【日薬】 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業について通知

【日薬】 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業について通知

【2023.11.17配信】日本薬剤師会は11月17日、緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業について、都道府県薬剤師会宛てに通知を出した。


開始は11月28日

 通知によると、実施開始は11月28日。実施にあたって厚労省から薬局医薬品の取り扱いに関する一部改正も発出された。

 同事業は日本薬剤師会が厚生労働省医薬局医薬品審査管理課の委託を受けて行うもの。
 このほど厚生労働省医薬局医薬品審査管理課より、同事業において行うモデル的調査研究について、令和5年 11 月 28 日以降、準備が整い次第実施する旨が都道府県衛生主管部局等宛連絡されるとともに、日本薬剤師会にも周知依頼があったもの。

 一般の人向けに必要な情報や具体的内容などについては、本事業に係る下記ホームページにおいて案内予定という。
※事業ホームページ(現在準備中)11 月 28 日(火)午前 10 時公開予定。
https://pharmacy-ec-trial.jp

 薬局医薬品の取り扱いについては、正当な理由に「厚生労働省が実施する緊急避妊薬の販売に関する調査研究のために、当該調査研究の委託を受けた者が作成した研究計画書に基づき、研究協力機関である薬局が緊急避妊薬を販売する場合」を追加するもの。

なお、本調査研究の研究協力機関である薬局以外の薬局においては、処方箋なしで緊急避妊薬を販売することは法令上認められていない。

 厚生労働省医薬局医薬品審査管理課の事務連絡は以下の通り。

■緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業の実施について

 緊急避妊薬については、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(以下「評価検討会議」という。)において、医療用医薬品から要指導・一般用医薬品へ転用する際の課題点及び対応策が検討され、対応策の選択・採否にあたり、一部薬局での試験的運用を通じ、更なるデータ・情報の集積が望ましいとされたところです。
 評価検討会議での議論を踏まえ、一定の要件を満たす特定の薬局に限定し、試行的に女性へ緊急避妊薬(処方箋医薬品)の販売を行う調査事業を公益社団法人日本薬剤師会に委託し、今般、モデル的調査研究として、令和5年11月28日以降、準備が整い次第実施しますので、貴管内関係団体、関係機関等に対しその実施と研究趣旨について周知方御配慮願います。本調査研究にて緊急避妊薬の販売等を 行 う 薬 局 の 一 覧 は 、 後 日 、 本 調 査 研 究 に 関 す る ホ ー ム ペ ー ジ(https://pharmacy-ec-trial.jp)に掲載する予定です

 11月17時点の日本薬剤師会の実施内容に関しては、厚生労働省の仕様書に基づくもので、調査研究として研究計画を建て、倫理審査委員会の承認を経た上で実施する。人を対象とする生命科学・医学系研究を実施する際は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を遵守することが求められる。
 同研究では、販売対象者は研究対象者となる。したがって販売に際しては、研究として倫理指針に則り、本人の同意ならびに未成年者(本研究の場合 16歳以上)の場合は親権者等の同意の上で行う。緊急避妊薬を購入して服用を希望し、研究参加同意をする16歳以上の女性(本人)を対象とする。性交同意年齢に満たない 16 歳未満の方に対しては、調査研究としてではなく、現在わが国でなされている対応がとられるべきことからも、同調査研究の対象とはせず、薬局に購入希望や相談があった場合は、産婦人科医の紹介や、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの紹介などの対応をとることとしている。

 また、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」では、研究対象者の研究参加に対する意思表示が有効とされる年齢の基準が 16 歳以上とされていることも踏まえて調査研究の対象を設定している。

 販売を行う薬局数については、145薬局で準備中。全都道府県で実施し、各都道府県1モデル(2~3薬局)。うち東京、神奈川、大阪については人口に鑑み2モデル。そのためモデル数は合計50。
 購入希望者は事前に薬局に電話連絡し、在庫の有無含めて販売可能な時間を予め調整してから来局する手順としている。もしその薬局で対応できない場合には薬局間で連携して対応する。その連携範囲の単位を差して「モデル」と呼んでいるもの。

 オンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤の研修を修了した薬剤師が販売する。145 薬局での研修修了薬剤師は現時点で336人。
 薬局リストは、事業開始時に、調査研究事業のホームページにおいて公表する予定。

 一般紙で単純な試験的“販売”と報じられていることについては、関係者においては一般の人に誤解を生じるとの懸念も示されている。日薬ではあくまで調査研究としての販売であり、同意取得や、研究計画外の販売とならないようにする必要から、購入者には調査研究であることを理解の上で、薬局での購入を検討いただく必要があることを強調している。調査研究である旨や研究参加手順等の案内とあわせて薬局リストを告知することを考えているとしている

 なお、想定される販売価格は、7,000~9,000 円程度。

この記事のライター

関連するキーワード


緊急避妊薬

関連する投稿


【緊急避妊薬】調査事業で購入できたのは15%のみ/市民団体調査

【緊急避妊薬】調査事業で購入できたのは15%のみ/市民団体調査

【2024.06.10配信】市民団体の「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は6月10日、衆議院第一議員会館内で「院内勉強会」を開催した。


【東京都薬剤師会】緊急避妊薬の研究協力薬局を追加募集

【東京都薬剤師会】緊急避妊薬の研究協力薬局を追加募集

【2024.06.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は6月7日、定例会見を開いた。


【東京都薬剤師会】緊急避妊薬の“研修”、申し込み増

【東京都薬剤師会】緊急避妊薬の“研修”、申し込み増

【2024.02.09配信】東京都薬剤師会は2月9日の会見で、同会が主催する緊急避妊薬の調剤に関する研修申込が増加している状況を明かした。


【24年度調剤報酬改定】「緊急避妊薬」の備蓄・相談体制が地域支援体制加算の施設基準に/薬局の貢献向上に期待感

【24年度調剤報酬改定】「緊急避妊薬」の備蓄・相談体制が地域支援体制加算の施設基準に/薬局の貢献向上に期待感

【2024.01.30配信】厚生労働省は1月26日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「個別改定項目(その1)」を提示した。点数なしの、いわゆる「短冊」だ。地域支援体制加算の施設基準には、緊急避妊薬の備蓄・相談体制が施設基準になった。女性の健康やSRHR(性と生殖に関する健康と権利)への薬局の貢献度の高まりに期待が寄せられている。


【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」

【市民団体】緊急避妊薬OTC化の試験的運用で要望書を厚労省に提出/染矢代表「調査が条件課す根拠に使われないか、非常に危惧している」

【2023.11.28配信】適切かつ安全に緊急避妊薬にアクセスできる社会の実現を目指す「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は11月28日、「緊急避妊薬OTC化の試験的運用の周知、及び迅速かつ全面的なOTC化実現を求める要望書」を厚生労働省に提出した。厚労省は医薬局医薬品審査管理課長の中井清人氏が受け取った。同日、試験的運用が開始されたことを受けたもの。


最新の投稿


【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【厚労省】“研究用”抗原検査キット、薬機法で取り締まりの方向/該当性判断の上

【2024.07.25配信】厚生労働省は7月25日に「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催し、体外診断用医薬品の特性を踏まえた制度の見直しについて議論した。その中で「研究等の医療以外の用途を標榜する試薬の提供業者への対応」を議題とした。


【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【日薬】オーバードーズ問題でマニュアル作成を検討中

【2024.07.24配信】日本薬剤師会は7月24日、都道府県会長協議会を開催した。


【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【厚労省】処方箋保存期間の検討を提示/薬局検討会

【2024.07.19配信】厚生労働省は、現在3年間となっている処方箋の保存期間について見直す方針を示した。「第7回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で提示した。診療録の保存期間が5年となっている中、電子処方箋については処方箋を調剤済みとなった日から5年間保存するサービスを提供しているなどの環境変化を挙げている。今後、制度部会で議題とする方針。


【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【コンソーシアム】大阪市から調剤外部委託で4社8薬局が確認通知受領を公表

【2024.07.19配信】薬局DX推進コンソーシアムは7月19日、大阪市から調剤業務一部委託事業の確認通知を受け取ったと公表した。


【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【日本保険薬局協会】健康サポート薬局と地域連携薬局「違いない」/厚労省検討会に意見書

【2024.07.19配信】日本保険薬局協会は7月19日に開かれた厚労省「第7回 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で意見書を提出した。「健康サポート薬局、地域連携薬局、地域支援体制加算届出薬局が描く薬局像は、小異こそあれ、分立させるほどの違いはない」とした。


ランキング


>>総合人気ランキング