【中医協】日薬森委員、在宅における医師同行業務評価を要望

【中医協】日薬森委員、在宅における医師同行業務評価を要望

【2023.07.12配信】厚労省は7月12日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、在宅医療をテーマとした。その中で日本薬剤師会(日薬)副会長の森昌平氏は、在宅における医師同行業務評価を要望した。2024年度調剤報酬改定に影響すると考えられる。


 日薬の森氏は、在宅医療に関して、在宅患者の数は2040年以降にピークを迎えると言われており、薬局薬剤師は今後、さらに増加が見込まれる在宅医療のニーズを的確に捉えかかりつけ医をはじめとする職種との連携を通じて在宅においてもより質の高い薬物治療を提供していかなければならないとの前提を指摘。

 その上で、そのためには地域の薬局において在宅医療の受け入れ態勢だけでなく、医療用麻薬の適時適切な提供やターミナルケアへの参画、夜間休日の緊急時の対応など質・量の両面から地域において必要な薬剤サービスが提供できるよう体制の整備を進めていくことが必要だとした。

 具体的な評価事項については、医師との同行訪問への評価を要望。「在宅医療における他職種との連携をさらに推進できるよう、例えば医師の訪問に同行した場合などについて評価を含めて検討していく必要があると考えます」と(森氏)述べた。

 さらに、高齢者施設への薬剤師の関与拡大の検討を提案した。
 「薬剤師による高齢者施設等への訪問についてですが、資料145ページにある各施設類型における課題について、さらなる薬剤管理の推進の観点から、今回の(介護給付との)同時改定で、それぞれの施設の特性を踏まえた形で検討して評価を見直していくべきと考えます」(森氏)とした。

日薬・森氏、医療材料のいわゆる逆ざや問題への対応を要望

 さらに緩和ケアや医療材料の逆ざやなど、現場の薬局・薬剤師が抱える課題についても提示。

 緩和ケアについては、医療用麻薬の取り扱いについての報酬上の評価が必要だとした。医療用麻薬はさまざまな成分・規格・剤形の医療用麻薬が流通しているため、患者の状態等に応じた使い分けが必要であることを指摘。医療用麻薬を取り扱うには法令による規制に従う必要があることにも触れ、「地域のさまざまな医師の処方に対応するために多くの成分・種類を取り揃え、備蓄管理を行うことは薬局にとって管理コストのみではなく廃棄ロスも含めて大きな負担となっています。 このあたりについては報酬上で何かしらの配慮が必要かと考えます」(森氏)と述べた。

 終末期への関わりについても現場の負担を指摘。終末期では患者の状態が刻々と変化するため緊急時対応や頻回な訪問が必要な場合があるとし、特に緊急時の対応については時間外対応の視点も重要と説明。「このような対応は薬局にとって大きな負担となりますので、現状の緊急訪問の評価だけでなく、頻回の訪問や時間外対応に関しても何らか報酬上での配慮が必要と考えます」とした。加えて、地域で支える視点を提示。「参考資料77ページで示されている通り、夜間休日の対応は地域で支えるという観点も必要で、このような対応が出来る薬局は周辺の薬局と連携して対応することを含め、地域でそのことが分かるようにしていくことも必要と考えます」とし、「これから各都道府県において第8次医療計画の中でも整備を検討、予定されていると思いますが、これからは地域において行政と薬剤師会医師会や関係団体が連携して対応するという取り組みを進めていくことも1つの考え方ではないかと思います」(森氏)と述べた。

 在宅中心静脈栄養法加算と在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算については、介護保険での算定もできるようにしてほしいとした。現在は医療保険では算定できるが、同じ業務を行っても介護保険では請求ができない状態となっている。

 医療材料のいわゆる逆ざやについては、薬局現場から多くの意見が出ていると指摘。同日の中医協資料でも、医療材料の償還価格が仕入れ価格を下回る、いわゆる逆ざやが約40%あると示された。逆ざや問題に関しては日本薬剤師会に多くの意見が寄せられているとし、医療材料は各種規格の取り揃えや包装単位の問題もあるとし、「在宅対応を行う中で医療材料を扱う場合の評価についても対応が必要と考えます」(森氏)とした。

この記事のライター

関連する投稿


【保険薬局協会】地域加算「基本料1」と「それ以外」で点数・実績要件統一を/次期改定要望

【保険薬局協会】地域加算「基本料1」と「それ以外」で点数・実績要件統一を/次期改定要望

【2025.12.11配信】日本保険薬局協会は12月11日に定例会見を開き、会長の三木田慎也氏が次期調剤報酬改定の要望事項を説明した。調剤基本料に紐づいて区分のある地域支援体制加算について、「基本料1」と「それ以外」での要件や点数を統一することを求めた。


【基本料1問題】大阪府薬に続き都薬も「断じて反対」表明

【基本料1問題】大阪府薬に続き都薬も「断じて反対」表明

【2025.12.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は12月5日に定例会見を開き、中医協で規模の小さな薬局が該当することが多い「調剤基本料1」の除外範囲を拡大するとの議論について言及。特に大阪府と東京都に該当地域のある「特別区」が名指しされていることについて、都薬会長の髙橋正夫氏は、「大阪府薬が会見で“絶対に許さない”と表明されているが、都薬も同じ考えだ」と話した。


【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対

【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対

【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。かかりつけ薬剤師指導料の要件見直しについても要望した。


【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」

【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」

【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。敷地内薬局について、施設基準において「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」を削除すべきとの意見が出ていることに対し、撤廃でされたとしても新規開局に限定すべきといった要望を表明した。


【ドラッグストア協会】敷地内薬局「連座制導入」なら「薬局事業撤退せざるを得ない」

【ドラッグストア協会】敷地内薬局「連座制導入」なら「薬局事業撤退せざるを得ない」

【2025.12.05配信】日本チェーンドラッグストア協会12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定要望をを表明した。その中で、敷地内薬局「連座制導入」なら薬局事業から撤退せざるを得ないなどと、強い抵抗感を示した。


最新の投稿


【保険薬局協会】地域加算「基本料1」と「それ以外」で点数・実績要件統一を/次期改定要望

【保険薬局協会】地域加算「基本料1」と「それ以外」で点数・実績要件統一を/次期改定要望

【2025.12.11配信】日本保険薬局協会は12月11日に定例会見を開き、会長の三木田慎也氏が次期調剤報酬改定の要望事項を説明した。調剤基本料に紐づいて区分のある地域支援体制加算について、「基本料1」と「それ以外」での要件や点数を統一することを求めた。


【病院薬剤師会】診療報酬改定議論「期待」/転所時評価などの要望反映で

【病院薬剤師会】診療報酬改定議論「期待」/転所時評価などの要望反映で

【2025,12.10配信】日本病院薬剤師会(日病薬)は12月10日に定例会見を開き、厚労省中医協で議論の進んでいる次期診療報酬改定について、期待できるとの見方を示した。日病薬が要望事項に挙げていた転所時の情報共有への評価などが俎上にのっていることなどを評価した。


【基本料1問題】大阪府薬に続き都薬も「断じて反対」表明

【基本料1問題】大阪府薬に続き都薬も「断じて反対」表明

【2025.12.07配信】東京都薬剤師会(都薬)は12月5日に定例会見を開き、中医協で規模の小さな薬局が該当することが多い「調剤基本料1」の除外範囲を拡大するとの議論について言及。特に大阪府と東京都に該当地域のある「特別区」が名指しされていることについて、都薬会長の髙橋正夫氏は、「大阪府薬が会見で“絶対に許さない”と表明されているが、都薬も同じ考えだ」と話した。


【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対

【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対

【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。かかりつけ薬剤師指導料の要件見直しについても要望した。


【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」

【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」

【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。敷地内薬局について、施設基準において「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」を削除すべきとの意見が出ていることに対し、撤廃でされたとしても新規開局に限定すべきといった要望を表明した。


ランキング


>>総合人気ランキング