【中医協】日医、賃上げ把握で「評価の収入」と「かかる支出」の総額把握による簡素化を要望

【中医協】日医、賃上げ把握で「評価の収入」と「かかる支出」の総額把握による簡素化を要望

【2024.01.09配信】厚生労働省は1月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、賃上げ対応について議論した。


 この中で日本医師会常任理事の長島公之氏は、40歳未満の勤務医等の賃上げ対応について、初・再診料や入院基本料での対応を求めた。「常勤で勤務する病院、非常勤で勤務する病院、組み合わせた勤務形態や専門性を追求するために医療機関を移動することも多い点などもあり、ひとつの医療機関で継続して勤務することを想定した賃上げモデルがあてはまらない場合も多々あることが想定される。また事務職員についても派遣や委託等の雇用形態により、医療機関ではベースアップを担保できないことも考えられ、さらに医療経済実態調査においては一部経営状況が芳しくない医療機関があることが明らかになったところです。こうした実態を踏まえれば、初・再診料や入院基本料引き上げることが唯一の方法です」(長島氏)と述べた。その上で、「配分の方法については雇用している医療従事者属性や構成に応じてある程度、各医療機関の裁量によって決定できるようにするのが現実的であると考えます」とした。賃上げの状況把握については、「最終的には賃上げにかかる評価の効果が把握できればよいのであり、それ以上の細かな報告を医療機関に求めるのは大きな負担となる」と述べた。働き方改革にも配慮し「できるだけ簡素な仕組みとすることが重要」と要望。「特に40歳未満の勤務医師や勤務職員等については2年間にわたって継続して勤務することを想定した賃上げモデルがあてはまらない場合もよくあることが想定され、前年度と比べてどの程度賃上げがなされているのか、比較することは不可能な場合もあります。賃上げにかかる評価の収入と賃上げにかかる支出の総額を把握できればそれで充分であると考えます」とした。

 なお、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種の賃上げについては、「シンプルな制度設計することを基本軸とすべき」で「一律の評価」とすることが望ましいとしたほか、入院については病院ごとに評価を開けることでばらつきが小さくなる傾向が見てとれることを踏まえ、一律の点数ではなく複数の点数に分けることが妥当ではないかとした。

日薬森氏、賃上げ対応で状況調査の実施を表明/「他団体とも協力し」

 日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、薬局の薬剤師や事務職員の賃上げに向けた対応について、調剤基本料で対応することが「自然」との考えを表明。「調剤基本料は、薬局の基本的な機能に関する維持・運営コストとして評価されているもので、処方箋受付時に算定されている項目であり各薬局の体制に応じた公平な取扱いとなります」(森氏)とした。
 加えて森氏は、「政府が示す賃上げを実施できるよう趣旨も合わせてわかりやすく周知していくことが重要」とし、「薬剤師会としても会員や関係団体の皆さんにしっかりと周知していく」考えを示した。薬局では薬剤師・事務職員が勤務しており、また非常勤の割合が多いことや派遣などさまざまな勤務状況となっていることから、「賃上げの詳細な状況の確認は難しい面がある」との見方も示した。現場での対応状況については、「今後の議論に資するように日本薬剤師会として、関係団体とも協力の上で、今後、調査を実施し把握していきたいと考えています」とした。

 また薬剤師は薬局だけではなく病院や診療所で勤務している人も6万人以上いるとし、「チーム医療などを通じて医療機関での医療提供に貢献しております。医療機関で勤務する薬剤師につきましても医療機関の中でしっかりと賃上げの対応をしていただきたいと思います」と述べた。

支払い側、基本診療料での対応に慎重姿勢/対応把握は「計画と実績の報告は不可欠」

 他方、支払い側委員からは、基本診療料での対応には慎重姿勢が示された。健保連の松本氏は、「40歳未満の勤務医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員」の賃上げ対応について、「勤務形態が多様であり賃金の支払い方法もさまざまで看護職員等の処遇改善よりさらに対応が難しいということは充分に理解をしております」とした一方、「事務局案の“広く算定している診療報酬の項目で評価”というのは基本診療料への上乗せだと言うふうに受け止めておりますけれども、初・再診料や入院基本料に溶け込ませることは一律的な基本料の底上げとい極めて重大な案件であり医療経済実態調査で明らかとなった病院と診療所の経営状況の格差、あるいは職員配置の違いを反映することが基本になります」と述べた。さらに、「そもそも患者が受けたサービスの対価としてもっとも基礎的な部分のあり方について、データに基づいて充分に時間をかけて少し議論を尽くす必要がございます。従いまして基本診療で対応するとしても何らかの条件を付けた加算、別途の評価を検討するべきだということをまず強く主張させていただきます」とした。

 賃上げ対応の把握については、「どのような形で上乗せするとしても計画と実績の報告は不可欠だと言うふうに考えております」と述べた。「40歳未満の勤務医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員」への賃上げ対応についても、賃上げの計画や賃上げの実績を届け出ることを求めた。

この記事のライター

関連するキーワード


中医協 調剤報酬改定

関連する投稿


【中医協】日本薬剤師会森昌平副会長が委員退任挨拶

【中医協】日本薬剤師会森昌平副会長が委員退任挨拶

【2026.06.24配信】厚生労働省は6月24、中央社会保険医療協議会(中医協)を開いた。この中で、同日付けで委員を退任する日本薬剤師会副会長の森昌平氏が退任に際し挨拶をした。


【日本保険薬局協会】調剤報酬の解説を作成/正会員限定で会員のメリット訴求

【日本保険薬局協会】調剤報酬の解説を作成/正会員限定で会員のメリット訴求

【2026.06.11配信】日本保険薬局協会は6月11日、定例会見を開いた。この中で「調剤報酬等に係る解説」を作成したことを報告。協会正会員限定への提供とすることで、協会会員のメリットも訴求したい考え。


【大木ヘルスケアHD】“門前薬局減算”に備える売り場充足を提案

【大木ヘルスケアHD】“門前薬局減算”に備える売り場充足を提案

【2026.06.04配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングス(代表取締役社長:松井秀正氏)は6月4日、6月16・17日に開催を予定している「2026秋冬カテゴリー提案商談会」の事前説明会を開催した。今回の調剤報酬改定で新設された「門前薬局等立地依存減算」(調剤基本料の15点マイナス)を取り上げ、減算に備える売り場充足を提案するとした。


【調剤報酬通知訂正】在総加算2イ100点を施設でも一部算定可能に/要介護3以上の状態など

【調剤報酬通知訂正】在総加算2イ100点を施設でも一部算定可能に/要介護3以上の状態など

【2026.05.29配信】厚生労働省は5月29日、「令和8年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について」を発出した。調剤報酬では、個人宅の在宅訪問時を想定して新設した「在宅薬学総合体制加算2」イ100点について、要介護3以上の状態の患者などの要件を満たせば施設患者であっても算定可とした。令和8年度調剤報酬改定では「在宅薬学総合体制加算1」を30点に増点するとともに、「在宅薬学総合体制加算2」について、 単一建物診療患者が1人又は単一建物居住者が1人の場合「イ」を新設し、 100点とした。またイ以外の場合で50点を設けていた。


【調剤報酬改定_疑義解釈6】電子的調剤情報連携体制整備加算の施設基準について

【調剤報酬改定_疑義解釈6】電子的調剤情報連携体制整備加算の施設基準について

【2026.05.25配信】厚生労働省は5月22日、令和8年度診療報酬改定の「疑義解釈(その6)」を発出した。「電子的調剤情報連携体制整備加算」の「電子処方箋を受け付け、当該電子処方箋により調剤する体制を有する」との施設基準について、機能拡張はされても、令和5年1月 26 日から稼働した基本機能に対応していることで要件を満たすとした。


最新の投稿


【日本総研】「箱出し調剤」提言するレポート公表

【日本総研】「箱出し調剤」提言するレポート公表

【2026.07.10配信】日本総研調査部上席主任研究員・成瀬道紀氏は7月10日、『箱出し調剤で薬剤師を単純作業から解放を―調剤コスト1兆円削減と薬局薬剤師20万人の職能発揮へ向けてー』と題したレポートを公表した。


【薬局説明会】ゲーム「ぷよぷよ」で脳トレ/施設でのレクに、月額3000円~

【薬局説明会】ゲーム「ぷよぷよ」で脳トレ/施設でのレクに、月額3000円~

【2026.07.10配信】株式会社エンタケア研究所(本社:東京都、代表取締役CEO:高丸 慶氏)は、レク等で使える施設向け脳トレーニングゲーム『施設向け脳トレーニングゲーム『ぷよぷよトレーナー』を2026年10月1日に正式ローンチすると公表した。また、正式ローンチに先立ち、全国の介護福祉施設・医療関係者・自治体・薬局関係者を対象としたオンライン説明会を2026年7月に全8回開催する。『ぷよぷよトレーナー』を通じて、介護現場における「楽しい」「続けられる」「効果が期待できる」新しいレクリエーション体験の社会実装を推進していく考え。薬局業界では保険薬局経営者連合会と共に協定締結、薬局に関するユースケースの開発を行っていく計画。


【日本保険薬局協会】「中東情勢に伴う調剤関連資材等への影響」調査結果報告

【日本保険薬局協会】「中東情勢に伴う調剤関連資材等への影響」調査結果報告

【2026.07.09配信】日本保険薬局協会は7月9日に定例会見を開き、中東情勢の緊迫化に伴う「調剤関連資材等への影響」に関する実態の調査を報告した。


【日本保険薬局協会】スイッチOTCの特定企業“先行販売”に苦言/「販売要件を満たす薬局が同じタイミングで販売できるよう」

【日本保険薬局協会】スイッチOTCの特定企業“先行販売”に苦言/「販売要件を満たす薬局が同じタイミングで販売できるよう」

【2026.07.09配信】日本保険薬局協会は7月9日、定例会見を開き、冒頭の会長挨拶で藤井江美氏は、スイッチOTCの販売について特定の企業に対して先行販売をしている実態に苦言を呈した。「販売要件を満たす薬局が同じタイミングで販売できるよう要望していく」と話した。


【厚労省】通知「薬剤師の調剤応需義務等について」発出/カスハラで調剤拒否可能

【厚労省】通知「薬剤師の調剤応需義務等について」発出/カスハラで調剤拒否可能

【2026.07.09配信】厚生労働省は7月8日、通知「薬剤師の調剤応需義務等について」を発出した。


ランキング


>>総合人気ランキング