 けっこう幅広くご提案していますよ。
例えば、ウイルス対策だけでも、一つのご提案書があり、ご紹介しているのは、「エアバスター」だけでなく、光触媒(ナノ酸化チタン)の「ナノゾーンコート」や、弱酸性次亜塩素酸水、次亜塩素酸水生成器、除菌加湿器、スリッパの殺菌ディスペンサー、フェイスシールド、飛沫感染防止高透明PETパーテーション、首掛け用「ウイルオフ」などを提案しております。
――さきほど、コスト削減まで提案されているとおっしゃっていましたね。
引間 コスト削減に関しては、お役に立つ意味ももちろんありますが、当社の警備サービスを導入されたいと思っておられてもコストの面が障壁になるお客さまもいらっしゃるのです。ですから、そういった場合に、当社からコスト削減のご提案をすることで、当社のサービスを導入いただける原資をつくっていただくという意味合いもあるのです。
――貴社のサービス拡大の手法そのものも、とても参考になりますね。
引間 新型コロナウイルスでは、オフィスで社員のみなさんの手指の消毒に困る会社さんが多かったのですが、ポンプ自体が入手困難になっていた。そこで、当社でポンプも含め次亜塩素酸水を手配して、お客さまにご提供したりもしていました。
――顧客のかゆいところに手が届くというか、困っている時に頼りになるというのはとても大切ですね。いま、お話ししているお部屋にグッズが飾ってあるのですが、あの名刺大の「ALSOKロック」はどのような商品ですか。
引間 窓に設置する補助錠で、窓を少し開けている時にも、これを付けておくことでロックがかかります。いま、ちょうど換気のために窓は開けたいのだけれど、防犯が気になるというお客さまにご好評をいただいています。表面に「ALSOK」のロゴがあるので、そのことによる防犯効果もあると考えています。
――さまざまな商品開発や供給をされているのですね。

「ALSOK LOCK」。換気中の窓でもロックできるため、換気と防犯を両立する

ALSOKのサービスを店頭から販売も可能
――貴社はBtoBに強いということでしたが、提案内容はコンシューマーにも提案できるものですし、薬局・ドラッグストアとの親和性も高いと思います。貴社と薬局・ドラッグストアが協業できる可能性はありますか。
引間 あると思います。当社はBtoCに関して、自社で営業をかけているわけではなくマス広告やWEBを介したPRが中心です。その点、薬局やドラッグストアさんはコンシューマーと直接接点があります。その意味で、連携できると思います。
例えば当社のホームセキュリティを、薬局・ドラッグストアさんから生活者の方にご紹介いただいて成約になった場合、当社から2万円をお支払いさせていただくといった「取扱店制度」というものがあります。
この制度で取扱店になっていただければ、当社の製品をご紹介いただき、ご購入いただいた場合もご購入額の5%を紹介手数料としてお支払いしております。
――エアバスターは192,000円ですから、1台売ったら9,600円の紹介手数料ということですね。実際に薬局・ドラッグストアで制度に加入しているケースはあるのですか。
引間 業種を限定しているわけではないので、可能です。今回、取材をお受けするということで、お調べしましたら、実際に薬局さんで契約いただいている企業さんがありました。この記事を読んで興味がある企業さまがいたら、ぜひお声がけいただきたいですね。
――ありがとうございました。
■「エアバスター」(AIR BUSTER)とは…
オゾンオゾン除菌脱臭器。5 月 25 日には、クオール、奈良県立医科大学、一般社団法人 MBTコンソーシアムが共同研究でオゾンガス曝露によって新型コロナウイルスが不活化されることを世界で初めて実証したと発表し注目を集めた。クオールホールディングスで医療機関等への販売も展開している。