【インタビュー】“薬剤師”職能からみた24年度調剤報酬改定

【インタビュー】“薬剤師”職能からみた24年度調剤報酬改定

【2024.03.12配信】2024年度調剤報酬改定に関して、“薬局経営”からの意見が報道でも多くなっている。では、“薬剤師職能”からみた改定への意見はどうなのか。改定と薬剤師の職能の関連に注視してきた薬局薬剤師に、匿名でインタビューを受けていただいた。ちなみに“次世代”層といってよい薬剤師の方だ。以下、談話形式。


かかりつけを発揮していると処方箋が発行された時点で適正化されているという感覚があった

 今回の改定ですが、また1つの大きな転換になったなというという感じで受け止めています。この転換というのは良い方向の転換という風に捉えています。

 22年度改定では対物業務と対人業務の整理をするにあたって、点数の枠組みを変えていくという意味で大きな変革があったという理解ですけれど、今回の改定については、この対人業務をどのように捉えるのかというところでいうと、薬剤師がいる価値をどのように評価するのかというところが外来と在宅で分け隔てなく、明確になる方向付けがされた部分があったのではないかと思っています。今後、「薬剤師がいる時といない時で何が違うのか」ということがさらに問われていくと思っています。

 このことにも関連するのですが、ポイントとしては、いろんな議論の中で言われていたように、調剤基本料1を算定していて地域支援体制加算を算定している薬局は地域にしっかり貢献しているのか、という指摘ですよね。

 ここは、ある意味、いろいろな要件の算定回数が基本料1の薬局では低いのはなぜなのか、ということは一般の方からすれば分かりにくいと思うので、その辺のところも整理されたと感じました。
ただ、この部分に関しては、本来、かかりつけ機能が発揮されていると、処方箋が発行された時点でもう適正化になっているケースが多いとも感じていました。「発行された処方箋を基に残薬調整をする」とか、「発行された処方箋を基に処方提案をする」とか、「処方箋が発行された時点でポリファーマシーを改善する」とかというのは、本来、かかりつけ薬局・薬剤師からすると、「え、その時点で?」みたいな違和感がある部分もあるんですね。その患者さんをかかりつけでみていると、もう先手・先手を打っていって、例えばもう情報提供も処方箋発行前にしますし、患者の教育とか、患者への服薬支援なども行っているので、普段は処方箋が発行された時点で適正化になっているのです。その都度、出来高で算定するようなさまざまな加算とか指導料というのは、どうしても算定しにくくなっていく状況もあります。「毎回・調整」、「毎回・提案」、「毎回・・・」などというようなことをすると算定はどんどん取れていくので、やはり、ちょっとそこのところは違うかなという感覚は持っています。ただそうは言っても、さまざまな時代の要請の中で仕方がない部分もあるのかなという理解です。

連携強化加算が調剤基本料の加算になったことは非常に評価できる/地域で感染対策をしっかりとる薬局が広く

 今回の改定で感じたことはたくさんありますが、あとは連携強化加算ですね。感染症法の協定の部分ですけれども、地域支援体制加算に紐づく加算ではなくて、調剤基本料の加算になったということは非常に評価できるポイントだと思っています。

 やはり現場では、PPE(個人防護具)の備蓄であったり、消耗品でも感染対策のために結構コストがかかってくる部分があります。その辺のところに関しては、都道府県の状況にもよると思いますが、「そこまでは補填しきれないよ」と言われていました。ここが調剤基本料の加算となり、都道府県と協定を締結することによって、どの薬局でも割と平たく加算が取れるということになったと思います。これは、感染症対策がしっかり取れる薬局が限られた薬局だけではなくて、地域で広く協定締結に結びつく流れが出るという意味でも大変望ましい方向だと思いました。

 それから地域支援体制加算のところで、OTC医薬品の48薬効を取り扱うという規定ですね。在庫のところもあえて切り口が入りました。多少なりともロスが出たりとかするかもしれないけれども、やはり薬局はアイテムは置いておくべきだというのは、もう十数年、20年以上ですかね、議論がされていた中で、ようやくこういう流れが出てきたという意味も含めて、これも非常に大事なポイントだと思いました。

フォローアップの対象疾患拡大/ここに何を見るのかは、薬剤師のセンス

 さらにフォローアップの評価である調剤後薬剤管理指導料ですが、糖尿病の治療薬であったり、それから慢性心不全でも今回は入院歴のある方の心不全というところも追加されました。やはりまだまだ、「フォローアップとは何なのか」というと、5疾病の代表的な疾患で薬物治療が高額になる、あるいは重症化が問題となっていくような疾患に限られているイメージです。ただ、やはり疾患が広がったという、道筋を照らしたという意味では非常に大きな意味があるのではないかと思っています。
 特に退院したあと、重症化が心配されるとか、生活習慣の改善がなかなかみられない場合とか、そういう場合にどのようにして患者さんに薬剤師が関わっていくのか。薬剤師がいる価値はどこなのかが問われると思います。ここは、やはりセルフケア支援というような形だと思うんです。

 例えば心不全の方が毎日体重計に乗るようになる、毎日血圧を測定するようになる、あるいは水分の摂取状況を毎日気をつけるようにするとか、息切れだったりとか、睡眠の状態、そういうような状態をチェックするということは、セルフケアだと思います。たいがい、みなさん、やらなくなってしまうんです。ここにセルフケア支援ができるのは誰なのか。やっぱり薬局の薬剤師ができると思っています。薬物治療の中で、定期的に患者さんと関わることができます。また、医療機関に情報提供を促せば検査値であったりとか、入院時の介入内容であったり、このあたりはほとんど提供されますので、専門的な情報を入手をして、定期的に患者さんと関わる。患者さんのモチベーションにもつながるし、患者さんが医療に自己参加する意欲、意識を高めて、醸成していく、維持させていくという意味でのセルフケア支援というのは、疾患の療養の継続という意味だけでなく、セルフメディケーションとか生活習慣病予防とかというところにも関わってくる重要なポイントだと思っています。

 セルフケア支援がフォローアップの本質だと思うんです。その意味も含めて、疾患が広がったということは非常に大きな意味があると思っています。

 例えばですが、精神疾患のセルフケア支援の重要性が非常に高まっていると感じています。今、過量服薬、オーバードーズの問題ですとか、コロナの影響もあるとも言われていますけれども自殺者の増加といったことが起きています。やはり、こういうようなところでも薬物治療が入っている人たちが多かったりします。そういう精神疾患を抱えていらっしゃるような方々へのセルフケア支援にも今後つなげていくことが必要なのではないかと思っています。薬剤師も覚悟を持って、この辺のところの人たちに継続的にフォローアップというような形で関わっていく必要もあると思います。そういう意味でも、広がりの道筋が照らされたのではないかと考えているところです。

 まだまだ2つの疾患しか対象ではないですが、ここに何を見るかというのは薬剤師のなんて言うんでしょうか、センスみたいなところもあるのかなというふうに感じていました。

在宅移行初期管理料は病院にも薬剤師の役割を認知してもらう契機にも活用できそう

 あとは、在宅の部分とかはね、もう本当に(中医協委員の)森(昌平)先生も、非常に情熱を持って対応されていました。裏の方ではたぶん多くの日薬役員であったりとか、医療保険の委員会の委員さんのみなさん方もたくさん対応されていました。それ以外にもJ-HOP(一般社団法人 全国薬剤師・在宅療養支援連絡会)の方々もデータをたくさん出していただいたので、“薬剤師がいる時といない時っていうのはこれだけ違うのか”みたいものが見せられた。そのような点数配分というような形になったんではないかなと思っています。
旧在宅調剤加算が2本立てになって、しっかりと対応しているところにはそれ相応の加算、15点ではなく50点の加算がつくられたというところにも少し灯りが見えたと思います。

 やはりなんといっても、在宅初期の対応について管理料の新設というところが大きいです(在宅移行初期管理料)。実は昨日も(取材の前日も)、大きな病院の地域連携室のところを訪問していたんですけれど、その方々がおっしゃるのは、「在宅の薬剤師の役割というのは確かにすごく最近はわれわれの耳にも入っていますし、それを広げていかないといけないというふうには思っています」と。ただ、「薬局の方にこんな情報ください」と依頼することであったりとか、「退院カンファレンスに来てください」と依頼すること、あるいはちょっと医療依存度の高いような麻薬であったりとか、ターミナル期の患者さんであったりとかで訪問頻度が高いような方、こういうような方々が病院から在宅に移行される時に「“なんか薬剤師さんに直接お願いしづらいんですよね”みたいなことを言う人が多い」と話されていました。今回の改定で、在宅移行期の新しい管理料の新設があったんですよというお話をさせていただいたところなんですね。

 いわゆる在宅の初期というのは、病院の診療科の先生から在宅医の方に診療情報提供書というような形で薬剤の情報共有されるのですが、退院処方との相違があるということは全国的に珍しいことでも全然ないと思うんですよね。ただ、やっぱり在宅に移行すると、在宅医の処方と病院の処方の違いで、患者さんやご家族が戸惑われたり、あるいは訪問看護師さんから問い合わせがあったりして、その確認を病院の方に問い合わせをしたり、在宅医に説明をして、訪看さんの方にも対応を依頼し、ケアマネにも情報提供して患者家族などにも丁寧に説明する、みたいなことはよくあると思うんです。けれど今までは何のフィーも付いていなかったんですよね。

 さらに看護師が24時間体制で常駐しているような病院の中での服薬ということと、施設なり、自宅なりでの服薬というのは、環境・状況が違っています。特にパーキンソン病の一日に服用時点が5回あるとか、あるいは夕食後と寝る前の間がなかなか取りづらい生活をしていらっしゃるような方に、入院中と同じような処方が来ると、施設や患者家族が服薬支援しきれないんですね。それでどんどん薬が余っていくわけですけど、飲めていないとはなかなか言えないので、どうも在宅に移行してから状態が悪いという話となって出てきたりするんです。そんなふうな、在宅初期にすごく手間がかかるような部分が今回、評価されました。

 こういうところは、在宅の初期に指示・指令を出していくような病院の地域連携室、入退院センターとか、そういうところのソーシャルワーカーさんの服薬に関する理解の拡大であったりとか、地域の薬局が病院の方に連携を図っていって薬剤師を知ってもらう、薬剤師の役割というのを認知してもらって活用してもらうということに繋がりそうな部分なんです。先ほども申し上げたみたいにまだまだ薬剤師のことを知らない職員さんがいらっしゃる状況ですので、理解拡大につながるのではと思っています。

高齢者施設/特養を地域の中で薬剤師の職能を知ってもらう起点にできたら

 それから、高齢者施設への対応です。これも本当に整理がついていなかった要素がたくさんありました。まずは老健のところも、今までも例外規定みたいな形でこの部分は処方箋が発行できるよとなっていたところに対して、管理料を算定していいの?みたいなところがクリアになったというのがすごく大きいところだと思います。

 さらにいわゆるショートステイですね。ここは2つあって、1つは特養併設ですと職員はほとんど一緒なので、そうすると同じような薬が供給されていた方が誤薬対策とか安全対策とか、スタッフの心理的なストレス軽減とかいう意味から考えても、いいんですね。そのことが今回の改定のショートステイへの見直しでしやすくなったというのが1点です。
もう1つは、ショートステイに通う方の中にも「私はこの薬局から薬をもらいたいんだ」というようなお声を耳にすることもやっぱりありますので、そういうところについては特養の方と同じような薬の供給方法にしっかりと合わせることによって職員の方も管理がしやすくなると思います。

 最後に特養の部分です。要介護3以上の方が入所されますので、介護依存度が一定程度高い方なのが前提です。医療依存度が高い人も中にはいらっしゃるんですけれども、医療依存度が軽度な人たちもいます。ただ特養に入居されていくと、ちょっと薬物療法も特殊になっていくんですよね。厳格に血圧を下げていくというよりも、若干少し高めの方が良いかもしれないですよね、寝たきりであったりとかして過度に鎮静がかかってしまうような感じよりは、ある程度、少しポジティブな状態を保っていた方がいいとか。あるいは痛み止めを常用している患者さんの場合は尿路感染症とか気道感染症とかの熱発に早期に気付かないケースがあるので、なるべく解熱鎮痛剤を定期処方からはずしていく方向をとる患者さんも入居者さんの中にはいらっしゃる。それから、栄養状態があまり好ましくないような患者さんであったりとか、便通コントロールが非常に難しいような方、それから嚥下機能とかが若干心配な方であったり、こういうような方々に対しての薬物療法というのは本来、在宅療養を担当している薬剤師が非常に得意としているような分野だと思うんですよね。少し言い過ぎる表現で言うと、薬剤師が在宅業務で関わるべき患者さんが、結構、特養の入居者さんの中には多いと思うんです。

 そこには配置医がいて、看護師がほぼ常駐していますと。そういうような、在宅チームみたいな感じのところで、例えば残薬が発生しやすいかもしれないし、用時調製みたいなのことをすることが多いかもしれないですよね。鎮静をかけていった方がいいのか、もしくは眠剤の服用をちょっと中止していった方がいいのか、下剤とかを少し調整していった方がいいのか。こういうような調整をしていたりとかすると、やっぱり残薬も出やすくなっていったりとか、処方の変更がされやすくなっていったりします。あるいは転倒リスクにつながるような薬剤をなるべく少なくしていくであったりとか、抗コリン作用のあるような薬剤の組み合わせを少なくしていくであるとか、嚥下機能を落としやすいような薬剤は早期に薬剤を変更していくであるとか、薬剤師にとって非常にやりがいのあるような患者さんが多いです。

 しかも、患者さんの服薬をしっかり支援する看護師を中心とするようなチームがそこにいらっしゃるので、チーム医療としての役割も発揮しやすいんです。そうなると、在宅の点数に近いようなものも算定できるようになればいいのではないかと思っていたんですけれど、そこは制度上も難しいところです。ただ、特定の患者さんに何らかのアクションをすれば点数を少し取っていいよみたいなところは改定に含まれました。プラスアルファの薬剤師の役割を担っている薬局からすると、報われたねというような感じのところがありました。

 なぜ薬剤師が特養を大事にしないといけないかについては持論もあるんです。特養は地域において結構、インパクトがあるんですよね。法人グループの中で移動で来られたりとか、あるいは地元の看護協会の支部とかで活躍をされているような方たちがいらっしゃったりとか、それからケアマネジャーが複数名、その法人の中にいらっしゃったりとか。そういうふうになると、実は“薬剤師がこんなことしてくれるんだ”とか、“薬剤師と組むとこんなふうにうまいことできるよ”みたいなことをその地域の中で広めてくれる可能性があるんですよね。しかもそういうところに、例えばショートステイから介入し始めますよ、とか特養のところでもこのようなことができたんですよ、みたいなことを横にしゃべっていって、宣伝してもらえるみたいな効果があるんです。薬剤師としては職能をアピールしていく絶好の場所だと思うんです。今までは逆で、特養からすると、薬局は薬を持ってくるだけみたいなイメージを持たれてしまいがちだったんです。そして、そのイメージが地域でも広まっていたこともあると思うんですよ。だからそうではなくて、薬剤師の職能アピールできるような場所に特養を起点にするような形になればいいのかなというふうに思っていました。

 患者さんが移動するのは、やはりほとんどが二次医療圏の中です。急性期、それから療養型に行ったり、老健に行ったり、自宅に行ったり、グループホーム行ったり、特養に行ったりとかいうような感じになります。やはりその二次医療圏ぐらいのところは、それぞれが多職種連携の枠組みの中で顔を合わせ、地域のチームなので、そういう地域のチームのところで“薬剤師は薬を持ってくるだけだよね”って言って広められるのと、“いや薬剤師活用するとこんなに違うんだよ、めっちゃ楽になるよ、誤薬対策にもなるし、知識も入れてくれるし、処方の変更も手伝ってくれるし、なんか相談があったらいつでも連絡して教えてくれるし、一緒に考えてくれるし、薬剤師って…”みたいなことを、診療報酬の点数の中に、少し夢を描いてみたいなと見ていました。

いま薬剤師が調剤報酬の中でやらないといけないこと/薬剤師がいる・いないを、晴れと雨ほどに、明白に見せること

 調剤報酬の議論で、本当の意味で分かっているのは薬剤師の中の3割ぐらいかもしれません。あと3割は分からない人。残りはどうでもいいと思っている人。でも、分かっている3割の人が何かしらのキャンペーンみたいな形で伝えていって、分かる人が4割とか5割に伸びていくと、“なんか取り残されそう”とほかの層の人たちも思う気がします。

 あとはしっかり薬剤師がやっていかないといけないのは「薬剤師がいるとこれはできます」「薬剤師がいないとこれはできません」ということを、いかに明白に、晴れと雨ほどに、こんなに違うんだということをいかに分かってもらうか、見せないといけないと思うんです。

 この観点でいうと、いま診療報酬の中でいわれているのは4点ほどに絞られています。

 1つは「薬剤師がいると残薬がなくなります」です。“なんちゃって”残薬調整ではなくて、本当に残薬がなくなることです。「日数調整して、また3カ月後にはまた余りました」、それは本当の意味の残薬解消ではない。やはり処方の変更を依頼するとか、あるいは患者・家族の意識を変えるのか、何かしらの支援の形を変えるのか。これらによって残薬はゼロにすることができると思うんです。

 2つ目は「薬剤師がいるとポリファーマシーが改善すること」です。ポリファーマシーは全てが改善すべきものではないのですが、一定部分は解消ができると思います。ドクターから言われたことなんですが、「外来では処方を出す、ある意味で追加するんだけれど、特養に患者さんが入居する時とかは、患者とか家族との面談もしっかりとやりながら薬を減らすという作業をする。どっちがしんどいと思う?」と。その答えは「圧倒的に薬を減らす方がしんどい」と。「だけど、ここに寄り添うのとそうでないのは全然違うから覚悟を持って一緒に取り組もうね」と言っていただいたことがあるんです。まさにその通りだと思うんです。ポリファーマシーに一緒に取り組めるのは薬剤師の職能だと思っています。同時にこれは社会からも求められていることなのだと思っています。

 3つ目は、「薬剤師がいるとセルフケア支援できます」だと思うんです。さきほど申し上げたように、患者さんをしっかり変えていく。

 4つ目は、薬効と副作用の評価という側面なんですが、ここもモニタリングという意味ではセルフケアと関連していますが、いわゆる薬学的管理という部分です。フォローアップであったり処方の提案であったり、薬学的な評価をしっかりしていくというところだと思います。

 そうすると、診療報酬では減薬やポリファーマシーは服薬調整支援料で評価をされていき、フォローアップでは調剤後薬剤管理指導料で評価されたり、重複投薬等防止加算でもフォローアップにも関わる処方提案の部分が評価され、服薬情報提供のところでは入手した情報を今度はフィードバックしていくところで薬剤師の価値が評価される。このあたりの業務については、何と言ったらいいんでしょうか、圧倒的に薬剤師が増やさないといけないと思うんです。そういう意味で地域支援体制加算の要件が今回、見直されたというところをマイナスに考えずにプラスに考えていくことが必要になっていくのかなと思っています。

 厚労省の方も、心を鬼にしてではないですが、薬剤師がいる価値が、誰が聞いても理解いただけるような形で言っていただいていたと思うんですよね。中医協の1号側、2号側も関係なく、ぐうの音も出ないではないですが、誰もが「そうだよね、それは良いよね」と言っていただけるように検討いただいていたように思います。その考え方はとても大事だと思います。

 薬剤師がいることで他職種も笑顔になる、薬剤師がいると患者さん・家族もその人らしい生活の後押しができるような希望の光になるような形で薬剤師を見ていただける、こういった領域については薬剤師が覚悟を持って追求していかないといけないと思います。

 点数を取るためにはどうしたらよいのかということが変な入り口であったとしても、その先を見据えているのであれば場合によってはいいのではないかと思うんですね。例えば複数医療機関を受診していて、6剤以上を服用している患者を抽出してみる、とか。あるいはベンゾジアゼピン系の転倒リスクのある薬剤を2剤以上飲んでいる方で何歳以上で腎機能が落ちている方とか、切り口はなんでもいいと思うのです。そしてミニカンファレンスでもいいので、薬局の中でもいいですし、地域の中の仲良しの薬剤師同士でもいいですし、「どういうアプローチでやっていったらいいかな」とか「どういうリスクがあるかな」とか意見交換をしていって、それが算定の入り口になっていって、それが実際に算定できるようになっていく、それが地域の他職種からも理解されて頼られるようになる、患者さんの笑顔につながっていくみたいな形になっていけば、いいのかなと思います。

これから必要なこと/いま医療依存度の高くない人に対しても「薬剤師を活用するといいよね」と知ってもらうこと

 あと思っていることは、保険で対応している層ではない方の層の方々に薬局が何をしていくべきなのかというのはとても大切なのではないかと感じています。医療依存度の高い状態の人のグループが右側、そうでない状態の人のグループが左側にいるとしたら、いま、薬局がやっていることの多くは、右側のグループに対して、右側のグループの人の中にも参画意欲の低い人もいますので、そういった人たちをより意識の高い層に持っていくということをしていると思います。先ほど申し上げたセルフケア支援ですね。ここは診療報酬が牽引をしている大きな役割だと思っています。ただ、今後、いまは左側のグループにいる人たちがどんどん右側のグループに入ってきます。そうすると、右側の方だけにアプローチしていても、とても効率が悪いですよね。左側の人たちに医療というのは自己参加型であるとか、地域の薬局や薬剤師を普段から活用していけばこんなにいいことがあるよとか、そういったことが分かっていて自ら薬局を活用していく患者さん像を増やしていくことがとても大切だと思うのです。こういった左側の人たちへの対応をしっかりやっていかないといけない。これは基本的には薬局の外で活動するようなことです。学校薬剤師などは典型的な例だと思います。地域住民に対して健康イベントを行っていったり、地域の仲良しグループの中に一緒に混ざっていって、時には一緒に芋掘りをしたり、自治会の麻雀大会に参加したり、その中で薬剤師の役割を左側の人たちにも認知をちょっとずつ広げていく。昔の薬局の親父さんたちがやっていたことですけど。これは健康サポート薬局の根底の概念にあったことだと思うのです。こういうようなところと、診療報酬のところが本当はもっとミックスされたら“夢の改定”だなと思っています。病気の人たちに対する医療行為・調剤行為に点数を付けるのがあくまで診療報酬だとは思いますので、それはなかなか難しいことだとは思っているんですけれど。ただ、一部、地域支援体制加算の要件の中だったりで評価をされている。薬剤師自身が、「そうだよ、薬剤師は薬局の外でも活動しないといけないんだよ」と意識してもらい、地域の住民とかも当たり前のように薬局の薬剤師を活用してもらう、そういうところがセットになっていくと調剤報酬の改定が本当の意味でキラキラと生きてくるのかなと思います。

 マイナ保険証とかもそうだと思うのです。医療関係者側が一生懸命患者さんに説明して利用してもらうのではなくて、患者さんから「どういうことなのか教えて!」とか、「それなら使う!」とか、「みんなにも言っておくね!」とか、地域をよくしていこうということにもつながっていくと思うのです。直接的に診療報酬とリンクするのは難しいとは思うのですが、そういう未来を描いていくことが必要なのかなと思います。

 報酬改定のプロセスで、いくら薬剤師としての思いのこもった業務でも報酬には反映されないことがあると思います。よりシンプルに、理解されやすいことが求められるのでしょう。中医協で数多くの議題を扱う中で、委員の方々がぱっと見て、それこそ5秒あれば理解でき、納得できるような示し方が必要なのだろうと思います。

 改定が話題になっている時ですので、改定の内容に関して“これはこういう意義がある”とそれぞれが考えることも重要だとは思います。一方で、“こういうところを目指してこういう行動を起こしていかないといけないな”とそれぞれが思うためには、やはり“薬剤師がどこを目指すのか”ということは改定にかかわらずブレずに広く薬剤師が目標を共有していくことが必要だと思っています。それを考えると、患者さん・家族、他職種側に立ってくださいということだと思うんですね。私たち薬剤師がどう思うかは、この際、関係ない。“薬剤師さんいてくれてありがとう!”と思ってもらうためには何が必要なんだろうということだと思っています。(談)

この記事のライター

関連するキーワード


調剤報酬改定

関連する投稿


【厚労省_調剤報酬改定】夜間休日リスト、「手続き済み、公表待ち」でも届け出OK/疑義解釈資料(その6)

【厚労省_調剤報酬改定】夜間休日リスト、「手続き済み、公表待ち」でも届け出OK/疑義解釈資料(その6)

【2024.05.31配信】厚生労働省は5月30日、令和6年度調剤報酬改定の「疑義解釈資料の送付について(その6)」を発出した。


【厚労省】後発薬調剤体制加算、カットオフ値で臨時的取り扱い/令和6年度薬価改定の広い措置で

【厚労省】後発薬調剤体制加算、カットオフ値で臨時的取り扱い/令和6年度薬価改定の広い措置で

【2024.05.22配信】厚生労働省は5月22日、「令和6年度薬価改定を踏まえた診療報酬上の臨時的な取扱いについて」を発出した。カットオフ値について、当面の間、臨時的取り扱いを行うとした。


【厚労省】疑義解釈(その5)発出/調剤報酬改定

【厚労省】疑義解釈(その5)発出/調剤報酬改定

【2024.05.19配信】厚生労働省は5月17日、令和6年度調剤報酬改定の疑義解釈「その5」を発出した。


【チェーンドラッグストア協会】夜間休日リスト/「協会に苦情寄せられている」

【チェーンドラッグストア協会】夜間休日リスト/「協会に苦情寄せられている」

【2024.05.17配信】日本チェーンドラッグストア協会は5月17日に定例会見を開いた。


【厚労省_中医協】敷地内薬局、今後は総会で議論/今後の検討の進め方を了承

【厚労省_中医協】敷地内薬局、今後は総会で議論/今後の検討の進め方を了承

【2024.05.15配信】厚生労働省は5月15日、中央社会保険医療協議会(中医協) 総会を開催した。


最新の投稿


【厚労省_調剤報酬改定】夜間休日リスト、「手続き済み、公表待ち」でも届け出OK/疑義解釈資料(その6)

【厚労省_調剤報酬改定】夜間休日リスト、「手続き済み、公表待ち」でも届け出OK/疑義解釈資料(その6)

【2024.05.31配信】厚生労働省は5月30日、令和6年度調剤報酬改定の「疑義解釈資料の送付について(その6)」を発出した。


【OTC医薬品卸協議会】新名称を報告/協議会会長の松井秀正氏

【OTC医薬品卸協議会】新名称を報告/協議会会長の松井秀正氏

【2024.05.30配信】日本医薬品卸売業連合会は5月30日に通常総会を開いた。


【岩月・次期日薬会長】「県薬との連携は重要」/“非会員”飯島氏の新理事入りへの反対意見に

【岩月・次期日薬会長】「県薬との連携は重要」/“非会員”飯島氏の新理事入りへの反対意見に

【2024.05.30配信】日本薬剤師会は5月29日、都道府県会長協議会を開催した。この中で、長野県薬剤師会は県薬非会員である飯島裕也氏(上田薬剤師会)の次期理事入りに対して、一部報道があった通り、反対意見を表明。次期会長候補である岩月進氏に見解を求める場面があった。


【日本薬剤師会】令和7年度予算要望/薬価に依存しない財源確保

【日本薬剤師会】令和7年度予算要望/薬価に依存しない財源確保

【2024.05.29配信】日本薬剤師会は5月29日に都道府県会長協議会を開催。その中で令和7年度予算要望の内容を説明した。


【日薬公表】令和5年度医薬分業率は80.3%、前年比3.9ポイント増/速報値

【日薬公表】令和5年度医薬分業率は80.3%、前年比3.9ポイント増/速報値

【2024.05.29配信】日本薬剤師会は5月29日に都道府県会長協議会を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング